問題2は、2次正方行列 $A$ の固有値を $\lambda_1, \lambda_2$ とするとき、以下の命題を証明する問題です。ケーリー・ハミルトンの定理 $A^2 - (tr A)A + (det A)I = O$ を用いて証明します。 (1) $\lambda_1 + \lambda_2 = tr A$ かつ $\lambda_1 \lambda_2 = det A$ である。 (2) $A$ が正則行列であるための必要十分条件は、$\lambda_1 \neq 0$ かつ $\lambda_2 \neq 0$ である。 (3) $A^2 = O$ であるための必要十分条件は、$\lambda_1 = \lambda_2 = 0$ である。 問題3は、正則行列 $P$ を用いて、行列 $A$ が $P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix}$ と対角化されたとするとき、以下の問いに答える問題です。 (1) $det(P^{-1}) = (det P)^{-1}$ であることを示せ。 (2) $det(P^{-1}AP) = det A$ であることを示せ。 (3) $\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値であることを示せ。

はい、承知いたしました。与えられた問題について、それぞれ解答します。

1. 問題の内容

問題2は、2次正方行列 $A$ の固有値を $\lambda_1, \lambda_2$ とするとき、以下の命題を証明する問題です。ケーリー・ハミルトンの定理 $A^2 - (tr A)A + (det A)I = O$ を用いて証明します。

(1) $\lambda_1 + \lambda_2 = tr A$ かつ $\lambda_1 \lambda_2 = det A$ である。

(2) $A$ が正則行列であるための必要十分条件は、$\lambda_1 \neq 0$ かつ $\lambda_2 \neq 0$ である。

(3) $A^2 = O$ であるための必要十分条件は、$\lambda_1 = \lambda_2 = 0$ である。

問題3は、正則行列 $P$ を用いて、行列 $A$ が $P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix}$ と対角化されたとするとき、以下の問いに答える問題です。

(1) $det(P^{-1}) = (det P)^{-1}$ であることを示せ。

(2) $det(P^{-1}AP) = det A$ であることを示せ。

(3) $\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値であることを示せ。

2. 解き方の手順

問題2

(1) ケーリー・ハミルトンの定理より、$A^2 - (tr A)A + (det A)I = O$ が成り立ちます。

$A$ の固有方程式は $det(A - \lambda I) = 0$ となります。固有値を $\lambda$ とすると、$A v = \lambda v$ (vは固有ベクトル)となります。

したがって、$A^2 v = A(Av) = A(\lambda v) = \lambda Av = \lambda^2 v$ となります。

ケーリー・ハミルトンの定理を $v$ に作用させると、$(\lambda^2 - (tr A)\lambda + det A)v = 0$ となります。

したがって、$\lambda^2 - (tr A)\lambda + det A = 0$ が成り立ちます。

$\lambda_1, \lambda_2$ はこの方程式の解なので、解と係数の関係より、$\lambda_1 + \lambda_2 = tr A$ かつ $\lambda_1 \lambda_2 = det A$ が成り立ちます。

(2) $A$ が正則行列であるための必要十分条件は、$det A \neq 0$ であることです。

(1) より、$det A = \lambda_1 \lambda_2$ であるので、$det A \neq 0$ となるための必要十分条件は、$\lambda_1 \neq 0$ かつ $\lambda_2 \neq 0$ となります。

(3) $A^2 = O$ であると仮定します。ケーリー・ハミルトンの定理より、$-(tr A)A + (det A)I = O$ が成り立ちます。

$tr A = \lambda_1 + \lambda_2$ かつ $det A = \lambda_1 \lambda_2$ であるので、$A^2 = O$ より、$(\lambda_1 + \lambda_2)A - (\lambda_1 \lambda_2)I = O$ となります。

ここで$A$の固有ベクトルに作用させる事を考えると、$\lambda_1 = \lambda_2 = 0$が必要です。

逆に、$\lambda_1 = \lambda_2 = 0$ であると仮定すると、$tr A = 0$ かつ $det A = 0$ となるので、ケーリー・ハミルトンの定理より、$A^2 = O$ となります。

問題3

(1) $P$ が正則行列であるとき、$det(P^{-1}) = (det P)^{-1}$ が成り立ちます。これは行列式の性質です。

(2) $det(P^{-1}AP) = det(P^{-1}) det(A) det(P) = det(P^{-1}) det(P) det(A) = (det P)^{-1} det P det A = det A$ が成り立ちます。

(3) $P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix}$ であるので、$det(P^{-1}AP) = \alpha \beta$ となります。

(2) より、$det(P^{-1}AP) = det A$ であるので、$det A = \alpha \beta$ となります。

ここで、$\alpha$ と $\beta$ は $P^{-1}AP$ の固有値なので、問題2(1)より、$det A = \lambda_1 \lambda_2$ かつ $tr A = \lambda_1 + \lambda_2$です。また、$tr (P^{-1}AP) = tr A$なので、$\alpha + \beta = \lambda_1 + \lambda_2$です。

したがって、$\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値となります。

3. 最終的な答え

問題2

(1) $\lambda_1 + \lambda_2 = tr A$ かつ $\lambda_1 \lambda_2 = det A$

(2) $A$ が正則行列であるための必要十分条件は、$\lambda_1 \neq 0$ かつ $\lambda_2 \neq 0$

(3) $A^2 = O$ であるための必要十分条件は、$\lambda_1 = \lambda_2 = 0$

問題3

(1) $det(P^{-1}) = (det P)^{-1}$

(2) $det(P^{-1}AP) = det A$

(3) $\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値である