質量 $m$ の質点を、原点から時刻 $t=0$ に投射角 $\theta$、初期速度 $v_0$ で投射したときの運動について、以下の問いに答えます。ただし、重力加速度を $g$ とし、空気抵抗は無視できるものとします。 問1. 質点の運動方程式を書け。 問2. 時刻 $t$ における質点の速度を求めよ。 問3. 時刻 $t$ における質点の座標を求めよ。 問4. 質点の軌道が放物線となることを示せ。 問5. 最高到達点の時刻と座標を求めよ。 問6. 図1のように、座標 $(X, Y)$ にある的に命中させるために必要な投射角 $(\tan{\theta})$ を求めよ。 問7. 図2のように、質点が移動する際の軌跡と地面との間の面積が最大となるような投射角 $\theta_{max}$ を求めよ。ただし、$0 < \theta_{max} < \pi/2$ とする。

応用数学力学運動方程式放物運動微分積分軌道最高到達点水平到達距離積分
2025/6/15

1. 問題の内容

質量 mm の質点を、原点から時刻 t=0t=0 に投射角 θ\theta、初期速度 v0v_0 で投射したときの運動について、以下の問いに答えます。ただし、重力加速度を gg とし、空気抵抗は無視できるものとします。

1. 質点の運動方程式を書け。

2. 時刻 $t$ における質点の速度を求めよ。

3. 時刻 $t$ における質点の座標を求めよ。

4. 質点の軌道が放物線となることを示せ。

5. 最高到達点の時刻と座標を求めよ。

6. 図1のように、座標 $(X, Y)$ にある的に命中させるために必要な投射角 $(\tan{\theta})$ を求めよ。

7. 図2のように、質点が移動する際の軌跡と地面との間の面積が最大となるような投射角 $\theta_{max}$ を求めよ。ただし、$0 < \theta_{max} < \pi/2$ とする。

2. 解き方の手順

1. 質点の運動方程式

質点に働く力は重力のみなので、運動方程式は以下のようになります。
md2xdt2=0m\frac{d^2x}{dt^2} = 0
md2ydt2=mgm\frac{d^2y}{dt^2} = -mg

2. 時刻 $t$ における質点の速度

初期速度の xx 成分は v0cosθv_0\cos{\theta}、初期速度の yy 成分は v0sinθv_0\sin{\theta} です。
xx 方向には力が働かないので、速度は一定です。
yy 方向には重力が働くので、速度は時間とともに変化します。
vx(t)=v0cosθv_x(t) = v_0\cos{\theta}
vy(t)=v0sinθgtv_y(t) = v_0\sin{\theta} - gt

3. 時刻 $t$ における質点の座標

速度を積分して、座標を求めます。初期位置は原点なので、積分定数は 0 です。
x(t)=vx(t)dt=v0cosθdt=v0cosθtx(t) = \int v_x(t) dt = \int v_0\cos{\theta} dt = v_0\cos{\theta}t
y(t)=vy(t)dt=(v0sinθgt)dt=v0sinθt12gt2y(t) = \int v_y(t) dt = \int (v_0\sin{\theta} - gt) dt = v_0\sin{\theta}t - \frac{1}{2}gt^2

4. 質点の軌道が放物線となること

x(t)=v0cosθtx(t) = v_0\cos{\theta}t より t=xv0cosθt = \frac{x}{v_0\cos{\theta}} となります。
これを y(t)y(t) に代入すると、
y=v0sinθxv0cosθ12g(xv0cosθ)2=tanθxg2v02cos2θx2y = v_0\sin{\theta}\frac{x}{v_0\cos{\theta}} - \frac{1}{2}g(\frac{x}{v_0\cos{\theta}})^2 = \tan{\theta}x - \frac{g}{2v_0^2\cos^2{\theta}}x^2
これは xx の二次関数なので、質点の軌道は放物線となります。

5. 最高到達点の時刻と座標

最高到達点では vy(t)=0v_y(t) = 0 となります。
v0sinθgt=0v_0\sin{\theta} - gt = 0 より、最高到達点の時刻は t=v0sinθgt = \frac{v_0\sin{\theta}}{g} です。
この時刻を x(t)x(t)y(t)y(t) に代入すると、最高到達点の座標は
x=v0cosθv0sinθg=v02sinθcosθg=v02sin2θ2gx = v_0\cos{\theta}\frac{v_0\sin{\theta}}{g} = \frac{v_0^2\sin{\theta}\cos{\theta}}{g} = \frac{v_0^2\sin{2\theta}}{2g}
y=v0sinθv0sinθg12g(v0sinθg)2=v02sin2θgv02sin2θ2g=v02sin2θ2gy = v_0\sin{\theta}\frac{v_0\sin{\theta}}{g} - \frac{1}{2}g(\frac{v_0\sin{\theta}}{g})^2 = \frac{v_0^2\sin^2{\theta}}{g} - \frac{v_0^2\sin^2{\theta}}{2g} = \frac{v_0^2\sin^2{\theta}}{2g}

