マクローリン級数を使わずに、以下の式が成り立つことを示す問題です。 $$\tan^{-1} x = x - \frac{1}{3}x^3 + O(x^5) \quad (x \to 0)$$

1. 問題の内容

マクローリン級数を使わずに、以下の式が成り立つことを示す問題です。

$$\tan^{-1} x = x - \frac{1}{3}x^3 + O(x^5) \quad (x \to 0)$$

2. 解き方の手順

まず、$f(x) = \tan^{-1} x$ とおきます。

次に、この関数を微分します。

$f'(x) = \frac{1}{1+x^2}$

さらに、この関数をもう一度微分します。

$f''(x) = \frac{-2x}{(1+x^2)^2}$

もう一度微分します。

$f'''(x) = \frac{-2(1+x^2)^2 - (-2x)(2(1+x^2)(2x))}{(1+x^2)^4} = \frac{-2(1+x^2)^2 + 8x^2(1+x^2)}{(1+x^2)^4} = \frac{-2(1+x^2) + 8x^2}{(1+x^2)^3} = \frac{6x^2-2}{(1+x^2)^3}$

$x=0$ におけるこれらの導関数の値を計算します。

$f(0) = \tan^{-1} 0 = 0$

$f'(0) = \frac{1}{1+0^2} = 1$

$f''(0) = \frac{-2(0)}{(1+0^2)^2} = 0$

$f'''(0) = \frac{6(0)^2 - 2}{(1+0^2)^3} = -2$

次に、テイラーの定理を用います。 $x \to 0$ のとき、

$f(x) = f(0) + f'(0)x + \frac{f''(0)}{2!}x^2 + \frac{f'''(0)}{3!}x^3 + O(x^4)$

これらの値を代入すると、

$f(x) = 0 + 1 \cdot x + \frac{0}{2}x^2 + \frac{-2}{6}x^3 + O(x^4) = x - \frac{1}{3}x^3 + O(x^4)$

問題文より、$O(x^5)$の形にする必要があるので、もう一度微分します。

$f^{(4)}(x) = \frac{12x(1+x^2)^3 - (6x^2-2)(3(1+x^2)^2(2x))}{(1+x^2)^6} = \frac{12x(1+x^2)^3 - 6x(6x^2-2)(1+x^2)^2}{(1+x^2)^6} = \frac{12x(1+x^2) - 6x(6x^2-2)}{(1+x^2)^4} = \frac{12x + 12x^3 - 36x^3 + 12x}{(1+x^2)^4} = \frac{24x - 24x^3}{(1+x^2)^4}$

$f^{(4)}(0) = 0$

$f^{(5)}(x) = \frac{(24 - 72x^2)(1+x^2)^4 - (24x - 24x^3)(4(1+x^2)^3(2x))}{(1+x^2)^8}$

$f^{(5)}(x) = \frac{(24 - 72x^2)(1+x^2) - (24x - 24x^3)(8x)}{(1+x^2)^5}$

$f^{(5)}(0) = \frac{(24-0)(1) - (0)(0)}{1} = 24$

$f(x) = f(0) + f'(0)x + \frac{f''(0)}{2!}x^2 + \frac{f'''(0)}{3!}x^3 + \frac{f^{(4)}(0)}{4!}x^4 + \frac{f^{(5)}(0)}{5!}x^5 + O(x^6)$

$f(x) = 0 + x + 0 - \frac{1}{3}x^3 + 0 + \frac{24}{120}x^5 + O(x^6)$

$f(x) = x - \frac{1}{3}x^3 + \frac{1}{5}x^5 + O(x^6)$

したがって、$x \to 0$ において、

$\tan^{-1} x = x - \frac{1}{3}x^3 + O(x^5)$

3. 最終的な答え

$\tan^{-1} x = x - \frac{1}{3}x^3 + O(x^5) \quad (x \to 0)$