ベクトル場の回転は、微小な領域を考えたときに、その領域を回転させる力(モーメント)の密度を表します。
2次元ベクトル場、すなわち y-z 平面におけるベクトル場 v を考えます。ここに微小な正方形の領域を置くとします。この正方形の各辺に沿って流れるベクトル場を考え、その結果として正方形が回転するかどうかを調べます。 具体的には、正方形の四隅における速度を考えます。
正方形の頂点を (y,z),(y+Δy,z),(y,z+Δz),(y+Δy,z+Δz) とします。 * 正方形の下側の辺:(y,z)から(y+Δy,z)まで。この辺に沿った速度は vy(y,z) と近似できます。この辺を流れる水の量は vy(y,z)Δy に比例します。 * 正方形の上側の辺:(y,z+Δz)から(y+Δy,z+Δz)まで。この辺に沿った速度は vy(y,z+Δz) と近似できます。この辺を流れる水の量は vy(y,z+Δz)Δy に比例します。 * 正方形の左側の辺:(y,z)から(y,z+Δz)まで。この辺に沿った速度は vz(y,z) と近似できます。この辺を流れる水の量は vz(y,z)Δz に比例します。 * 正方形の右側の辺:(y+Δy,z)から(y+Δy,z+Δz)まで。この辺に沿った速度は vz(y+Δy,z) と近似できます。この辺を流れる水の量は vz(y+Δy,z)Δz に比例します。 正方形の回転は、それぞれの辺の速度によって引き起こされるトルクによって決まります。反時計回りを正とします。
* 下側の辺は正方形を反時計回りに回転させようとします。トルクは vy(y,z)Δy×distance に比例します。 * 上側の辺は正方形を時計回りに回転させようとします。トルクは −vy(y,z+Δz)Δy×distance に比例します。 * 左側の辺は正方形を時計回りに回転させようとします。トルクは −vz(y,z)Δz×distance に比例します。 * 右側の辺は正方形を反時計回りに回転させようとします。トルクは vz(y+Δy,z)Δz×distance に比例します。 正方形の中心周りのトルクを合計すると、
T∝(vz(y+Δy,z)−vz(y,z))Δz−(vy(y,z+Δz)−vy(y,z))Δy Δy と Δz が微小であるとき、vz(y+Δy,z)−vz(y,z)≈∂y∂vzΔy および vy(y,z+Δz)−vy(y,z)≈∂z∂vyΔz が成り立ちます。 したがって、
T∝∂y∂vzΔyΔz−∂z∂vyΔzΔy=(∂y∂vz−∂z∂vy)ΔyΔz 単位面積あたりのトルク(回転)は、
ΔyΔzT∝∂y∂vz−∂z∂vy これが回転の x 成分になるため、rot v=(∂y∂vz−∂z∂vy)i となります。 水の流れにおける歯車の回転を考えると、同様の議論ができます。ベクトル場が vy と vz を持つ場合、上記の解析からわかるように、ベクトル場の回転は、y軸に垂直な軸周りの歯車の回転(すなわち、x軸周りの回転)を表します。