スカラー場 $\phi = xy^2 + xz$ が与えられたとき、以下の問いに答えます。 (1) 点 $P(1, -1, 1)$ における $\phi$ の勾配 $\text{grad} \phi (P)$ を求めます。 (2) $\phi$ の点 $P(1, -1, 1)$ における最大傾斜方向の単位ベクトル $\mathbf{u}$ を求めます。 (3) 点 $P$ から点 $Q(2, 1, 0)$ への方向における $\phi$ の方向微分係数を求めます。

応用数学ベクトル解析勾配方向微分係数スカラー場偏微分
2025/6/3

1. 問題の内容

スカラー場 ϕ=xy2+xz\phi = xy^2 + xz が与えられたとき、以下の問いに答えます。
(1) 点 P(1,1,1)P(1, -1, 1) における ϕ\phi の勾配 gradϕ(P)\text{grad} \phi (P) を求めます。
(2) ϕ\phi の点 P(1,1,1)P(1, -1, 1) における最大傾斜方向の単位ベクトル u\mathbf{u} を求めます。
(3) 点 PP から点 Q(2,1,0)Q(2, 1, 0) への方向における ϕ\phi の方向微分係数を求めます。

2. 解き方の手順

(1) 勾配 gradϕ\text{grad} \phi を求めるには、ϕ\phi の各変数に関する偏微分を計算する必要があります。
ϕx=y2+z\frac{\partial \phi}{\partial x} = y^2 + z
ϕy=2xy\frac{\partial \phi}{\partial y} = 2xy
ϕz=x\frac{\partial \phi}{\partial z} = x
したがって、勾配は gradϕ=(ϕx,ϕy,ϕz)=(y2+z,2xy,x)\text{grad} \phi = \left( \frac{\partial \phi}{\partial x}, \frac{\partial \phi}{\partial y}, \frac{\partial \phi}{\partial z} \right) = (y^2+z, 2xy, x) です。
P(1,1,1)P(1, -1, 1) における勾配は、
gradϕ(P)=((1)2+1,2(1)(1),1)=(1+1,2,1)=(2,2,1)\text{grad} \phi (P) = ((-1)^2+1, 2(1)(-1), 1) = (1+1, -2, 1) = (2, -2, 1) となります。
(2) 最大傾斜方向は勾配の方向です。したがって、単位ベクトル u\mathbf{u} は、勾配をその大きさで割ることで得られます。
gradϕ(P)=(2,2,1)\text{grad} \phi (P) = (2, -2, 1) の大きさは、
gradϕ(P)=22+(2)2+12=4+4+1=9=3||\text{grad} \phi (P)|| = \sqrt{2^2 + (-2)^2 + 1^2} = \sqrt{4 + 4 + 1} = \sqrt{9} = 3
したがって、最大傾斜方向の単位ベクトル u\mathbf{u} は、
u=gradϕ(P)gradϕ(P)=(2,2,1)3=(23,23,13)\mathbf{u} = \frac{\text{grad} \phi (P)}{||\text{grad} \phi (P)||} = \frac{(2, -2, 1)}{3} = \left( \frac{2}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{1}{3} \right) となります。
(3) 方向微分係数は、勾配と方向ベクトルとの内積で与えられます。
P(1,1,1)P(1, -1, 1) から点 Q(2,1,0)Q(2, 1, 0) への方向ベクトル v\mathbf{v} は、
v=QP=(21,1(1),01)=(1,2,1)\mathbf{v} = Q - P = (2-1, 1-(-1), 0-1) = (1, 2, -1)
単位方向ベクトル v^\hat{\mathbf{v}} は、v\mathbf{v} をその大きさで割ることで得られます。
v=12+22+(1)2=1+4+1=6||\mathbf{v}|| = \sqrt{1^2 + 2^2 + (-1)^2} = \sqrt{1 + 4 + 1} = \sqrt{6}
したがって、単位方向ベクトル v^\hat{\mathbf{v}} は、
v^=vv=(1,2,1)6=(16,26,16)\hat{\mathbf{v}} = \frac{\mathbf{v}}{||\mathbf{v}||} = \frac{(1, 2, -1)}{\sqrt{6}} = \left( \frac{1}{\sqrt{6}}, \frac{2}{\sqrt{6}}, -\frac{1}{\sqrt{6}} \right)
方向微分係数は、gradϕ(P)v^\text{grad} \phi (P) \cdot \hat{\mathbf{v}} で与えられます。
gradϕ(P)v^=(2,2,1)(16,26,16)=264616=2416=36=62\text{grad} \phi (P) \cdot \hat{\mathbf{v}} = (2, -2, 1) \cdot \left( \frac{1}{\sqrt{6}}, \frac{2}{\sqrt{6}}, -\frac{1}{\sqrt{6}} \right) = \frac{2}{\sqrt{6}} - \frac{4}{\sqrt{6}} - \frac{1}{\sqrt{6}} = \frac{2 - 4 - 1}{\sqrt{6}} = \frac{-3}{\sqrt{6}} = -\frac{\sqrt{6}}{2}

3. 最終的な答え

(1) gradϕ(P)=(2,2,1)\text{grad} \phi (P) = (2, -2, 1)
(2) u=(23,23,13)\mathbf{u} = \left( \frac{2}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{1}{3} \right)
(3) 方向微分係数 =62= -\frac{\sqrt{6}}{2}

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