$f(0+0) = f(0) + f(0)$ $f(0) = 2f(0)$ したがって、$f(0) = 0$

解析学関数の連続性関数方程式コーシーの関数方程式実数証明
2025/7/2
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1. 問題の内容

問題10は、実数上で定義された連続関数 f(x)f(x) が、以下の2つの条件を満たすとき、f(x)=xf(x) = x であることを証明せよという問題です。
(a) 全ての実数 x,yx, y に対して、f(x+y)=f(x)+f(y)f(x+y) = f(x) + f(y) が成り立つ。
(b) f(1)=1f(1) = 1 が成り立つ。
##

2. 解き方の手順

1. **$f(0)$ の値を求める:** 条件(a)で $x = y = 0$ とすると、

f(0+0)=f(0)+f(0)f(0+0) = f(0) + f(0)
f(0)=2f(0)f(0) = 2f(0)
したがって、f(0)=0f(0) = 0

2. **$f(n)$ (nは自然数) の値を求める:** 数学的帰納法を用いる。

n=1n = 1 のとき、f(1)=1f(1) = 1 (条件(b)より)
n=kn = k のとき、f(k)=kf(k) = k が成り立つと仮定する。
n=k+1n = k+1 のとき、条件(a)より、
f(k+1)=f(k)+f(1)=k+1f(k+1) = f(k) + f(1) = k + 1
したがって、全ての自然数 nn に対して、f(n)=nf(n) = n が成り立つ。

3. **$f(-n)$ (nは自然数) の値を求める:** 条件(a)で $x = n$ , $y = -n$ とすると、

f(n+(n))=f(n)+f(n)f(n + (-n)) = f(n) + f(-n)
f(0)=f(n)+f(n)f(0) = f(n) + f(-n)
0=n+f(n)0 = n + f(-n) (

1. と

2. の結果より)

したがって、f(n)=nf(-n) = -n

4. **$f(q)$ (qは整数) の値を求める:** 2.と3.より、全ての整数 $q$ に対して、$f(q) = q$ が成り立つ。

5. **$f(1/n)$ (nは自然数) の値を求める:** 条件(a)を繰り返し用いると、

f(1)=f(1/n+1/n+...+1/n)f(1) = f(1/n + 1/n + ... + 1/n) (1/nがn個)
f(1)=f(1/n)+f(1/n)+...+f(1/n)f(1) = f(1/n) + f(1/n) + ... + f(1/n) (1/nがn個)
f(1)=nf(1/n)f(1) = nf(1/n)
1=nf(1/n)1 = nf(1/n) (条件(b)より)
したがって、f(1/n)=1/nf(1/n) = 1/n

6. **$f(m/n)$ (m, n は自然数) の値を求める:** 5.の結果を用いると、

f(m/n)=f(1/n+1/n+...+1/n)f(m/n) = f(1/n + 1/n + ... + 1/n) (1/nがm個)
f(m/n)=f(1/n)+f(1/n)+...+f(1/n)f(m/n) = f(1/n) + f(1/n) + ... + f(1/n) (1/nがm個)
f(m/n)=mf(1/n)=m(1/n)=m/nf(m/n) = m f(1/n) = m (1/n) = m/n
したがって、全ての実数 qq (qは有理数) に対して、f(q)=qf(q) = q が成り立つ。

7. **連続性を用いて $f(x) = x$ を証明する:**

f(x)f(x) は連続であるから、任意の実数 xx に対して、ある有理数列 qnq_n が存在して、qnxq_n \to x となる。
f(x)f(x) の連続性より、
limnf(qn)=f(limnqn)=f(x)\lim_{n\to\infty} f(q_n) = f(\lim_{n\to\infty} q_n) = f(x)
一方、f(qn)=qnf(q_n) = q_n であるから、
limnf(qn)=limnqn=x\lim_{n\to\infty} f(q_n) = \lim_{n\to\infty} q_n = x
したがって、f(x)=xf(x) = x
##

3. 最終的な答え

したがって、f(x)=xf(x) = x であることが示された。

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