与えられた2つの不等式を数学的帰納法を用いて証明する問題です。 (1) $n$ が自然数のとき、$1^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + n^2 < \frac{(n+1)^3}{3}$ (2) $n$ が3以上の自然数のとき、$3^n > 5n + 1$

代数学数学的帰納法不等式数列
2025/6/29

1. 問題の内容

与えられた2つの不等式を数学的帰納法を用いて証明する問題です。
(1) nn が自然数のとき、12+22+32++n2<(n+1)331^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + n^2 < \frac{(n+1)^3}{3}
(2) nn が3以上の自然数のとき、3n>5n+13^n > 5n + 1

2. 解き方の手順

(1) nn が自然数のとき、12+22+32++n2<(n+1)331^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + n^2 < \frac{(n+1)^3}{3} の証明
ステップ1: n=1n=1 のとき
左辺は 12=11^2 = 1
右辺は (1+1)33=83\frac{(1+1)^3}{3} = \frac{8}{3}
1<831 < \frac{8}{3} なので、n=1n=1 のとき不等式は成立します。
ステップ2: n=kn=k のとき不等式が成立すると仮定する。
つまり、12+22+32++k2<(k+1)331^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + k^2 < \frac{(k+1)^3}{3} が成立すると仮定します。
ステップ3: n=k+1n=k+1 のとき不等式が成立することを示す。
n=k+1n=k+1 のとき、12+22+32++k2+(k+1)2<(k+2)331^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + k^2 + (k+1)^2 < \frac{(k+2)^3}{3} を示す必要があります。
仮定より、12+22+32++k2<(k+1)331^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + k^2 < \frac{(k+1)^3}{3} なので、両辺に (k+1)2(k+1)^2 を加えます。
12+22+32++k2+(k+1)2<(k+1)33+(k+1)21^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + k^2 + (k+1)^2 < \frac{(k+1)^3}{3} + (k+1)^2
右辺を計算すると、
(k+1)33+(k+1)2=(k+1)3+3(k+1)23=(k+1)2(k+1+3)3=(k+1)2(k+4)3\frac{(k+1)^3}{3} + (k+1)^2 = \frac{(k+1)^3 + 3(k+1)^2}{3} = \frac{(k+1)^2(k+1+3)}{3} = \frac{(k+1)^2(k+4)}{3}
(k+1)2(k+4)3<(k+2)33\frac{(k+1)^2(k+4)}{3} < \frac{(k+2)^3}{3} を示せば良いことになります。
つまり、(k+1)2(k+4)<(k+2)3 (k+1)^2(k+4) < (k+2)^3 を示せば良いです。
(k+1)2(k+4)=(k2+2k+1)(k+4)=k3+6k2+9k+4 (k+1)^2(k+4) = (k^2+2k+1)(k+4) = k^3+6k^2+9k+4
(k+2)3=k3+6k2+12k+8 (k+2)^3 = k^3+6k^2+12k+8
k3+6k2+9k+4<k3+6k2+12k+8 k^3+6k^2+9k+4 < k^3+6k^2+12k+8 を示せば良く、
0<3k+4 0 < 3k+4 となり、kk が自然数であることから、これは常に成立します。
したがって、n=k+1n=k+1 のときも不等式は成立します。
ステップ4: 結論
数学的帰納法により、nn が自然数のとき、12+22+32++n2<(n+1)331^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + n^2 < \frac{(n+1)^3}{3} は成立します。
(2) nn が3以上の自然数のとき、3n>5n+13^n > 5n + 1 の証明
ステップ1: n=3n=3 のとき
左辺は 33=273^3 = 27
右辺は 5(3)+1=165(3) + 1 = 16
27>1627 > 16 なので、n=3n=3 のとき不等式は成立します。
ステップ2: n=kn=k のとき不等式が成立すると仮定する。
つまり、3k>5k+13^k > 5k + 1 が成立すると仮定します。
ステップ3: n=k+1n=k+1 のとき不等式が成立することを示す。
n=k+1n=k+1 のとき、3k+1>5(k+1)+13^{k+1} > 5(k+1) + 1 を示す必要があります。
つまり、3k+1>5k+63^{k+1} > 5k + 6 を示します。
仮定より、3k>5k+13^k > 5k + 1 なので、両辺に3をかけます。
3k+1>3(5k+1)=15k+33^{k+1} > 3(5k + 1) = 15k + 3
15k+3>5k+615k + 3 > 5k + 6 を示せば良いことになります。
10k>310k > 3
k>310k > \frac{3}{10}
kk は3以上の自然数なので、これは常に成立します。
したがって、n=k+1n=k+1 のときも不等式は成立します。
ステップ4: 結論
数学的帰納法により、nn が3以上の自然数のとき、3n>5n+13^n > 5n + 1 は成立します。

3. 最終的な答え

(1) nn が自然数のとき、12+22+32++n2<(n+1)331^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + n^2 < \frac{(n+1)^3}{3} は数学的帰納法によって証明されました。
(2) nn が3以上の自然数のとき、3n>5n+13^n > 5n + 1 は数学的帰納法によって証明されました。

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