正則行列 $A$ の逆行列 $A^{-1}$ は、ある多項式に $A$ を代入したものとして表わされることを示す。

代数学線形代数行列逆行列ケーリー・ハミルトンの定理特性多項式
2025/6/11

1. 問題の内容

正則行列 AA の逆行列 A1A^{-1} は、ある多項式に AA を代入したものとして表わされることを示す。

2. 解き方の手順

ケーリー・ハミルトンの定理を用いる。n×nn \times n 行列 AA の特性多項式を f(λ)f(\lambda) とすると、ケーリー・ハミルトンの定理により、
f(A) = 0
が成り立つ。ここで、特性多項式 f(λ)f(\lambda) は、
f(\lambda) = \det(\lambda I - A) = \lambda^n + c_{n-1} \lambda^{n-1} + \cdots + c_1 \lambda + c_0
と表される。このとき、AA が正則行列であることから、det(A)0\det(A) \neq 0 であり、f(0)=c0=det(A)=(1)ndet(A)0f(0) = c_0 = \det(-A) = (-1)^n \det(A) \neq 0 である。したがって、c00c_0 \neq 0 である。
f(A)=0f(A) = 0 より、
A^n + c_{n-1} A^{n-1} + \cdots + c_1 A + c_0 I = 0
が成り立つ。この式を変形して、c0Ic_0 I を左辺に残し、他の項を右辺に移項すると、
c_0 I = - (A^n + c_{n-1} A^{n-1} + \cdots + c_1 A)
両辺を c0c_0 で割ると (c00c_0 \neq 0 より可能)、
I = -\frac{1}{c_0} (A^n + c_{n-1} A^{n-1} + \cdots + c_1 A)
さらに、両辺に A1A^{-1} をかけると、
A^{-1} = -\frac{1}{c_0} (A^{n-1} + c_{n-1} A^{n-2} + \cdots + c_1 I)
したがって、A1A^{-1} は、AA の多項式として表すことができる。具体的には、
g(A) = -\frac{1}{c_0} (A^{n-1} + c_{n-1} A^{n-2} + \cdots + c_1 I)
とおけば、A1=g(A)A^{-1} = g(A) となる。

3. 最終的な答え

正則行列 AA の逆行列 A1A^{-1} は、ある多項式に AA を代入したものとして表わされる。

「代数学」の関連問題

与えられた連立方程式を解いて、$x$と$y$の値を求める問題です。連立方程式は次のとおりです。 $3x - y = 9x + 5y = 1$

連立方程式一次方程式代入法方程式の解
2025/6/12

与えられた連立一次方程式を掃き出し法(基本変形)を用いて解く。4つの問題が与えられている。

連立一次方程式線形代数掃き出し法行列基本変形
2025/6/12

連立方程式 $\begin{cases} 2x + y = b \\ x + ay = 2 \end{cases}$ が与えられています。ただし、$a, b$ は定数です。この連立方程式が一意な解を持...

連立方程式線形代数行列式解の存在性
2025/6/12

連立方程式 $\begin{cases} 2x + y = b \\ x + ay = 2 \end{cases}$ が、一意には解をもたないときの、$a$ の値を求め、その後、与えられた条件($a ...

連立方程式線形代数方程式の解一次方程式
2025/6/12

連立方程式 $\begin{cases} 2x + y = b \\ x + ay = 2 \end{cases}$ が一意に解を持たないとき、以下の問題を解く。 (1) $a$の値を求めよ。 (2)...

連立方程式行列式線形代数解の存在性
2025/6/12

与えられた連立一次方程式について、以下の問いに答える。 (1) 解をもつための $a$ の条件を求める。 (2) $a = -2$ のとき、この連立方程式を解く。 連立一次方程式は、 $\begin{...

連立一次方程式線形代数行列行基本変形
2025/6/12

与えられた行列 $A$ の行列式を計算します。 $ A = \begin{bmatrix} 3 & 2 & -1 \\ 1 & 2 & 1 \\ 1 & -2 & 3 \end{bmatrix} $

行列式線形代数行列
2025/6/12

与えられた対数方程式 $\log_3 9x - 6\log_x 9 = 3$ を解きます。

対数対数方程式底の変換二次方程式
2025/6/12

0 < x ≤ y ≤ z を満たす整数 $x$, $y$, $z$ について、以下の問題を解く。 (1) $xyz + x + y + z = xy + yz + zx + 5$ を満たす整数 $x...

整数問題方程式不等式因数分解
2025/6/12

放物線 $y = x^2 - 2$ と直線 $y = 3x - a$ が接するときの定数 $a$ の値を求め、そのときの接点の座標を求める。

二次関数接する判別式接点の座標
2025/6/12