問題は、有理数全体の集合 $\mathbb{Q}$ について以下の3つの性質を示すことです。 (1) $\mathbb{Q}$ は可算集合である。 (2) 直積集合 $\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}$ は $\mathbb{Q}$ と対等である。 (3) 直和集合 $\mathbb{Q} + \mathbb{Q}$ は $\mathbb{Q}$ と対等である。

数論集合論可算集合濃度有理数
2025/7/9

1. 問題の内容

問題は、有理数全体の集合 Q\mathbb{Q} について以下の3つの性質を示すことです。
(1) Q\mathbb{Q} は可算集合である。
(2) 直積集合 Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} と対等である。
(3) 直和集合 Q+Q\mathbb{Q} + \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} と対等である。

2. 解き方の手順

(1) Q\mathbb{Q} が可算集合であることの証明:
Q\mathbb{Q} は、整数 mm と正の整数 nn の比 m/nm/n で表される数の集合です。まず、正の有理数全体の集合 Q+\mathbb{Q}^+ が可算であることを示します。
Q+\mathbb{Q}^+ の各要素を m/nm/n の形で表し、mmnn が互いに素であると仮定します。
次に、N×N\mathbb{N} \times \mathbb{N} の要素 (m,n)(m, n) に対して、m/nm/n を対応させる関数 f:N×NQ+f: \mathbb{N} \times \mathbb{N} \to \mathbb{Q}^+ を考えます。ただし、mmnn は互いに素であるもののみを考えます。
N×N\mathbb{N} \times \mathbb{N} は可算集合であるため、その部分集合である上記の (m,n)(m, n) の集合も可算です。したがって、Q+\mathbb{Q}^+ は可算集合です。
Q\mathbb{Q}^- (負の有理数) も同様に可算集合です。
Q=Q+Q{0}\mathbb{Q} = \mathbb{Q}^+ \cup \mathbb{Q}^- \cup \{0\} と表せます。可算集合の可算個の合併は可算集合であるため、Q\mathbb{Q} は可算集合です。
(2) Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} と対等であることの証明:
Q\mathbb{Q} が可算無限集合であることより、全単射 f:NQf: \mathbb{N} \to \mathbb{Q} が存在します。
Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q} も可算無限集合なので、全単射 g:NQ×Qg: \mathbb{N} \to \mathbb{Q} \times \mathbb{Q} が存在します。
したがって、Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} は濃度が等しく、対等です。
別の方法として、N×N\mathbb{N} \times \mathbb{N}N\mathbb{N} が対等であることと、Q\mathbb{Q}N\mathbb{N} が対等であることを用いることもできます。Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}N×N\mathbb{N} \times \mathbb{N} は対等であり、N×N\mathbb{N} \times \mathbb{N}N\mathbb{N} は対等なので、Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}N\mathbb{N} は対等です。そして、N\mathbb{N}Q\mathbb{Q} は対等なので、Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} は対等です。
(3) Q+Q\mathbb{Q} + \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} と対等であることの証明:
Q+Q={x+yxQ,yQ}\mathbb{Q} + \mathbb{Q} = \{x + y \mid x \in \mathbb{Q}, y \in \mathbb{Q}\} は、有理数の和の集合です。
任意の x,yQx, y \in \mathbb{Q} に対して、x+yx + y は常に有理数であるため、Q+QQ\mathbb{Q} + \mathbb{Q} \subseteq \mathbb{Q} が成り立ちます。
また、任意の zQz \in \mathbb{Q} に対して、z=(z/2)+(z/2)z = (z/2) + (z/2) と表せるため、zQ+Qz \in \mathbb{Q} + \mathbb{Q} が成り立ちます。したがって、QQ+Q\mathbb{Q} \subseteq \mathbb{Q} + \mathbb{Q} が成り立ちます。
以上より、Q+Q=Q\mathbb{Q} + \mathbb{Q} = \mathbb{Q} となります。したがって、Q+Q\mathbb{Q} + \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} と対等です。

3. 最終的な答え

(1) Q\mathbb{Q} は可算集合である。
(2) Q×Q\mathbb{Q} \times \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} と対等である。
(3) Q+Q\mathbb{Q} + \mathbb{Q}Q\mathbb{Q} と対等である。

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