6. 座標 $(X, Y)$ に命中させるために必要な投射角 $(\tan{\theta})$

X=v0cosθtX = v_0\cos{\theta}t および Y=v0sinθt12gt2Y = v_0\sin{\theta}t - \frac{1}{2}gt^2 が成り立つ必要があります。
t=Xv0cosθt = \frac{X}{v_0\cos{\theta}}YY の式に代入すると、
Y=v0sinθXv0cosθ12g(Xv0cosθ)2=XtanθgX22v02cos2θY = v_0\sin{\theta}\frac{X}{v_0\cos{\theta}} - \frac{1}{2}g(\frac{X}{v_0\cos{\theta}})^2 = X\tan{\theta} - \frac{gX^2}{2v_0^2\cos^2{\theta}}
cos2θ=11+tan2θ\cos^2{\theta} = \frac{1}{1+\tan^2{\theta}} なので、
Y=XtanθgX2(1+tan2θ)2v02Y = X\tan{\theta} - \frac{gX^2(1+\tan^2{\theta})}{2v_0^2}
gX22v02tan2θXtanθ+Y+gX22v02=0\frac{gX^2}{2v_0^2}\tan^2{\theta} - X\tan{\theta} + Y + \frac{gX^2}{2v_0^2} = 0
tanθ\tan{\theta} についての二次方程式を解くと、
tanθ=X±X24(gX22v02)(Y+gX22v02)2gX22v02=v02gX±v02gX12gYv02g2X2v04\tan{\theta} = \frac{X \pm \sqrt{X^2 - 4(\frac{gX^2}{2v_0^2})(Y + \frac{gX^2}{2v_0^2})}}{2\frac{gX^2}{2v_0^2}} = \frac{v_0^2}{gX} \pm \frac{v_0^2}{gX}\sqrt{1 - \frac{2gY}{v_0^2} - \frac{g^2X^2}{v_0^4}}
tanθ=v02gX(1±12gYv02g2X2v04)\tan{\theta} = \frac{v_0^2}{gX}\left(1 \pm \sqrt{1 - \frac{2gY}{v_0^2} - \frac{g^2X^2}{v_0^4}}\right)

7. 質点が移動する際の軌跡と地面との間の面積が最大となるような投射角 $\theta_{max}$

質点の軌跡と地面との間の面積は、
S=0xmaxy(x)dx=0xmax(tanθxg2v02cos2θx2)dxS = \int_0^{x_{max}} y(x)dx = \int_0^{x_{max}} (\tan{\theta}x - \frac{g}{2v_0^2\cos^2{\theta}}x^2) dx
ここで、xmaxx_{max} は水平到達距離で、y=0y=0 となる xx の値です。
xmax=v02sin2θgx_{max} = \frac{v_0^2\sin{2\theta}}{g}
S=[12tanθx2g6v02cos2θx3]0xmax=12tanθ(v02sin2θg)2g6v02cos2θ(v02sin2θg)3=2v063g2sin2θcosθS = [\frac{1}{2}\tan{\theta}x^2 - \frac{g}{6v_0^2\cos^2{\theta}}x^3]_0^{x_{max}} = \frac{1}{2}\tan{\theta}(\frac{v_0^2\sin{2\theta}}{g})^2 - \frac{g}{6v_0^2\cos^2{\theta}}(\frac{v_0^2\sin{2\theta}}{g})^3 = \frac{2v_0^6}{3g^2}\sin^2{\theta}\cos{\theta}
SSθ\theta で微分して 0 となる θ\theta を求めます。
dSdθ=2v063g2(2sinθcos2θsin3θ)=2v063g2sinθ(2cos2θsin2θ)=0\frac{dS}{d\theta} = \frac{2v_0^6}{3g^2}(2\sin{\theta}\cos^2{\theta} - \sin^3{\theta}) = \frac{2v_0^6}{3g^2}\sin{\theta}(2\cos^2{\theta} - \sin^2{\theta}) = 0
0<θ<π/20 < \theta < \pi/2 より sinθ0\sin{\theta} \neq 0 なので、
2cos2θsin2θ=02\cos^2{\theta} - \sin^2{\theta} = 0
2cos2θ=sin2θ2\cos^2{\theta} = \sin^2{\theta}
tan2θ=2\tan^2{\theta} = 2
tanθ=2\tan{\theta} = \sqrt{2}
θ=arctan2\theta = \arctan{\sqrt{2}}

3. 最終的な答え

1. $m\frac{d^2x}{dt^2} = 0$, $m\frac{d^2y}{dt^2} = -mg$

2. $v_x(t) = v_0\cos{\theta}$, $v_y(t) = v_0\sin{\theta} - gt$

3. $x(t) = v_0\cos{\theta}t$, $y(t) = v_0\sin{\theta}t - \frac{1}{2}gt^2$

4. $y = \tan{\theta}x - \frac{g}{2v_0^2\cos^2{\theta}}x^2$ (放物線)

5. $t = \frac{v_0\sin{\theta}}{g}$, $x = \frac{v_0^2\sin{2\theta}}{2g}$, $y = \frac{v_0^2\sin^2{\theta}}{2g}$

6. $\tan{\theta} = \frac{v_0^2}{gX}\left(1 \pm \sqrt{1 - \frac{2gY}{v_0^2} - \frac{g^2X^2}{v_0^4}}\right)$

7. $\theta_{max} = \arctan{\sqrt{2}}$

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