(3) 粘性抵抗が働く場合、物体の任意の時刻 $t$ における $x$ 方向と $y$ 方向の速度をそれぞれ求めよ。ただし、粘性抵抗の比例係数を $\gamma_1$ とする。 (4) (3) の場合、物体の任意の時刻 $t$ における位置を求めよ。 (5) 慣性抵抗が働く場合、物体の任意の時刻 $t$ における $x$ 方向と $y$ 方向の速度をそれぞれ求めよ。ただし、慣性抵抗の比例係数を $\gamma_2$ とする。

応用数学運動方程式微分方程式粘性抵抗慣性抵抗積分
2025/6/23

1. 問題の内容

(3) 粘性抵抗が働く場合、物体の任意の時刻 tt における xx 方向と yy 方向の速度をそれぞれ求めよ。ただし、粘性抵抗の比例係数を γ1\gamma_1 とする。
(4) (3) の場合、物体の任意の時刻 tt における位置を求めよ。
(5) 慣性抵抗が働く場合、物体の任意の時刻 tt における xx 方向と yy 方向の速度をそれぞれ求めよ。ただし、慣性抵抗の比例係数を γ2\gamma_2 とする。

2. 解き方の手順

(3) 粘性抵抗が働く場合:
xx 方向の速度:
抵抗力は F=γ1vxF = -\gamma_1 v_x と表される。運動方程式は mdvxdt=γ1vxm \frac{dv_x}{dt} = -\gamma_1 v_x
初期条件を vx(0)=v0v_x(0) = v_0 とすると、解は vx(t)=v0eγ1mtv_x(t) = v_0 e^{-\frac{\gamma_1}{m} t} となる。
yy 方向の速度:
運動方程式は mdvydt=mgγ1vym \frac{dv_y}{dt} = mg - \gamma_1 v_y
初期条件を vy(0)=0v_y(0) = 0 とすると、解は vy(t)=mgγ1(1eγ1mt)v_y(t) = \frac{mg}{\gamma_1}(1 - e^{-\frac{\gamma_1}{m} t}) となる。
(4) 位置を求める場合:
xx 方向の位置:
x(t)=vx(t)dt=v0eγ1mtdt=mv0γ1eγ1mt+Cx(t) = \int v_x(t) dt = \int v_0 e^{-\frac{\gamma_1}{m} t} dt = -\frac{mv_0}{\gamma_1} e^{-\frac{\gamma_1}{m} t} + C
初期条件を x(0)=0x(0) = 0 とすると、0=mv0γ1+C0 = -\frac{mv_0}{\gamma_1} + C より C=mv0γ1C = \frac{mv_0}{\gamma_1}
したがって、x(t)=mv0γ1(1eγ1mt)x(t) = \frac{mv_0}{\gamma_1}(1 - e^{-\frac{\gamma_1}{m} t})
yy 方向の位置:
y(t)=vy(t)dt=mgγ1(1eγ1mt)dt=mgγ1(t+mγ1eγ1mt)+Cy(t) = \int v_y(t) dt = \int \frac{mg}{\gamma_1}(1 - e^{-\frac{\gamma_1}{m} t}) dt = \frac{mg}{\gamma_1} (t + \frac{m}{\gamma_1} e^{-\frac{\gamma_1}{m} t}) + C'
初期条件を y(0)=0y(0) = 0 とすると、0=mgγ1(mγ1)+C0 = \frac{mg}{\gamma_1} (\frac{m}{\gamma_1}) + C' より C=m2gγ12C' = -\frac{m^2 g}{\gamma_1^2}
したがって、y(t)=mgγ1t+m2gγ12(eγ1mt1)y(t) = \frac{mg}{\gamma_1} t + \frac{m^2 g}{\gamma_1^2}(e^{-\frac{\gamma_1}{m} t} - 1)
(5) 慣性抵抗が働く場合:
慣性抵抗とは、加速度に比例する抵抗力のことである。しかし、問題文の意味が不明確なため、ここでは抵抗力は速度の2乗に比例するとして、抵抗力は F=γ2v2F = -\gamma_2 v^2 と仮定する。
xx 方向の速度:
運動方程式は mdvxdt=γ2vx2m \frac{dv_x}{dt} = -\gamma_2 v_x^2
dvxvx2=γ2mdt\frac{dv_x}{v_x^2} = -\frac{\gamma_2}{m} dt。両辺を積分すると、1vx=γ2mt+C-\frac{1}{v_x} = -\frac{\gamma_2}{m} t + C
初期条件を vx(0)=v0v_x(0) = v_0 とすると、1v0=C-\frac{1}{v_0} = C
したがって、1vx=γ2mt1v0-\frac{1}{v_x} = -\frac{\gamma_2}{m} t - \frac{1}{v_0}
vx=1γ2mt+1v0=v01+γ2v0mtv_x = \frac{1}{\frac{\gamma_2}{m} t + \frac{1}{v_0}} = \frac{v_0}{1 + \frac{\gamma_2 v_0}{m} t}
yy 方向の速度:
運動方程式は mdvydt=mgγ2vy2m \frac{dv_y}{dt} = mg - \gamma_2 v_y^2
dvydt=gγ2mvy2\frac{dv_y}{dt} = g - \frac{\gamma_2}{m} v_y^2
終端速度 vT=mgγ2v_T = \sqrt{\frac{mg}{\gamma_2}} を導入すると、dvydt=γ2m(vT2vy2)\frac{dv_y}{dt} = \frac{\gamma_2}{m}(v_T^2 - v_y^2)
dvyvT2vy2=γ2mdt\int \frac{dv_y}{v_T^2 - v_y^2} = \int \frac{\gamma_2}{m} dt
12vTlnvT+vyvTvy=γ2mt+C\frac{1}{2 v_T} \ln |\frac{v_T + v_y}{v_T - v_y}| = \frac{\gamma_2}{m} t + C
初期条件を vy(0)=0v_y(0) = 0 とすると、C=0C = 0
lnvT+vyvTvy=2γ2vTmt\ln |\frac{v_T + v_y}{v_T - v_y}| = \frac{2 \gamma_2 v_T}{m} t
vT+vyvTvy=e2γ2vTmt\frac{v_T + v_y}{v_T - v_y} = e^{\frac{2 \gamma_2 v_T}{m} t}
vT+vy=(vTvy)e2γ2vTmtv_T + v_y = (v_T - v_y) e^{\frac{2 \gamma_2 v_T}{m} t}
vy(1+e2γ2vTmt)=vT(e2γ2vTmt1)v_y(1 + e^{\frac{2 \gamma_2 v_T}{m} t}) = v_T (e^{\frac{2 \gamma_2 v_T}{m} t} - 1)
vy=vTe2γ2vTmt1e2γ2vTmt+1=vTtanh(γ2vTmt)=mgγ2tanh(γ2gmt)v_y = v_T \frac{e^{\frac{2 \gamma_2 v_T}{m} t} - 1}{e^{\frac{2 \gamma_2 v_T}{m} t} + 1} = v_T \tanh(\frac{\gamma_2 v_T}{m} t) = \sqrt{\frac{mg}{\gamma_2}} \tanh(\sqrt{\frac{\gamma_2 g}{m}} t)

