AとBの工場で製造された部品の長さについて、標準偏差がそれぞれ0.12cmと0.08cmである。Aから72個、Bから64個の標本を抽出し、平均長さをそれぞれ2.52cmと2.49cmとしたとき、2つのメーカーの部品の長さに差があるかどうかを、有意水準5%と1%で検定する問題です。

確率論・統計学統計的検定仮説検定母平均の差の検定標準偏差有意水準両側検定
2025/7/10

1. 問題の内容

AとBの工場で製造された部品の長さについて、標準偏差がそれぞれ0.12cmと0.08cmである。Aから72個、Bから64個の標本を抽出し、平均長さをそれぞれ2.52cmと2.49cmとしたとき、2つのメーカーの部品の長さに差があるかどうかを、有意水準5%と1%で検定する問題です。

2. 解き方の手順

まず、帰無仮説と対立仮説を設定します。
帰無仮説 H0H_0: μ1=μ2\mu_1 = \mu_2 (AとBの部品の長さの母平均は等しい)
対立仮説 H1H_1: μ1μ2\mu_1 \neq \mu_2 (AとBの部品の長さの母平均は等しくない)
次に、検定統計量Zを計算します。
Z=(x1ˉx2ˉ)σ12n1+σ22n2Z = \frac{(\bar{x_1} - \bar{x_2})}{\sqrt{\frac{\sigma_1^2}{n_1} + \frac{\sigma_2^2}{n_2}}}
ここで、
x1ˉ=2.52\bar{x_1} = 2.52 cm (Aの標本平均)
x2ˉ=2.49\bar{x_2} = 2.49 cm (Bの標本平均)
σ1=0.12\sigma_1 = 0.12 cm (Aの標準偏差)
σ2=0.08\sigma_2 = 0.08 cm (Bの標準偏差)
n1=72n_1 = 72 (Aの標本数)
n2=64n_2 = 64 (Bの標本数)
これらの値を代入すると、
Z=(2.522.49)0.12272+0.08264=0.030.014472+0.006464=0.030.0002+0.0001=0.030.0003=0.030.017321.73Z = \frac{(2.52 - 2.49)}{\sqrt{\frac{0.12^2}{72} + \frac{0.08^2}{64}}} = \frac{0.03}{\sqrt{\frac{0.0144}{72} + \frac{0.0064}{64}}} = \frac{0.03}{\sqrt{0.0002 + 0.0001}} = \frac{0.03}{\sqrt{0.0003}} = \frac{0.03}{0.01732} \approx 1.73
次に、有意水準5%と1%における棄却域の境界値を求めます。これは両側検定なので、
有意水準5%の場合、z0.025=1.96z_{0.025} = 1.96
有意水準1%の場合、z0.005=2.58z_{0.005} = 2.58
最後に、検定統計量Zと棄却域の境界値を比較し、帰無仮説を棄却するかどうかを判定します。

3. 最終的な答え

帰無仮説H0: μ1=μ2\mu_1 = \mu_2
対立仮説H1: μ1μ2\mu_1 \neq \mu_2
検定統計量: Z = 1.73
棄却域の境界値:
(1) 有意水準5%の場合: z = 1.96
(2) 有意水準1%の場合: z = 2.58
判定:
(1) 有意水準5%の場合: |Z| = 1.73 < 1.96 なので、帰無仮説を棄却できない。差があると判断できない。
(2) 有意水準1%の場合: |Z| = 1.73 < 2.58 なので、帰無仮説を棄却できない。差があると判断できない。

「確率論・統計学」の関連問題

大人3人と子供3人が輪になって並ぶときの、以下の3つの条件を満たす並び方の数を求めます。 (1) 大人と子供が交互に並ぶ。 (2) 特定の子供A, Bが隣り合う。 (3) 特定の子供A, Bが向かい合...

順列円順列場合の数組み合わせ
2025/7/15

(1) 中学生2人、高校生3人の中から、くじでリーダーと副リーダーを1人ずつ選ぶとき、リーダー、副リーダーともに高校生になる確率を求める。 (2) 4枚のカード(1, 2, 3, 4)の中から、同時に...

確率組み合わせ事象
2025/7/15

箱ひげ図から読み取れる情報をもとに、以下の3つの文が正しいかどうかを判断する問題です。 (1) 四分位範囲は、英語よりも数学の方が大きい。 (2) クラスの半数以上の生徒は、英語の得点が60点以上であ...

箱ひげ図四分位範囲中央値データの分析
2025/7/15

25人の生徒の中から、兼任を認めないで、議長、副議長、書記を各1人選ぶとき、選び方は何通りあるか。

順列組み合わせ場合の数
2025/7/15

Aの袋には赤玉3個と白玉2個、Bの袋には赤玉2個と白玉4個が入っている。A, Bの袋から1個ずつ玉を取り出すとき、 (1) Aから赤玉、Bから白玉を取り出す確率 (2) A, Bから取り出す玉の色が異...

確率事象独立事象確率の計算
2025/7/15

図に示す道路網において、O地点から出発し、以下の条件を満たす最短経路の数を求める。 (1) A地点を通りP地点へ行く経路の数 (2) B地点を通りP地点へ行く経路の数 (3) A地点とB地点の両方を通...

最短経路組み合わせ場合の数経路探索
2025/7/15

1枚の硬貨を3回続けて投げるとき、以下の確率を求めます。 (1) 3回とも表が出る確率 (2) 少なくとも1回は裏が出る確率

確率硬貨余事象
2025/7/15

2枚の硬貨と1個のサイコロを投げるとき、次の確率を求めます。 (1) 硬貨が2枚とも表で、サイコロが偶数の目が出る確率 (2) 硬貨が1枚だけ表で、サイコロが2以下の目が出る確率

確率確率計算事象硬貨サイコロ
2025/7/15

200人を対象にアンケートを実施し、スナック菓子が好きな人が全体の65%であり、そのうち40%がチョコレート菓子も好きと答えている。スナック菓子とチョコレート菓子のいずれも好きではない人が18人いると...

アンケート割合集合百分率
2025/7/15

1から50までの番号が書かれた50枚の札から1枚引くとき、以下の確率を求めます。 (1) 引いた札の番号が3の倍数または4の倍数である確率 (2) 引いた札の番号が3の倍数であるが4の倍数ではない確率

確率倍数排反事象確率の加法定理
2025/7/15