1. 問題の内容
正則行列 の逆行列 は、ある多項式に を代入したものとして表わされることを示す。
2. 解き方の手順
ケーリー・ハミルトンの定理を用いる。 行列 の特性多項式を とすると、ケーリー・ハミルトンの定理により、
f(A) = 0
が成り立つ。ここで、特性多項式 は、
f(\lambda) = \det(\lambda I - A) = \lambda^n + c_{n-1} \lambda^{n-1} + \cdots + c_1 \lambda + c_0
と表される。このとき、 が正則行列であることから、 であり、 である。したがって、 である。
より、
A^n + c_{n-1} A^{n-1} + \cdots + c_1 A + c_0 I = 0
が成り立つ。この式を変形して、 を左辺に残し、他の項を右辺に移項すると、
c_0 I = - (A^n + c_{n-1} A^{n-1} + \cdots + c_1 A)
両辺を で割ると ( より可能)、
I = -\frac{1}{c_0} (A^n + c_{n-1} A^{n-1} + \cdots + c_1 A)
さらに、両辺に をかけると、
A^{-1} = -\frac{1}{c_0} (A^{n-1} + c_{n-1} A^{n-2} + \cdots + c_1 I)
したがって、 は、 の多項式として表すことができる。具体的には、
g(A) = -\frac{1}{c_0} (A^{n-1} + c_{n-1} A^{n-2} + \cdots + c_1 I)
とおけば、 となる。
3. 最終的な答え
正則行列 の逆行列 は、ある多項式に を代入したものとして表わされる。