$r > 1$を満たす実数$r$に対して、無限級数$\sum_{n=1}^{\infty} \frac{n}{r^n}$が収束することを示す問題に対するAさんの考え方が示されています。Aさんの考え方には3つの下線部があり、その中に正しくないものが1つあります。その番号を答えることが問題です。

解析学無限級数収束極限二項定理
2025/6/3

1. 問題の内容

r>1r > 1を満たす実数rrに対して、無限級数n=1nrn\sum_{n=1}^{\infty} \frac{n}{r^n}が収束することを示す問題に対するAさんの考え方が示されています。Aさんの考え方には3つの下線部があり、その中に正しくないものが1つあります。その番号を答えることが問題です。

2. 解き方の手順

まず、Aさんの考え方を見ていきましょう。
r=1+hr = 1 + hとおき、二項定理を用いると、rn>n(n1)2h2r^n > \frac{n(n-1)}{2} h^2 (n2n \geq 2)が示される。
r=1+hr = 1 + hとすると、h=r1>0h = r - 1 > 0となります。二項定理より、
rn=(1+h)n=k=0n(nk)hk=(n0)+(n1)h+(n2)h2+...+(nn)hnr^n = (1+h)^n = \sum_{k=0}^{n} \binom{n}{k} h^k = \binom{n}{0} + \binom{n}{1}h + \binom{n}{2}h^2 + ... + \binom{n}{n}h^n
rn>(n2)h2=n(n1)2h2r^n > \binom{n}{2} h^2 = \frac{n(n-1)}{2} h^2
よって、①は正しいです。
limnnrn=0\lim_{n\to\infty} \frac{n}{r^n} = 0となる。
nrn<nn(n1)2h2=2(n1)h2\frac{n}{r^n} < \frac{n}{\frac{n(n-1)}{2} h^2} = \frac{2}{(n-1)h^2}
limn2(n1)h2=0\lim_{n\to\infty} \frac{2}{(n-1)h^2} = 0であるから、limnnrn=0\lim_{n\to\infty} \frac{n}{r^n} = 0となります。
よって、②は正しいです。
limnan=0\lim_{n\to\infty} a_n = 0のとき、n=1an\sum_{n=1}^{\infty} a_nは収束するから、n=1nrn\sum_{n=1}^{\infty} \frac{n}{r^n}は収束する。
limnan=0\lim_{n\to\infty} a_n = 0は、n=1an\sum_{n=1}^{\infty} a_nが収束するための必要条件ではありますが、十分条件ではありません。
例えば、an=1na_n = \frac{1}{n}の場合、limn1n=0\lim_{n\to\infty} \frac{1}{n} = 0ですが、n=11n\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n}は発散します。(調和級数)
よって、③は正しくありません。

3. 最終的な答え

3

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