関数 $f(x) = e^{-x} \sin{x}$ (ただし $x > 0$) が与えられている。 (1) $f(x)$ の最大値と最小値、およびそのときの $x$ の値を求める。 (2) 方程式 $f(x) = a$ の異なる正の実数解が2個であるときの、$a$ の値の範囲を求める。ただし、$a > 0$ とする。

1. 問題の内容

関数 $f(x) = e^{-x} \sin{x}$ (ただし $x > 0$) が与えられている。

(1) $f(x)$ の最大値と最小値、およびそのときの $x$ の値を求める。

(2) 方程式 $f(x) = a$ の異なる正の実数解が2個であるときの、$a$ の値の範囲を求める。ただし、$a > 0$ とする。

2. 解き方の手順

(1) $f(x)$ の最大値と最小値を求める。

まず、 $f'(x)$ を計算する。

$f'(x) = -e^{-x}\sin{x} + e^{-x}\cos{x} = e^{-x}(\cos{x} - \sin{x})$

$f'(x) = 0$ となる $x$ を求める。

$\cos{x} - \sin{x} = 0$ より、 $\cos{x} = \sin{x}$

$x = \frac{\pi}{4} + n\pi$ ( $n$ は整数)

$x > 0$ より、$x = \frac{\pi}{4}, \frac{5\pi}{4}, \frac{9\pi}{4}, \dots$

$f''(x) = -e^{-x}(\cos{x}-\sin{x})+e^{-x}(-\sin{x}-\cos{x}) = e^{-x}(-\cos{x}+\sin{x}-\sin{x}-\cos{x}) = -2e^{-x}\cos{x}$

$x = \frac{\pi}{4}$ のとき、$f''(\frac{\pi}{4}) = -2e^{-\frac{\pi}{4}}\cos{\frac{\pi}{4}} = -2e^{-\frac{\pi}{4}}\frac{\sqrt{2}}{2} = -\sqrt{2}e^{-\frac{\pi}{4}} < 0$ なので、最大値をとる。

$f(\frac{\pi}{4}) = e^{-\frac{\pi}{4}} \sin{\frac{\pi}{4}} = e^{-\frac{\pi}{4}} \frac{\sqrt{2}}{2} = \frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}$

$x = \frac{5\pi}{4}$ のとき、$f''(\frac{5\pi}{4}) = -2e^{-\frac{5\pi}{4}}\cos{\frac{5\pi}{4}} = -2e^{-\frac{5\pi}{4}}(-\frac{\sqrt{2}}{2}) = \sqrt{2}e^{-\frac{5\pi}{4}} > 0$ なので、最小値をとる。

$f(\frac{5\pi}{4}) = e^{-\frac{5\pi}{4}} \sin{\frac{5\pi}{4}} = e^{-\frac{5\pi}{4}} (-\frac{\sqrt{2}}{2}) = -\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{5\pi}{4}}$

$x \to \infty$ で $f(x) \to 0$ であり、$f(x)$ は振動しながら減衰していくので、最大値は $\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}$ であり、最小値はない（0に漸近する）。

(2) $f(x) = a$ の異なる正の実数解が2個となる $a$ の範囲を求める。

$f(x)$ のグラフを考えると、 $x = \frac{\pi}{4}$ で最大値 $\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}$ をとり、 $x = \frac{5\pi}{4}$ で極小値 $-\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{5\pi}{4}}$ をとる。

$f(0) = 0$ であり、$x > 0$ の範囲で考える。$f(x)$ は減衰しながら振動するため、 $f(x) = a$ が異なる2つの解を持つのは、

$0 < a < \frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}$ のときである。

3. 最終的な答え

(1) 最大値: $\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}$ ( $x = \frac{\pi}{4}$ のとき)。最小値: なし (0に漸近)

(2) $0 < a < \frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}$