写像 $f: X \rightarrow Y$ と $g: Y \rightarrow Z$ が与えられたとき、以下の4つの命題が正しいかどうかを判定し、正しい場合は証明し、正しくない場合は反例を挙げよ。 (1) 合成写像 $g \circ f$ が全射かつ $f$ が単射ならば、$g$ は全射である。 (2) 合成写像 $g \circ f$ が全射かつ $f$ が全射ならば、$g$ は単射である。 (3) 合成写像 $g \circ f$ が全射かつ $g$ が単射ならば、$f$ は全射である。 (4) 合成写像 $g \circ f$ が全射かつ $g$ が全射ならば、$f$ は単射である。

代数学写像全射単射合成写像集合論
2025/6/3

1. 問題の内容

写像 f:XYf: X \rightarrow Yg:YZg: Y \rightarrow Z が与えられたとき、以下の4つの命題が正しいかどうかを判定し、正しい場合は証明し、正しくない場合は反例を挙げよ。
(1) 合成写像 gfg \circ f が全射かつ ff が単射ならば、gg は全射である。
(2) 合成写像 gfg \circ f が全射かつ ff が全射ならば、gg は単射である。
(3) 合成写像 gfg \circ f が全射かつ gg が単射ならば、ff は全射である。
(4) 合成写像 gfg \circ f が全射かつ gg が全射ならば、ff は単射である。

2. 解き方の手順

(1)
gfg \circ f が全射なので、任意の zZz \in Z に対して、xXx \in X が存在して (gf)(x)=g(f(x))=z(g \circ f)(x) = g(f(x)) = z となる。
f(x)Yf(x) \in Y であり、g(f(x))=zg(f(x)) = z なので、gg は全射である。
(2)
反例を挙げる。
X={1,2}X = \{1, 2\}, Y={1,2}Y = \{1, 2\}, Z={1}Z = \{1\} とし、写像を f(1)=1,f(2)=2,g(1)=1,g(2)=1f(1) = 1, f(2) = 2, g(1) = 1, g(2) = 1 と定める。
このとき、gfg \circ fg(f(1))=g(1)=1,g(f(2))=g(2)=1g(f(1)) = g(1) = 1, g(f(2)) = g(2) = 1 となり、gf:XZg \circ f: X \rightarrow Z は全射である。また、ff も全射である。
しかし、ggg(1)=g(2)=1g(1) = g(2) = 1 であるから単射ではない。
(3)
反例を挙げる。
X={1}X = \{1\}, Y={1,2}Y = \{1, 2\}, Z={1}Z = \{1\} とし、写像を f(1)=1,g(1)=1,g(2)=1f(1) = 1, g(1) = 1, g(2) = 1 と定める。
このとき、gfg \circ fg(f(1))=g(1)=1g(f(1)) = g(1) = 1 となり、gf:XZg \circ f: X \rightarrow Z は全射である。また、gg は単射ではない。
しかし、X={1}X = \{1\}, Y={1,2}Y = \{1, 2\}, Z={1}Z = \{1\} とし、写像を f(1)=1,g(1)=1,g(2)=1f(1) = 1, g(1) = 1, g(2) = 1 と定める。
このとき、gfg \circ fg(f(1))=g(1)=1g(f(1)) = g(1) = 1 となり、gf:XZg \circ f: X \rightarrow Z は全射である。 gg は単射であると仮定しているが、gg が単射なら、YYZZ と同じか、Y<Z|Y| < |Z| であるはずであるので、そもそも条件を満たさない。
例として、X={1,2}X = \{1, 2\}, Y={1,2,3}Y = \{1, 2, 3\}, Z={1}Z = \{1\} とし、f(1)=1,f(2)=2,g(1)=1,g(2)=1,g(3)=1f(1)=1, f(2)=2, g(1)=1, g(2)=1, g(3)=1とする。ggは単射ではないが、全射である。したがって、gfg \circ f は全射である。しかし、ff は全射ではない。
別の例:X={1},Y={1,2},Z={1,2}X = \{1\}, Y = \{1, 2\}, Z = \{1, 2\}. f(1)=1,g(1)=1,g(2)=2f(1) = 1, g(1) = 1, g(2) = 2 とする。gf(1)=g(f(1))=g(1)=1g \circ f (1) = g(f(1)) = g(1) = 1, gf:XZg \circ f : X \to Z は全射ではない。また gg は単射。ff は全射ではない。
X={1,2},Y={1,2,3},Z={1,2}X = \{1, 2\}, Y = \{1, 2, 3\}, Z = \{1, 2\}. f(1)=1,f(2)=2,g(1)=1,g(2)=2,g(3)=2f(1) = 1, f(2) = 2, g(1) = 1, g(2) = 2, g(3) = 2 とする。gf(1)=g(f(1))=g(1)=1,gf(2)=g(f(2))=g(2)=2g \circ f (1) = g(f(1)) = g(1) = 1, g \circ f(2) = g(f(2)) = g(2) = 2, gf:XZg \circ f : X \to Z は全射。 gg は全射ではないので条件を満たさない。
ff は全射ではない。
(4)
gfg \circ f が全射なので、任意の zZz \in Z に対して、xXx \in X が存在して g(f(x))=zg(f(x)) = z となる。
gg が全射なので、任意の zZz \in Z に対して、yYy \in Y が存在して g(y)=zg(y) = z となる。
g(f(x))=zg(f(x)) = z であり、gg が全射であるので、任意の yYy \in Y に対して、zZz \in Z が定まる。
gfg \circ f が全射かつ gg が全射ならば、ff は単射である。これは成り立たない。
反例:X={1,2},Y={1,2},Z={1}X = \{1, 2\}, Y = \{1, 2\}, Z = \{1\}.
f(1)=1,f(2)=2,g(1)=1,g(2)=1f(1) = 1, f(2) = 2, g(1) = 1, g(2) = 1とする。
ggは全射である。gf(1)=g(f(1))=g(1)=1,gf(2)=g(f(2))=g(2)=1g \circ f (1) = g(f(1)) = g(1) = 1, g \circ f(2) = g(f(2)) = g(2) = 1 であり、gfg \circ f は全射である。
しかし、ff は単射である。
しかし、f(1)=f(2)f(1)=f(2)となる場合、ffは単射でない。

3. 最終的な答え

(1) 正しい。
(2) 正しくない。反例あり。
(3) 正しくない。反例あり。
(4) 正しくない。反例あり。

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