(1) すべての自然数 $n$ に対して、$x \ge 0$ のとき、$e^x > \frac{x^n}{n!}$ が成り立つことを数学的帰納法によって示す。 (2) 関数 $f(x) = x^{n-1}e^{-x}$ について、極限 $\lim_{x \to \infty} f(x)$ を求める。

1. 問題の内容

(1) すべての自然数 $n$ に対して、$x \ge 0$ のとき、$e^x > \frac{x^n}{n!}$ が成り立つことを数学的帰納法によって示す。

(2) 関数 $f(x) = x^{n-1}e^{-x}$ について、極限 $\lim_{x \to \infty} f(x)$ を求める。

2. 解き方の手順

(1)

(i) $n = 1$ のとき： $e^x > \frac{x}{1!}$ を示す。$x \ge 0$ で $e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \dots > 1 + x > x$ であるから、$e^x > x$ が成り立つ。

(ii) $n = k$ のとき、$e^x > \frac{x^k}{k!}$ が成り立つと仮定する。

(iii) $n = k+1$ のとき、$e^x > \frac{x^{k+1}}{(k+1)!}$ を示す。

$e^x > \frac{x^k}{k!}$ の両辺を積分すると、$\int_0^x e^t dt > \int_0^x \frac{t^k}{k!} dt$。

よって、$e^x - 1 > \frac{x^{k+1}}{(k+1)!}$。

$x \ge 0$ より、$e^x > 1 + \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} > \frac{x^{k+1}}{(k+1)!}$ が成り立つ。

したがって、数学的帰納法により、$x \ge 0$ のとき、すべての自然数 $n$ に対して、$e^x > \frac{x^n}{n!}$ が成り立つ。

(2)

$\lim_{x \to \infty} f(x) = \lim_{x \to \infty} x^{n-1}e^{-x} = \lim_{x \to \infty} \frac{x^{n-1}}{e^x}$

これは $\frac{\infty}{\infty}$ の不定形であるから、ロピタルの定理を用いる。

$n$ は自然数なので、$n-1$ 回ロピタルの定理を適用すると、

$\lim_{x \to \infty} \frac{x^{n-1}}{e^x} = \lim_{x \to \infty} \frac{(n-1) x^{n-2}}{e^x} = \lim_{x \to \infty} \frac{(n-1)(n-2)x^{n-3}}{e^x} = \dots = \lim_{x \to \infty} \frac{(n-1)!}{e^x} = 0$

3. 最終的な答え

(1) すべての自然数 $n$ に対して、$x \ge 0$ のとき、$e^x > \frac{x^n}{n!}$ が成り立つ。（証明終わり）

(2) $\lim_{x \to \infty} f(x) = 0$