問題は2つあります。 1つ目は、時間 $t$ に対する2つの関数 $f(t)$ と $g(t)$ があるとして、相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ と自己相関関数 $R_{ff}(\tau)$ の式を記述し、それぞれの相関関数を用いるとどのような情報が得られるかを記述します。 2つ目は、区間 $[0, 2\pi]$ で定義された二つの関数 $f(t) = \sin t$ と $g(t) = \cos t$ について、相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ を求め、規格化し、$R_{fg}(\tau)$ から何が分かるかを記述します。

1. 問題の内容

問題は2つあります。

1つ目は、時間 $t$ に対する2つの関数 $f(t)$ と $g(t)$ があるとして、相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ と自己相関関数 $R_{ff}(\tau)$ の式を記述し、それぞれの相関関数を用いるとどのような情報が得られるかを記述します。

2つ目は、区間 $[0, 2\pi]$ で定義された二つの関数 $f(t) = \sin t$ と $g(t) = \cos t$ について、相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ を求め、規格化し、$R_{fg}(\tau)$ から何が分かるかを記述します。

2. 解き方の手順

1つ目の問題について

1) 相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ は次のように定義されます。

$R_{fg}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)g(t-\tau) dt$

2) 相互相関関数は、2つの信号の類似度を時間遅延 $\tau$ の関数として表します。ピークの位置で最も類似していることが分かります。

3) 自己相関関数 $R_{ff}(\tau)$ は次のように定義されます。

$R_{ff}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)f(t-\tau) dt$

4) 自己相関関数は、信号自身の類似度を時間遅延 $\tau$ の関数として表します。周期性やノイズの情報を知ることができます。

2つ目の問題について

$f(t) = \sin t$ と $g(t) = \cos t$ の相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ を求めます。

$R_{fg}(\tau) = \int_{0}^{2\pi} \sin(t) \cos(t-\tau) dt$

三角関数の積和の公式を用いて、

$\sin(t) \cos(t-\tau) = \frac{1}{2} [\sin(t + t - \tau) + \sin(t - (t - \tau))] = \frac{1}{2} [\sin(2t - \tau) + \sin(\tau)]$

したがって、

$R_{fg}(\tau) = \frac{1}{2} \int_{0}^{2\pi} [\sin(2t - \tau) + \sin(\tau)] dt$

$R_{fg}(\tau) = \frac{1}{2} \left[ -\frac{1}{2} \cos(2t - \tau) \Biggr|_{0}^{2\pi} + \sin(\tau) \int_{0}^{2\pi} dt \right]$

$R_{fg}(\tau) = \frac{1}{2} \left[ -\frac{1}{2} (\cos(4\pi - \tau) - \cos(-\tau)) + \sin(\tau) (2\pi - 0) \right]$

$\cos(4\pi - \tau) = \cos(-\tau) = \cos(\tau)$ なので、

$R_{fg}(\tau) = \frac{1}{2} \left[ 0 + 2\pi \sin(\tau) \right] = \pi \sin(\tau)$

したがって、$R_{fg}(\tau) = \pi \sin(\tau)$ となります。

規格化するには、信号のエネルギーで割る必要があります。

$E_f = \int_{0}^{2\pi} \sin^2(t) dt = \pi$

$E_g = \int_{0}^{2\pi} \cos^2(t) dt = \pi$

規格化された相互相関関数は

$R_{fg}(\tau) / \sqrt{E_f E_g} = \frac{\pi \sin(\tau)}{\sqrt{\pi \pi}} = \sin(\tau)$

$R_{fg}(\tau) = \sin(\tau)$ から、$\sin t$ と $\cos t$ は $\pi/2$ だけ位相がずれていることが分かります。

3. 最終的な答え

1. 1) $R_{fg}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)g(t-\tau) dt$

2) 2つの信号の類似度（時間遅延 $\tau$ の関数として）

3) $R_{ff}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)f(t-\tau) dt$

4) 信号自身の類似度（周期性やノイズの情報を含む）

2. $R_{fg}(\tau) = \sin(\tau)$

$\sin t$ と $\cos t$ は $\pi/2$ だけ位相がずれている。