問題は大きく分けて2つあります。 1つ目は、2つの関数 $f(t)$ と $g(t)$ が与えられたときに、相互相関関数と自己相関関数を定義し、それぞれの関数を用いるとどのような情報が得られるかを問う問題です。 2つ目は、区間 $[0, 2\pi]$ で定義された2つの関数 $f(t) = \sin t$ と $g(t) = \cos t$ が与えられたときに、相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ を求め(規格化すること)、また、$R_{fg}(\tau)$ から何がわかるかを問う問題です。

応用数学信号処理相互相関関数自己相関関数フーリエ解析三角関数
2025/6/8

1. 問題の内容

問題は大きく分けて2つあります。
1つ目は、2つの関数 f(t)f(t)g(t)g(t) が与えられたときに、相互相関関数と自己相関関数を定義し、それぞれの関数を用いるとどのような情報が得られるかを問う問題です。
2つ目は、区間 [0,2π][0, 2\pi] で定義された2つの関数 f(t)=sintf(t) = \sin tg(t)=costg(t) = \cos t が与えられたときに、相互相関関数 Rfg(τ)R_{fg}(\tau) を求め(規格化すること)、また、Rfg(τ)R_{fg}(\tau) から何がわかるかを問う問題です。

2. 解き方の手順

1つ目の問題について:
1) 相互相関関数 Rfg(τ)R_{fg}(\tau) の式を書く。
相互相関関数は、一方の関数を時間シフトさせたものと、もう一方の関数との積の積分で定義されます。
Rfg(τ)=f(t)g(t+τ)dtR_{fg}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)g(t+\tau) dt
2) 相互相関関数を用いると、どのような情報が得られるか。
相互相関関数は、2つの信号の類似度を時間遅れ τ\tau の関数として表します。ピークの位置から、一方の信号がもう一方の信号に対してどれだけ時間的にずれているか(遅延時間)を知ることができます。また、ピークの高さから、2つの信号がどれだけ似ているかを知ることができます。
3) 自己相関関数 Rff(τ)R_{ff}(\tau) の式を書く。
自己相関関数は、関数自身と、それを時間シフトさせたものとの積の積分で定義されます。
Rff(τ)=f(t)f(t+τ)dtR_{ff}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)f(t+\tau) dt
4) 自己相関関数を用いると、どのような情報が得られるか。
自己相関関数は、信号の周期性や繰り返しパターンを検出するために使用されます。信号に周期性がある場合、自己相関関数にも周期的なピークが現れます。
2つ目の問題について:
区間 [0,2π][0, 2\pi] で定義された f(t)=sintf(t) = \sin tg(t)=costg(t) = \cos t の相互相関関数 Rfg(τ)R_{fg}(\tau) を求める。
Rfg(τ)=02πsin(t)cos(t+τ)dtR_{fg}(\tau) = \int_{0}^{2\pi} \sin(t) \cos(t + \tau) dt
三角関数の積和公式 cos(A+B)=cosAcosBsinAsinB\cos(A+B) = \cos A \cos B - \sin A \sin B を用いると、
Rfg(τ)=02πsin(t)(cos(t)cos(τ)sin(t)sin(τ))dtR_{fg}(\tau) = \int_{0}^{2\pi} \sin(t) (\cos(t) \cos(\tau) - \sin(t) \sin(\tau)) dt
Rfg(τ)=02π(sin(t)cos(t)cos(τ)sin2(t)sin(τ))dtR_{fg}(\tau) = \int_{0}^{2\pi} (\sin(t)\cos(t)\cos(\tau) - \sin^2(t)\sin(\tau)) dt
Rfg(τ)=cos(τ)02πsin(t)cos(t)dtsin(τ)02πsin2(t)dtR_{fg}(\tau) = \cos(\tau)\int_{0}^{2\pi} \sin(t)\cos(t) dt - \sin(\tau)\int_{0}^{2\pi} \sin^2(t) dt
02πsin(t)cos(t)dt=1202πsin(2t)dt=12[12cos(2t)]02π=0\int_{0}^{2\pi} \sin(t)\cos(t) dt = \frac{1}{2}\int_{0}^{2\pi} \sin(2t) dt = \frac{1}{2} \left[-\frac{1}{2}\cos(2t)\right]_{0}^{2\pi} = 0
02πsin2(t)dt=02π1cos(2t)2dt=[t2sin(2t)4]02π=π\int_{0}^{2\pi} \sin^2(t) dt = \int_{0}^{2\pi} \frac{1 - \cos(2t)}{2} dt = \left[\frac{t}{2} - \frac{\sin(2t)}{4}\right]_{0}^{2\pi} = \pi
よって、
Rfg(τ)=cos(τ)0sin(τ)π=πsin(τ)R_{fg}(\tau) = \cos(\tau) \cdot 0 - \sin(\tau) \cdot \pi = -\pi\sin(\tau)
規格化するためには、自己相関関数の最大値で割る必要があります。Rff(0)=02πsin2(t)dt=πR_{ff}(0)=\int_0^{2\pi}sin^2(t)dt = \piなので、
規格化された相互相関関数は、
Rfg(τ)=sin(τ)R_{fg}(\tau) = -\sin(\tau)
Rfg(τ)R_{fg}(\tau) からわかること:
f(t)f(t)g(t)g(t) の位相差は π/2\pi/2 であることがわかります。具体的には、g(t)g(t)f(t)f(t) に対して π/2\pi/2 だけ進んでいる(または、f(t)f(t)g(t)g(t) より π/2\pi/2 だけ遅れている)と言えます。

