任意の実数 $a$ と自然数 $n$ に対して、 $x \ge a$ のとき、不等式 $e^x \ge e^a + \frac{e^a}{1!}(x-a) + \frac{e^a}{2!}(x-a)^2 + \cdots + \frac{e^a}{n!}(x-a)^n$ が成り立つことを示す。

解析学テイラー展開不等式指数関数微分ラグランジュの剰余項
2025/6/22

1. 問題の内容

任意の実数 aa と自然数 nn に対して、 xax \ge a のとき、不等式
exea+ea1!(xa)+ea2!(xa)2++ean!(xa)ne^x \ge e^a + \frac{e^a}{1!}(x-a) + \frac{e^a}{2!}(x-a)^2 + \cdots + \frac{e^a}{n!}(x-a)^n
が成り立つことを示す。

2. 解き方の手順

f(x)=exf(x) = e^x とおく。 f(x)f(x)x=ax=a におけるテイラー展開は、
f(x)=k=0f(k)(a)k!(xa)kf(x) = \sum_{k=0}^{\infty} \frac{f^{(k)}(a)}{k!} (x-a)^k
となる。ここで、f(k)(x)=exf^{(k)}(x) = e^x であるから、f(k)(a)=eaf^{(k)}(a) = e^a となる。したがって、
ex=k=0eak!(xa)k=eak=0(xa)kk!e^x = \sum_{k=0}^{\infty} \frac{e^a}{k!} (x-a)^k = e^a \sum_{k=0}^{\infty} \frac{(x-a)^k}{k!}
である。ここで、exe^xx=ax=a における nn 次のテイラー近似を Tn(x)T_n(x) とすると、
Tn(x)=k=0neak!(xa)k=ea+ea1!(xa)+ea2!(xa)2++ean!(xa)nT_n(x) = \sum_{k=0}^{n} \frac{e^a}{k!} (x-a)^k = e^a + \frac{e^a}{1!}(x-a) + \frac{e^a}{2!}(x-a)^2 + \cdots + \frac{e^a}{n!}(x-a)^n
となる。テイラーの定理より、
ex=Tn(x)+Rn(x)e^x = T_n(x) + R_n(x)
であり、Rn(x)R_n(x) はラグランジュの剰余項で、
Rn(x)=f(n+1)(c)(n+1)!(xa)n+1=ec(n+1)!(xa)n+1R_n(x) = \frac{f^{(n+1)}(c)}{(n+1)!}(x-a)^{n+1} = \frac{e^c}{(n+1)!}(x-a)^{n+1}
となる。ここで、ccaaxx の間の値である。 xax \ge a なので、cac \ge a であり、ec>0e^c > 0 である。
また、(xa)n+10(x-a)^{n+1} \ge 0 である。したがって、Rn(x)0R_n(x) \ge 0 である。
よって、ex=Tn(x)+Rn(x)Tn(x)e^x = T_n(x) + R_n(x) \ge T_n(x) が成り立つ。すなわち、
exea+ea1!(xa)+ea2!(xa)2++ean!(xa)ne^x \ge e^a + \frac{e^a}{1!}(x-a) + \frac{e^a}{2!}(x-a)^2 + \cdots + \frac{e^a}{n!}(x-a)^n
が成り立つ。

3. 最終的な答え

exea+ea1!(xa)+ea2!(xa)2++ean!(xa)ne^x \ge e^a + \frac{e^a}{1!}(x-a) + \frac{e^a}{2!}(x-a)^2 + \cdots + \frac{e^a}{n!}(x-a)^n

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