授業で「行列」を用いて連立2元1次方程式を解く(逆行列を用いる)、また「行列式」を用いて連立3元1次方程式を解く(クラメルの公式を用いる)ことを扱った。これら以外で、「行列」または「行列式」の実用例を述べる。
2025/6/26
1. 問題の内容
授業で「行列」を用いて連立2元1次方程式を解く(逆行列を用いる)、また「行列式」を用いて連立3元1次方程式を解く(クラメルの公式を用いる)ことを扱った。これら以外で、「行列」または「行列式」の実用例を述べる。
2. 解き方の手順
行列または行列式の応用例をいくつか挙げる。今回は、コンピュータグラフィックスでの変換行列を例として説明する。
コンピュータグラフィックスでは、3次元空間内の物体を表現するために、座標変換が頻繁に行われる。例えば、物体の回転、拡大縮小、平行移動などが挙げられる。これらの変換は、行列を用いて効率的に表現できる。
3次元空間内の点 を、同次座標 で表す。
回転:例えば、z軸を中心に角度回転させる変換は、以下の行列で表される。
\begin{bmatrix}
\cos\theta & -\sin\theta & 0 & 0 \\
\sin\theta & \cos\theta & 0 & 0 \\
0 & 0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 0 & 1
\end{bmatrix}
拡大縮小:x, y, z軸方向にそれぞれ, , 倍する変換は、以下の行列で表される。
\begin{bmatrix}
s_x & 0 & 0 & 0 \\
0 & s_y & 0 & 0 \\
0 & 0 & s_z & 0 \\
0 & 0 & 0 & 1
\end{bmatrix}
平行移動:x, y, z軸方向にそれぞれ, , 平行移動させる変換は、以下の行列で表される。
\begin{bmatrix}
1 & 0 & 0 & t_x \\
0 & 1 & 0 & t_y \\
0 & 0 & 1 & t_z \\
0 & 0 & 0 & 1
\end{bmatrix}
複数の変換を組み合わせる場合、それぞれの変換行列を掛け合わせることで、一度の行列演算で複数の変換を適用できる。例えば、回転、拡大縮小、平行移動を順に行う場合は、それぞれの行列を掛け合わせることで、複合的な変換行列を得ることができる。
T = T_{translate} \times T_{scale} \times T_{rotate}
この変換行列を用いて、座標を変換後の座標に変換することができる。
P' = T \times P
このように、コンピュータグラフィックスにおける座標変換は、行列を用いることで効率的かつ簡潔に記述できる。
3. 最終的な答え
行列の実用例として、コンピュータグラフィックスにおける座標変換がある。回転、拡大縮小、平行移動などの変換は、行列で表現することで効率的に計算でき、複数の変換を組み合わせることも容易になる。