3. 最終的な答え

1) Rfg(τ)=f(t)g(t+τ)dtR_{fg}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)g(t+\tau) dt
2) 2つの信号の類似度を時間遅れ τ\tau の関数として表す。
3) Rff(τ)=f(t)f(t+τ)dtR_{ff}(\tau) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t)f(t+\tau) dt
4) 信号の周期性や繰り返しパターンを検出する。

2. $R_{fg}(\tau) = -\sin(\tau)$

f(t)f(t)g(t)g(t) の位相差は π/2\pi/2 である。

「応用数学」の関連問題

問題は二つあります。 一つ目の問題は、時間 $t$ に対する二つの関数 $f(t)$、 $g(t)$ があるとして、以下の問いに答えることです。 1) 相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ の式...

信号処理相互相関自己相関フーリエ解析三角関数
2025/6/8

質量$M$の物体Aと質量$m$の物体Bが、定滑車を通して糸でつながれている。ただし、$M > m$とする。物体Bは地面に接しており、物体Aは空中に静止している。このとき、物体Aを静かに離した場合につい...

力学運動方程式重力張力加速度
2025/6/8

問題は2つあります。 1つ目は、時間 $t$ に対する2つの関数 $f(t)$ と $g(t)$ があるとして、相互相関関数 $R_{fg}(\tau)$ と自己相関関数 $R_{ff}(\tau)$...

信号処理相関関数フーリエ変換三角関数
2025/6/8

高さ $122.5 \ m$ のところから物体を自由落下させたとき、地面に到達するまでの時間と、地面に到達する直前の速度を求める問題です。空気抵抗は無視できるものとします。重力加速度を $g = 9....

物理自由落下力学運動重力加速度
2025/6/8

高度が100m高くなるごとに0.65℃下がる状況で、以下の3つの問いに答えます。 (1) 高度$x$ mのときの気温$y$℃をグラフで表した図を選択肢から選びます。 (2) 気温が-1℃となる高度を、...

一次関数グラフ方程式気温高度
2025/6/8

$x, y$ が3つの不等式 $y \ge -\frac{5}{3}x + 5$, $y \ge 3x - 9$, $y \le \frac{1}{5}x + 5$ を満たすとき、$x+y$ の最小値...

線形計画法不等式最大最小幾何学
2025/6/8

この問題は、斜面上を滑る物体の運動を扱っており、最終的な速度を求めるための式が与えられています。与えられた式から、最終速度 $v$ を求めることが目的です。

力学運動エネルギー保存則運動方程式物理
2025/6/8

なめらかな水平面上に質量 $M$ の物体Aと質量 $m$ の物体Bがあり、これらが糸で繋がれている。物体Bを力 $F$ で右向きに引いた時、物体A, Bが一体となって右に運動するときの、(1)物体A,...

力学運動方程式物理加速度張力
2025/6/8

傾斜角 $\theta$ の粗い斜面上に質量 $m$ の物体を置いたところ、物体は斜面を滑り落ち始めた。物体と斜面の静止摩擦係数を $\mu$ 、動摩擦係数を $\mu'$ 、重力加速度を $g$ と...

力学運動方程式摩擦等加速度運動物理
2025/6/8

3次元ベクトル $\mathbf{f} = (4, -4, 7)$ と $\mathbf{g} = (3, -2, 6)$ について、以下の量を求めます。 * ベクトル間の距離 * ベクトルの...

ベクトル距離内積相関係数ベクトル射影
2025/6/8