3次元デカルト座標系において、ベクトル $\vec{A} = \vec{i} + 2\vec{j} + 3\vec{k}$ が与えられ、曲面 $S = \{(x, y, z) | x^2 + y^2 + z^2 = 4, x \ge 0, y \ge 0, z \ge 0\}$ が与えられている。 以下の問題を解く。 (1) 3次元デカルト座標系上に曲面Sを描け。曲面Sを球座標 $(r, \theta, \phi)$ で表すとき、$\theta, \phi$ の範囲をそれぞれ示せ。 (2) S上の点の位置ベクトル $\vec{r}$ を求めよ。 (3) S上の単位法線ベクトル $\vec{n}$ を求めよ。 (4) $\iint_S \vec{A} \cdot \vec{n} dS$ を求めよ。

応用数学ベクトル解析積分球座標曲面積分
2025/6/11

1. 問題の内容

3次元デカルト座標系において、ベクトル A=i+2j+3k\vec{A} = \vec{i} + 2\vec{j} + 3\vec{k} が与えられ、曲面 S={(x,y,z)x2+y2+z2=4,x0,y0,z0}S = \{(x, y, z) | x^2 + y^2 + z^2 = 4, x \ge 0, y \ge 0, z \ge 0\} が与えられている。
以下の問題を解く。
(1) 3次元デカルト座標系上に曲面Sを描け。曲面Sを球座標 (r,θ,ϕ)(r, \theta, \phi) で表すとき、θ,ϕ\theta, \phi の範囲をそれぞれ示せ。
(2) S上の点の位置ベクトル r\vec{r} を求めよ。
(3) S上の単位法線ベクトル n\vec{n} を求めよ。
(4) SAndS\iint_S \vec{A} \cdot \vec{n} dS を求めよ。

2. 解き方の手順

(1)
曲面Sは、原点を中心とする半径2の球面の、第1象限にある部分である。
球座標は (r,θ,ϕ)(r, \theta, \phi) で表される。ここで、rr は原点からの距離、θ\theta はxy平面からの角度、ϕ\phi はx軸からの角度を表す。
曲面Sの式は x2+y2+z2=4x^2 + y^2 + z^2 = 4 より、r=2r = 2 である。
x0,y0,z0x \ge 0, y \ge 0, z \ge 0 より、0θπ20 \le \theta \le \frac{\pi}{2}0ϕπ20 \le \phi \le \frac{\pi}{2} となる。
(2)
S上の点の位置ベクトル r\vec{r} は、球座標を用いて以下のように表せる。
r=(x,y,z)=(rsinθcosϕ,rsinθsinϕ,rcosθ)\vec{r} = (x, y, z) = (r\sin\theta\cos\phi, r\sin\theta\sin\phi, r\cos\theta)
r=2r = 2 を代入すると、
r=(2sinθcosϕ,2sinθsinϕ,2cosθ)\vec{r} = (2\sin\theta\cos\phi, 2\sin\theta\sin\phi, 2\cos\theta)
(3)
S上の単位法線ベクトル n\vec{n} は、原点から球面上の点へ向かう単位ベクトルである。
n=rr=(x,y,z)2=(sinθcosϕ,sinθsinϕ,cosθ)\vec{n} = \frac{\vec{r}}{r} = \frac{(x, y, z)}{2} = (\sin\theta\cos\phi, \sin\theta\sin\phi, \cos\theta)
(4)
A=(1,2,3)\vec{A} = (1, 2, 3) であり、n=(sinθcosϕ,sinθsinϕ,cosθ)\vec{n} = (\sin\theta\cos\phi, \sin\theta\sin\phi, \cos\theta) であるから、
An=sinθcosϕ+2sinθsinϕ+3cosθ\vec{A} \cdot \vec{n} = \sin\theta\cos\phi + 2\sin\theta\sin\phi + 3\cos\theta
また、dS=r2sinθdθdϕ=4sinθdθdϕdS = r^2\sin\theta d\theta d\phi = 4\sin\theta d\theta d\phi である。
したがって、
SAndS=0π20π2(sinθcosϕ+2sinθsinϕ+3cosθ)4sinθdθdϕ\iint_S \vec{A} \cdot \vec{n} dS = \int_0^{\frac{\pi}{2}} \int_0^{\frac{\pi}{2}} (\sin\theta\cos\phi + 2\sin\theta\sin\phi + 3\cos\theta) 4\sin\theta d\theta d\phi
=40π20π2(sin2θcosϕ+2sin2θsinϕ+3sinθcosθ)dθdϕ= 4 \int_0^{\frac{\pi}{2}} \int_0^{\frac{\pi}{2}} (\sin^2\theta\cos\phi + 2\sin^2\theta\sin\phi + 3\sin\theta\cos\theta) d\theta d\phi
=4[0π2sin2θdθ0π2cosϕdϕ+20π2sin2θdθ0π2sinϕdϕ+30π2sinθcosθdθ0π2dϕ]= 4 \left[ \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2\theta d\theta \int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos\phi d\phi + 2 \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2\theta d\theta \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin\phi d\phi + 3 \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin\theta\cos\theta d\theta \int_0^{\frac{\pi}{2}} d\phi \right]
0π2sin2θdθ=π4\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2\theta d\theta = \frac{\pi}{4}
0π2cosϕdϕ=1\int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos\phi d\phi = 1
0π2sinϕdϕ=1\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin\phi d\phi = 1
0π2sinθcosθdθ=12\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin\theta\cos\theta d\theta = \frac{1}{2}
0π2dϕ=π2\int_0^{\frac{\pi}{2}} d\phi = \frac{\pi}{2}
SAndS=4[π41+2π41+312π2]=4[π4+π2+3π4]=46π4=6π\iint_S \vec{A} \cdot \vec{n} dS = 4 \left[ \frac{\pi}{4} \cdot 1 + 2 \cdot \frac{\pi}{4} \cdot 1 + 3 \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{\pi}{2} \right] = 4 \left[ \frac{\pi}{4} + \frac{\pi}{2} + \frac{3\pi}{4} \right] = 4 \cdot \frac{6\pi}{4} = 6\pi

3. 最終的な答え

(1) θ\theta の範囲: 0θπ20 \le \theta \le \frac{\pi}{2}ϕ\phi の範囲: 0ϕπ20 \le \phi \le \frac{\pi}{2}
(2) r=(2sinθcosϕ,2sinθsinϕ,2cosθ)\vec{r} = (2\sin\theta\cos\phi, 2\sin\theta\sin\phi, 2\cos\theta)
(3) n=(sinθcosϕ,sinθsinϕ,cosθ)\vec{n} = (\sin\theta\cos\phi, \sin\theta\sin\phi, \cos\theta)
(4) 6π6\pi

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