実数 $x$ に対して、無限級数 $$ x + \frac{x}{1-x} + \frac{x}{(1-x)^2} + \frac{x}{(1-x)^3} + \cdots + \frac{x}{(1-x)^{n-1}} + \cdots $$ が収束するような $x$ の値の範囲と、そのときの極限値を求める。

解析学無限級数収束等比級数極限値
2025/7/8

1. 問題の内容

実数 xx に対して、無限級数
x+x1x+x(1x)2+x(1x)3++x(1x)n1+ x + \frac{x}{1-x} + \frac{x}{(1-x)^2} + \frac{x}{(1-x)^3} + \cdots + \frac{x}{(1-x)^{n-1}} + \cdots
が収束するような xx の値の範囲と、そのときの極限値を求める。

2. 解き方の手順

与えられた無限級数は、初項 xx、公比 11x\frac{1}{1-x} の無限等比級数であると考えられる。ただし、初項が xxであるため、注意が必要である。
無限等比級数が収束するための条件は、公比の絶対値が1より小さいこと、または初項が0であることである。
まず、公比が 11x\frac{1}{1-x} であるから、収束条件は
11x<1 \left| \frac{1}{1-x} \right| < 1
または x=0x=0 である。
x=0x=0 のときは、与えられた級数は全ての項が0になるため、明らかに収束し、その極限値は0である。
11x<1\left| \frac{1}{1-x} \right| < 1 のとき、絶対値の逆数をとると
1x>1 |1-x| > 1
これは 1x>11-x > 1 または 1x<11-x < -1 を意味する。
1x>11-x > 1 より x<0x < 0
1x<11-x < -1 より x>2x > 2
したがって、xx の範囲は x<0x < 0 または x>2x > 2 である。
次に、この範囲において級数の和を求める。無限等比級数の和の公式より
S=x111x=x1x11x=x(1x)x S = \frac{x}{1 - \frac{1}{1-x}} = \frac{x}{\frac{1-x-1}{1-x}} = \frac{x(1-x)}{-x}
x0x \neq 0 であるので、
S=(1x)=x1 S = -(1-x) = x-1

3. 最終的な答え

無限級数が収束する xx の範囲は x0x \le 0 または x>2x > 2 であり、x0x \le 0 のとき極限値は、x=0x=0 なら0、x<0x<0ならx1x-1である。x>2x>2 のとき極限値は x1x-1 である。
したがって、x0x \le 0 または x>2x > 2 において収束し、極限値は
\begin{cases}
0 & (x = 0) \\
x-1 & (x < 0 \text{ または } x > 2)
\end{cases}
と表せる。あるいは x=0x=0 の場合をx1x-1に含めるように解釈すると、
x0x \leq 0 または x>2x>2 の範囲で収束し、極限値はx1x-1

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