(1) $x \geq 1$ のとき、$x \log x \geq (x-1) \log(x+1)$ を示す。 (2) 自然数 $n$ に対して、$(n!)^2 \geq n^n$ を示す。

1. 問題の内容

(1) $x \geq 1$ のとき、$x \log x \geq (x-1) \log(x+1)$ を示す。

(2) 自然数 $n$ に対して、$(n!)^2 \geq n^n$ を示す。

2. 解き方の手順

(1) $x \geq 1$ のとき、$f(x) = x \log x - (x-1) \log(x+1) \geq 0$ を示す。

まず、$f(1) = 1 \cdot \log 1 - (1-1) \log(1+1) = 0$ である。

次に、$f(x)$ の導関数を計算する。

$f'(x) = \log x + x \cdot \frac{1}{x} - \log(x+1) - (x-1) \cdot \frac{1}{x+1} = \log x + 1 - \log(x+1) - \frac{x-1}{x+1}$

$f'(x) = \log \frac{x}{x+1} + 1 - \frac{x-1}{x+1} = \log \frac{x}{x+1} + \frac{x+1-(x-1)}{x+1} = \log \frac{x}{x+1} + \frac{2}{x+1}$

ここで、$g(x) = \log \frac{x}{x+1} + \frac{2}{x+1}$ とする。

$x \geq 1$ より、$\frac{x}{x+1} < 1$ であるから、$\log \frac{x}{x+1} < 0$ である。

また、$x \geq 1$ より、$\frac{2}{x+1} > 0$ である。

$g(1) = \log \frac{1}{2} + \frac{2}{2} = \log \frac{1}{2} + 1 = 1 - \log 2 > 0$

$f''(x) = \frac{x+1}{x} \cdot \frac{(x+1)-x}{(x+1)^2} - \frac{2}{(x+1)^2} = \frac{1}{x(x+1)} - \frac{2}{(x+1)^2} = \frac{x+1 - 2x}{x(x+1)^2} = \frac{1-x}{x(x+1)^2}$

$x \geq 1$ のとき、$f''(x) \leq 0$ であるから、$f'(x)$ は単調減少である。

$f'(1) = \log \frac{1}{2} + 1 = 1 - \log 2 > 0$ であり、$f'(x)$ は単調減少であるから、$f'(x)$ は正の値から減少していく。

したがって、$f'(x)$ はどこかの $x$ で $0$ になるか、常に正である。

$f'(x) > 0$ の場合、$f(x)$ は単調増加であるから、$f(x) \geq f(1) = 0$ が成り立つ。

$f'(x)$ がどこかの $x$ で $0$ になる場合、$f(x)$ は減少してから増加する。

ここで、$\lim_{x \to \infty} f'(x) = 0$ が成り立つ。

$\lim_{x \to \infty} \log \frac{x}{x+1} + \frac{2}{x+1} = \log 1 + 0 = 0$

したがって、ある $x$ で $f'(x) = 0$ となる場合、その $x$ より大きい範囲では $f'(x) < 0$ となる。

しかし、$f(x) = x \log x - (x-1) \log(x+1)$ において、$x$ が大きくなるにつれて、$x \log x$ の方が $(x-1) \log(x+1)$ よりも大きくなるため、$f(x)$ は増加していく。したがって、$f(x) \geq 0$ が成り立つ。

(2) $(n!)^2 \geq n^n$ を示す。

$n! = 1 \cdot 2 \cdot 3 \cdots n$ であるから、$(n!)^2 = (1 \cdot 2 \cdot 3 \cdots n) (1 \cdot 2 \cdot 3 \cdots n)$ である。

$n^n = n \cdot n \cdot n \cdots n$ である。

$(n!)^2 = (1 \cdot n) (2 \cdot (n-1)) (3 \cdot (n-2)) \cdots (n \cdot 1)$

各項 $k(n-k+1)$ が $n$ 以上であることを示せば良い。

$k(n-k+1) \geq n$

$kn - k^2 + k \geq n$

$0 \geq k^2 - (n+1)k + n$

$k^2 - (n+1)k + n \leq 0$

$(k-1)(k-n) \leq 0$

$1 \leq k \leq n$

$k$ は $1$ から $n$ までの整数であるから、この不等式は常に成り立つ。

したがって、各項 $k(n-k+1) \geq n$ が成り立つため、$(n!)^2 \geq n^n$ が成り立つ。

3. 最終的な答え

(1) $x \geq 1$ のとき、$x \log x \geq (x-1) \log(x+1)$ が成り立つ。

(2) 自然数 $n$ に対して、$(n!)^2 \geq n^n$ が成り立つ。