$z$ を 0 でない複素数、$n$ を整数とします。$z + \frac{1}{z}$ が実数ならば、$z^n + \frac{1}{z^n}$ も実数となることを示してください。ただし、$n=0$, $n$ が正の整数, $n$ が負の整数の場合に分けて答えてください。

1. 問題の内容

$z$ を 0 でない複素数、$n$ を整数とします。$z + \frac{1}{z}$ が実数ならば、$z^n + \frac{1}{z^n}$ も実数となることを示してください。ただし、$n=0$, $n$ が正の整数, $n$ が負の整数の場合に分けて答えてください。

2. 解き方の手順

(i) $n = 0$ の場合:

$z^0 + \frac{1}{z^0} = 1 + \frac{1}{1} = 1 + 1 = 2$. 2 は実数なので、$z^0 + \frac{1}{z^0}$ は実数です。

(ii) $n$ が正の整数の場合:

数学的帰納法で証明します。

$z + \frac{1}{z} = x$ (実数) とします。

$n = 1$ のとき、$z^1 + \frac{1}{z^1} = z + \frac{1}{z} = x$ であり、実数です。

$n = 2$ のとき、$z^2 + \frac{1}{z^2} = (z + \frac{1}{z})^2 - 2 \cdot z \cdot \frac{1}{z} = x^2 - 2$ であり、実数です。

$n = k$ および $n = k-1$ のとき、$z^k + \frac{1}{z^k}$ および $z^{k-1} + \frac{1}{z^{k-1}}$ が実数であると仮定します。

$n = k+1$ のとき、$z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}}$ が実数であることを示します。

$(z^k + \frac{1}{z^k})(z + \frac{1}{z}) = z^{k+1} + \frac{1}{z^{k-1}} + z^{k-1} + \frac{1}{z^{k+1}} = z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}} + z^{k-1} + \frac{1}{z^{k-1}}$

よって、$z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}} = (z^k + \frac{1}{z^k})(z + \frac{1}{z}) - (z^{k-1} + \frac{1}{z^{k-1}})$

仮定より、$z^k + \frac{1}{z^k}$ と $z^{k-1} + \frac{1}{z^{k-1}}$ は実数であり、$z + \frac{1}{z} = x$ も実数なので、$(z^k + \frac{1}{z^k})(z + \frac{1}{z}) - (z^{k-1} + \frac{1}{z^{k-1}})$ は実数です。したがって、$z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}}$ も実数です。

数学的帰納法により、$n$ が正の整数のとき、$z^n + \frac{1}{z^n}$ は実数です。

(iii) $n$ が負の整数の場合:

$n = -m$ ($m$ は正の整数) とします。

$z^n + \frac{1}{z^n} = z^{-m} + \frac{1}{z^{-m}} = \frac{1}{z^m} + z^m = z^m + \frac{1}{z^m}$.

(ii) の結果から、$z^m + \frac{1}{z^m}$ は実数なので、$z^n + \frac{1}{z^n}$ は実数です。

3. 最終的な答え

$n=0$ のとき、$z^0 + \frac{1}{z^0}=2$ は実数です。

$n$ が正の整数のとき、$z^n + \frac{1}{z^n}$ は実数です。

$n$ が負の整数のとき、$z^n + \frac{1}{z^n}$ は実数です。

したがって、すべての場合において、$z^n + \frac{1}{z^n}$ は実数です。