1. 問題の内容
正則行列 の成分がすべて有理数であるとき、その逆行列 の成分もすべて有理数であることを示す。
2. 解き方の手順
正則行列 が与えられたとき、その逆行列 は次のように計算できます。
ここで、 は行列 の行列式であり、 は行列 の余因子行列です。
1. 行列式 $\det(A)$ の計算:
行列 の成分がすべて有理数である場合、行列式の計算は有理数の加算、減算、乗算のみを含むため、 も有理数となります。また、が正則行列なので です。
2. 余因子行列 $\text{adj}(A)$ の計算:
余因子行列 の各成分は、行列 の小行列式の符号付きの値です。小行列式は、行列 のいくつかの行と列を取り除いた行列の行列式であり、その成分も行列 の成分のみを用いて計算されます。したがって、 の成分がすべて有理数である場合、小行列式も有理数となり、余因子も有理数となります。よって、余因子行列 の成分もすべて有理数です。
3. 逆行列 $A^{-1}$ の計算:
であり、 が有理数で の成分がすべて有理数であるため、 の各成分は有理数 と有理数の積になります。したがって、 の各成分も有理数となります。
3. 最終的な答え
正則行列 の成分がすべて有理数であるとき、その逆行列 の成分もすべて有理数である。