質量 $M$ 、半径 $a$ の一様な球の中心を通る軸についての慣性モーメントを求めます。 (1) 球の中心を原点 $O$ とし、任意の座標 $z$ で $xy$ 平面に平行に切った面を考えます。この面は円になるので、微小な厚み $dz$ をもつ円板と考え、この円板の慣性モーメントを $z$ 座標を用いて表します。ただし、密度は $\rho$ とします。 (2) 球は(1)の円板を重ねたものと考えることができます。円板の厚みを $dz$ とし、球の中心軸に関する慣性モーメントを求めます。なお、密度 $\rho$ は $M$ , $a$ を用いて表してから計算します。 ($\rho$ のままにしないこと)

応用数学慣性モーメント積分物理学力学
2025/5/31
以下に問題の解答を示します。

1. 問題の内容

質量 MM 、半径 aa の一様な球の中心を通る軸についての慣性モーメントを求めます。
(1) 球の中心を原点 OO とし、任意の座標 zzxyxy 平面に平行に切った面を考えます。この面は円になるので、微小な厚み dzdz をもつ円板と考え、この円板の慣性モーメントを zz 座標を用いて表します。ただし、密度は ρ\rho とします。
(2) 球は(1)の円板を重ねたものと考えることができます。円板の厚みを dzdz とし、球の中心軸に関する慣性モーメントを求めます。なお、密度 ρ\rhoMM , aa を用いて表してから計算します。 (ρ\rho のままにしないこと)

2. 解き方の手順

(1) zz 座標における円板の半径を rr とすると、r2+z2=a2r^2 + z^2 = a^2 が成り立ちます。よって、r=a2z2r = \sqrt{a^2 - z^2} となります。
円板の面積は S=πr2=π(a2z2)S = \pi r^2 = \pi (a^2 - z^2) です。
円板の体積は dV=Sdz=π(a2z2)dzdV = S dz = \pi (a^2 - z^2) dz です。
円板の質量は dm=ρdV=ρπ(a2z2)dzdm = \rho dV = \rho \pi (a^2 - z^2) dz です。
円板の慣性モーメント dIdI は、dI=12dmr2=12ρπ(a2z2)dz(a2z2)=12ρπ(a2z2)2dzdI = \frac{1}{2} dm r^2 = \frac{1}{2} \rho \pi (a^2 - z^2) dz (a^2 - z^2) = \frac{1}{2} \rho \pi (a^2 - z^2)^2 dz となります。
(2) 球全体の慣性モーメント II は、円板の慣性モーメント dIdIa-a から aa まで積分することで求められます。
I=aadI=aa12ρπ(a2z2)2dz=12ρπaa(a42a2z2+z4)dzI = \int_{-a}^{a} dI = \int_{-a}^{a} \frac{1}{2} \rho \pi (a^2 - z^2)^2 dz = \frac{1}{2} \rho \pi \int_{-a}^{a} (a^4 - 2a^2 z^2 + z^4) dz
I=12ρπ[a4z23a2z3+15z5]aa=12ρπ[(a523a5+15a5)(a5+23a515a5)]I = \frac{1}{2} \rho \pi \left[ a^4 z - \frac{2}{3} a^2 z^3 + \frac{1}{5} z^5 \right]_{-a}^{a} = \frac{1}{2} \rho \pi \left[ (a^5 - \frac{2}{3} a^5 + \frac{1}{5} a^5) - (-a^5 + \frac{2}{3} a^5 - \frac{1}{5} a^5) \right]
I=12ρπ[2a543a5+25a5]=ρπa5[123+15]=ρπa5[1510+315]=815ρπa5I = \frac{1}{2} \rho \pi \left[ 2a^5 - \frac{4}{3} a^5 + \frac{2}{5} a^5 \right] = \rho \pi a^5 \left[ 1 - \frac{2}{3} + \frac{1}{5} \right] = \rho \pi a^5 \left[ \frac{15 - 10 + 3}{15} \right] = \frac{8}{15} \rho \pi a^5
球の質量 MMM=43πa3ρM = \frac{4}{3} \pi a^3 \rho なので、ρ=3M4πa3\rho = \frac{3M}{4\pi a^3} となります。
これを II に代入すると、
I=8153M4πa3πa5=25Ma2I = \frac{8}{15} \cdot \frac{3M}{4\pi a^3} \cdot \pi a^5 = \frac{2}{5} M a^2

3. 最終的な答え

25Ma2\frac{2}{5} M a^2

「応用数学」の関連問題

30cmの定規を使い、反応速度を求めます。定規の0cmの位置に手を構え、定規が落ち始めたのを確認してすぐに掴んだところ、9cm落下した地点で掴みました。この時の反応速度を求めます。

物理運動自由落下重力加速度反応速度
2025/6/2

30cmの定規を使って反応速度を求める。定規を0cmにあわせて手を構え、定規が落ちたのを確認したらすぐに掴んだ。定規が落ちてから12cmのところで掴んだとき、反応速度を求める。

物理運動重力時間反応速度平方根
2025/6/2

$x$軸上を運動する質点の速度$v$が、$v = V_0(1-bt)$および$v = V_0(1-bt)^2$の場合について、それぞれの加速度$a$を計算する問題です。ただし、$V_0$と$b$は定数...

微分運動加速度物理
2025/6/2

$x$軸上を運動する2つの物体A, Bの$x-t$図が与えられている。物体のAの位置は $x = at + c$ で表され、物体のBの位置は $x = bt + d$ で表される。2つの物体の衝突地点...

物理運動方程式衝突一次関数
2025/6/2

与えられたx-tグラフ、v-tグラフ、a-tグラフをもとに、以下の問いに答える。 (1) 加速時の加速度 $a_1$ と減速時の加速度 $-a_2$ を、$v, t_1, t_2, t_3$ で表す。...

運動速度加速度変位グラフ等加速度運動
2025/6/2

ある物体の $x$-$t$ グラフ, $v$-$t$ グラフ, $a$-$t$ グラフが図3に示されている。 (1) 加速の際の加速度 $a_1$, 減速の際の加速度 $-a_2$ を $v$, $t...

運動速度加速度時間グラフ物理
2025/6/2

図3に示すように、質量 $m_A$ の物体Aと質量 $m_B$ の物体Bが紐でつながれています。物体Aは鉛直方向に吊り下げられており、物体Bは水平なテーブルの上に置かれています。このとき、紐に作用する...

力学運動方程式張力摩擦物理
2025/6/2

原点Oを正の向きに通過した物体の、$v-t$グラフが与えられている。このグラフから、以下の4つの問いに答える。 (1) この物体の加速度 $a$ はどの向きに何 m/s² か。 (2) 物体が原点から...

力学運動速度加速度グラフ面積
2025/6/2

エレベーターが停止状態から上昇し停止するまでの加速度 $a$ [m/s^2] の時間変化が与えられています。この情報から以下の問題を解きます。 (1) エレベーターの速度 $v$ [m/s] と時間 ...

運動速度加速度グラフ積分
2025/6/2

直線道路を走る自動車が、$10 \ m/s$ の速度から $20 \ m/s$ の速度まで一定の加速度で加速する間に $60 \ m$ 進んだ。 (1) 自動車の加速度の大きさと向きを求める。 (2)...

物理運動等加速度直線運動速度加速度時間
2025/6/2