$p>0$、 $q>0$のとき、ベータ関数 $B(p, q) = \int_{0}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx$ が存在することを示せ。ただし、積分区間を分割した $\int_{0}^{1/2} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx + \int_{1/2}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx$ の右辺の2つの積分が存在することを示せばよい。

解析学ベータ関数積分積分可能性特異点
2025/6/25

1. 問題の内容

p>0p>0q>0q>0のとき、ベータ関数 B(p,q)=01xp1(1x)q1dxB(p, q) = \int_{0}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx が存在することを示せ。ただし、積分区間を分割した 01/2xp1(1x)q1dx+1/21xp1(1x)q1dx\int_{0}^{1/2} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx + \int_{1/2}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx の右辺の2つの積分が存在することを示せばよい。

2. 解き方の手順

(1) 01/2xp1(1x)q1dx\int_{0}^{1/2} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx の存在を示す。
積分区間[0,1/2][0, 1/2]において、1x1-x1/21x11/2 \le 1-x \le 1 を満たすから、(1x)q1(1-x)^{q-1} は有界である。したがって、xp1x^{p-1} の積分可能性を調べればよい。p>0p > 0 なので、xp1x^{p-1}x=0x=0 で特異点を持つ可能性がある。
01/2xp1dx\int_{0}^{1/2} x^{p-1} dx を考える。
p1p \ne 1 のとき、xp1dx=xpp\int x^{p-1} dx = \frac{x^{p}}{p} であるから、
01/2xp1dx=limϵ0ϵ1/2xp1dx=limϵ0[xpp]ϵ1/2=limϵ0((1/2)ppϵpp)\int_{0}^{1/2} x^{p-1} dx = \lim_{\epsilon \to 0} \int_{\epsilon}^{1/2} x^{p-1} dx = \lim_{\epsilon \to 0} \left[ \frac{x^p}{p} \right]_{\epsilon}^{1/2} = \lim_{\epsilon \to 0} \left( \frac{(1/2)^p}{p} - \frac{\epsilon^p}{p} \right)
p>0p>0 のとき、limϵ0ϵp=0\lim_{\epsilon \to 0} \epsilon^p = 0 であるから、01/2xp1dx=(1/2)pp\int_{0}^{1/2} x^{p-1} dx = \frac{(1/2)^p}{p} となり、積分は存在する。
p=1p = 1 のとき、xp1dx=1dx=lnx\int x^{p-1} dx = \int 1 dx = \ln x であるから、01/2xp1dx=limϵ0ϵ1/21xdx=limϵ0[lnx]ϵ1/2=limϵ0(ln(1/2)lnϵ)\int_{0}^{1/2} x^{p-1} dx = \lim_{\epsilon \to 0} \int_{\epsilon}^{1/2} \frac{1}{x} dx = \lim_{\epsilon \to 0} \left[ \ln x \right]_{\epsilon}^{1/2} = \lim_{\epsilon \to 0} \left( \ln (1/2) - \ln \epsilon \right)
limϵ0lnϵ=\lim_{\epsilon \to 0} \ln \epsilon = -\infty であるから、積分は発散する。
しかし、p>0p>0 より、ある定数 M>0M>0 が存在して、区間 [0,1/2][0, 1/2] において (1x)q1<M|(1-x)^{q-1}| < M が成り立つ。したがって、01/2xp1(1x)q1dx\int_{0}^{1/2} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx の存在を調べるには、01/2xp1dx\int_{0}^{1/2} x^{p-1} dx の存在を調べれば十分である。p>0p>0 であるから、この積分は存在する。
(2) 1/21xp1(1x)q1dx\int_{1/2}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx の存在を示す。
積分区間[1/2,1][1/2, 1]において、xx1/2x11/2 \le x \le 1 を満たすから、xp1x^{p-1} は有界である。したがって、(1x)q1(1-x)^{q-1} の積分可能性を調べればよい。q>0q > 0 なので、(1x)q1(1-x)^{q-1}x=1x=1 で特異点を持つ可能性がある。
1/21(1x)q1dx\int_{1/2}^{1} (1-x)^{q-1} dx を考える。u=1xu = 1-x とおくと、du=dxdu = -dx であり、x=1/2x = 1/2 のとき u=1/2u = 1/2x=1x=1 のとき u=0u=0 であるから、
1/21(1x)q1dx=1/20uq1(du)=01/2uq1du\int_{1/2}^{1} (1-x)^{q-1} dx = \int_{1/2}^{0} u^{q-1} (-du) = \int_{0}^{1/2} u^{q-1} du
これは (1) と同様に、 q>0q>0 であるから、01/2uq1du=(1/2)qq\int_{0}^{1/2} u^{q-1} du = \frac{(1/2)^q}{q} となり、積分は存在する。
したがって、1/21xp1(1x)q1dx\int_{1/2}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx も存在する。
(1) と (2) より、01/2xp1(1x)q1dx+1/21xp1(1x)q1dx=01xp1(1x)q1dx\int_{0}^{1/2} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx + \int_{1/2}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx = \int_{0}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx は存在する。

3. 最終的な答え

p>0p>0q>0q>0のとき、ベータ関数 B(p,q)=01xp1(1x)q1dxB(p, q) = \int_{0}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx は存在する。

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