3. 最終的な答え

(3) 粘性抵抗の場合:
vx(t)=v0eγ1mtv_x(t) = v_0 e^{-\frac{\gamma_1}{m} t}
vy(t)=mgγ1(1eγ1mt)v_y(t) = \frac{mg}{\gamma_1}(1 - e^{-\frac{\gamma_1}{m} t})
(4) 粘性抵抗の場合の位置:
x(t)=mv0γ1(1eγ1mt)x(t) = \frac{mv_0}{\gamma_1}(1 - e^{-\frac{\gamma_1}{m} t})
y(t)=mgγ1t+m2gγ12(eγ1mt1)y(t) = \frac{mg}{\gamma_1} t + \frac{m^2 g}{\gamma_1^2}(e^{-\frac{\gamma_1}{m} t} - 1)
(5) 慣性抵抗の場合(抵抗力は速度の2乗に比例する場合):
vx(t)=v01+γ2v0mtv_x(t) = \frac{v_0}{1 + \frac{\gamma_2 v_0}{m} t}
vy(t)=mgγ2tanh(γ2gmt)v_y(t) = \sqrt{\frac{mg}{\gamma_2}} \tanh(\sqrt{\frac{\gamma_2 g}{m}} t)

「応用数学」の関連問題

小球が水平面に対して30°の角度で速度 $v$ で衝突し、跳ね返った直後の速度のx成分 $v'_x$ とy成分 $v'_y$ を、反発係数 $\frac{1}{3}$ を用いて、$v$ で表す問題です...

力学衝突ベクトル物理
2025/6/23

与えられた7つの2階常微分方程式の一般解を求める問題です。特に、(5)から(7)については、括弧内に与えられた斉次解を利用することが推奨されています。

常微分方程式微分方程式解法一般解
2025/6/23

与えられた問題はDSB(両側波帯)変調に関する3つの設問です。 1) DSB変調波 $f_{dsb}(t)$ を、搬送波 $V_c \sin(\omega_c t)$、情報信号 $s(t)$ および変...

信号処理フーリエ変換DSB変調周波数スペクトル
2025/6/23

質量0.50kgの球を軽い糸でつるし、糸の上端を持って鉛直上向きに球を引き上げる問題です。 (1) 球にはたらく重力の大きさを求めます。 (2) 球が一定の速さで上昇する場合と、鉛直下向きの加速度で上...

力学運動方程式重力張力加速度
2025/6/23

質量 $0.50 \mathrm{kg}$ の球に働く重力の大きさを求める問題です。重力加速度を $g = 9.8 \mathrm{m/s^2}$ とします。

物理力学重力質量重力加速度
2025/6/23

質量5.0kgの物体に、大きさ20Nの力が角度$\theta$で加えられています。ここで、$\tan \theta = \frac{3}{4}$です。物体の加速度の向きと大きさを求める問題です。

力学運動方程式ベクトル三角関数加速度
2025/6/23

質量 5.0 kg の物体が、傾斜角 $\theta$ ($\sin \theta = \frac{3}{5}$, $\cos \theta = \frac{4}{5}$) の斜面上に置かれている。物...

力学運動方程式加速度重力張力
2025/6/23

以下の式を証明する。 $(a \times b) \cdot (a \times b) + (a \cdot b)^2 = |a|^2 |b|^2$

ベクトル内積外積ベクトル三重積正射影
2025/6/23

問題2-7は、初速度 $v_0$、角度 $\theta$ で打ち出された物体が放物線を描くこと、すなわち、物体の軌跡が $y = Ax^2 + Bx$ の形で表されることを示す問題です。

力学放物運動軌跡物理
2025/6/23

あるプロ野球球団の1年間の応援グッズの売上が、売場Aから売場Eまでまとめられています。売場Aから売場Dまでの売上高(万円)と、メガホン、タオル、Tシャツの売上個数が分かっています。売場Eの売上高を推測...

線形代数連立方程式回帰分析モデル化
2025/6/23