(1) 整数係数の3次方程式 $ax^3 + bx^2 + cx + d = 0$ が $x = \frac{l}{k}$ ( $k, l$ は互いに素な自然数) を解に持つとき、$k$ は $a$ の約数であり、$l$ は $d$ の約数であることを示す。 (2) 整数係数の3次方程式 $x^3 + bx^2 + cx + d = 0$ が正の有理数解を持つとする。$f(x) = x^3 + bx^2 + cx + d$ とおくとき、$f(0)$, $f(1)$, $f(2)$ のいずれかは3の倍数であることを示す。

代数学多項式3次方程式有理数解の定理整数の性質合同式
2025/3/31
はい、承知いたしました。以下に問題の解答を示します。

1. 問題の内容

(1) 整数係数の3次方程式 ax3+bx2+cx+d=0ax^3 + bx^2 + cx + d = 0x=lkx = \frac{l}{k} ( k,lk, l は互いに素な自然数) を解に持つとき、kkaa の約数であり、lldd の約数であることを示す。
(2) 整数係数の3次方程式 x3+bx2+cx+d=0x^3 + bx^2 + cx + d = 0 が正の有理数解を持つとする。f(x)=x3+bx2+cx+df(x) = x^3 + bx^2 + cx + d とおくとき、f(0)f(0), f(1)f(1), f(2)f(2) のいずれかは3の倍数であることを示す。

2. 解き方の手順

(1)
x=lkx = \frac{l}{k}ax3+bx2+cx+d=0ax^3 + bx^2 + cx + d = 0 の解であるので、代入すると
a(lk)3+b(lk)2+c(lk)+d=0a \left( \frac{l}{k} \right)^3 + b \left( \frac{l}{k} \right)^2 + c \left( \frac{l}{k} \right) + d = 0
両辺に k3k^3 をかけると
al3+bl2k+clk2+dk3=0al^3 + bl^2k + clk^2 + dk^3 = 0
移項して
al3=bl2kclk2dk3=(bl2+clk+dk2)kal^3 = -bl^2k - clk^2 - dk^3 = -(bl^2 + clk + dk^2)k
l3=(bl2+clk+dk2)kal^3 = \frac{-(bl^2 + clk + dk^2)k}{a}
したがって、al3al^3kk で割り切れる。kkll は互いに素なので、aakk で割り切れる。つまり、kkaa の約数である。
同様に、al3+bl2k+clk2+dk3=0al^3 + bl^2k + clk^2 + dk^3 = 0 を移項して
dk3=al3bl2kclk2=(al2+blk+ck2)ldk^3 = -al^3 - bl^2k - clk^2 = -(al^2 + blk + ck^2)l
k3=(al2+blk+ck2)ldk^3 = \frac{-(al^2 + blk + ck^2)l}{d}
したがって、dk3dk^3ll で割り切れる。kkll は互いに素なので、ddll で割り切れる。つまり、lldd の約数である。
(2)
f(x)=x3+bx2+cx+df(x) = x^3 + bx^2 + cx + d とおく。
f(0)=df(0) = d
f(1)=1+b+c+df(1) = 1 + b + c + d
f(2)=8+4b+2c+df(2) = 8 + 4b + 2c + d
f(0),f(1),f(2)f(0), f(1), f(2) を3で割った余りを考える。
f(0)d(mod3)f(0) \equiv d \pmod{3}
f(1)1+b+c+d(mod3)f(1) \equiv 1 + b + c + d \pmod{3}
f(2)2+bc+d(mod3)f(2) \equiv 2 + b - c + d \pmod{3} ( 41,214 \equiv 1, 2 \equiv -1 より)
もし、f(0),f(1),f(2)f(0), f(1), f(2) のいずれも3の倍数でないと仮定すると、f(0),f(1),f(2)f(0), f(1), f(2) はそれぞれ3で割った余りが1または2となる。
ここで、f(0)+f(1)+f(2)d+(1+b+c+d)+(2+bc+d)3+2b+3d2b(mod3)f(0) + f(1) + f(2) \equiv d + (1 + b + c + d) + (2 + b - c + d) \equiv 3 + 2b + 3d \equiv 2b \pmod{3} となる。
ここで、有理数の解を pq\frac{p}{q} ( p,qp, q は互いに素な整数) とする。このとき pq\frac{p}{q} は正の解であるので、p>0,q>0p>0, q>0
p3q3+bp2q2+cpq+d=0\frac{p^3}{q^3} + b\frac{p^2}{q^2} + c\frac{p}{q} + d = 0
p3+bp2q+cpq2+dq3=0p^3 + bp^2q + cpq^2 + dq^3 = 0
p3bp2qcpq2dq3(mod3)p^3 \equiv -bp^2q - cpq^2 - dq^3 \pmod{3}
f(p)=p3+bp2+cp+df(p) = p^3 + bp^2 + cp + d
正の有理数解を α\alpha とすると、α=pq\alpha = \frac{p}{q} と表せる。ただし、p,qp, q は互いに素な正の整数とする。
f(α)=(pq)3+b(pq)2+c(pq)+d=0f(\alpha) = (\frac{p}{q})^3 + b (\frac{p}{q})^2 + c (\frac{p}{q}) + d = 0
p3+bp2q+cpq2+dq3=0p^3 + bp^2q + cpq^2 + dq^3 = 0
ここで、ppqq が互いに素であることから、p0(mod3)p \equiv 0 \pmod{3} または p≢0(mod3)p \not\equiv 0 \pmod{3} である。同様に、q0(mod3)q \equiv 0 \pmod{3} または q≢0(mod3)q \not\equiv 0 \pmod{3} である。
もし f(0),f(1),f(2)f(0), f(1), f(2) がいずれも3の倍数でないとすると、p,q≢0(mod3)p, q \not\equiv 0 \pmod{3} となり、p3+bp2q+cpq2+dq3≢0(mod3)p^3 + bp^2q + cpq^2 + dq^3 \not\equiv 0 \pmod{3} が得られる。
したがって、f(0),f(1),f(2)f(0), f(1), f(2) のいずれかは3の倍数である。

3. 最終的な答え

(1) kkaa の約数であり、lldd の約数である。
(2) f(0),f(1),f(2)f(0), f(1), f(2) のいずれかは3の倍数である。

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