(1) 複素数 $z$ が $z + \frac{16}{z}$ が実数となるように動くとき、$z$ が描く図形を複素数平面上に図示する。ただし、$z \neq 0$ とする。 (2) (1)の条件に加えて、$2 \le z + \frac{16}{z} \le 10$ を満たす $z$ が描く図形を複素数平面上に図示する。

1. 問題の内容

(1) 複素数 $z$ が $z + \frac{16}{z}$ が実数となるように動くとき、$z$ が描く図形を複素数平面上に図示する。ただし、$z \neq 0$ とする。

(2) (1)の条件に加えて、$2 \le z + \frac{16}{z} \le 10$ を満たす $z$ が描く図形を複素数平面上に図示する。

2. 解き方の手順

(1)

$z = x + yi$ ($x, y$ は実数) とおく。ただし、$z \neq 0$ より $(x, y) \neq (0, 0)$。

$z + \frac{16}{z}$ が実数である条件を考える。

$z + \frac{16}{z} = x + yi + \frac{16}{x + yi} = x + yi + \frac{16(x - yi)}{x^2 + y^2} = x + \frac{16x}{x^2 + y^2} + (y - \frac{16y}{x^2 + y^2})i$

これが実数であるためには、虚部が 0 でなければならない。

$y - \frac{16y}{x^2 + y^2} = 0$

$y(1 - \frac{16}{x^2 + y^2}) = 0$

$y = 0$ または $1 - \frac{16}{x^2 + y^2} = 0$

$y = 0$ のとき、$z$ は実数であり、$z \neq 0$ より $x \neq 0$ である。

$x^2 + y^2 = 16$ のとき、$x^2 + y^2 = 16$ を満たす。これは原点を中心とする半径 4 の円である。ただし、$z \neq 0$より原点を除く。

したがって、$z$ が描く図形は、実軸（ただし原点を除く）と、原点を中心とする半径 4 の円（ただし原点を除く）。

(2)

$z + \frac{16}{z}$ が実数であるという条件は(1)で考えた。

$2 \le z + \frac{16}{z} \le 10$ を満たす場合を考える。

$y = 0$ のとき、$z = x$ (実数) であり、

$2 \le x + \frac{16}{x} \le 10$

$x > 0$ のとき、$2x \le x^2 + 16 \le 10x$

$x^2 - 2x + 16 \ge 0$ は常に成り立つ。

$x^2 - 10x + 16 \le 0$ より、$(x - 2)(x - 8) \le 0$

$2 \le x \le 8$

$x < 0$ のとき、$2x \ge x^2 + 16 \ge 10x$

$x^2 - 2x + 16 \le 0$ となるが、これは実数解を持たない。よって、$x < 0$ では解なし。

$x^2 + y^2 = 16$ のとき、$z + \frac{16}{z} = x + yi + \frac{16}{x + yi} = x + yi + \frac{16(x - yi)}{x^2 + y^2} = x + yi + \frac{16(x - yi)}{16} = x + yi + x - yi = 2x$

したがって、$2 \le 2x \le 10$

$1 \le x \le 5$

$x^2 + y^2 = 16$ なので、$y^2 = 16 - x^2$

$1 \le x \le 5$ より、$- \sqrt{15} \le y \le \sqrt{15}$

したがって、$z$ が描く図形は、実軸上の $2 \le x \le 8$ の部分と、原点を中心とする半径 4 の円の $1 \le x \le 5$ の部分。

3. 最終的な答え

(1) 実軸上の原点を除く部分と、原点を中心とする半径4の円周上の原点を除く部分。

(2) 実軸上の区間 $2 \le x \le 8$ と、円 $|z| = 4$ 上の区間 $1 \le Re(z) \le 5$ (すなわち、 $1 \le x \le 5$, $-\sqrt{15} \le y \le \sqrt{15}$) の部分。ただし、円上の点は $|z|=4$ を満たす。