(1) $\frac{1}{z-i} + \frac{1}{z+i}$ が実数となる点 $z$ 全体の描く図形 $P$ を複素数平面上に図示せよ。 (2) $z$ が (1) で求めた図形 $P$ 上を動くとき、$w = \frac{z+i}{z-i}$ の描く図形を複素数平面上に図示せよ。

1. 問題の内容

(1) $\frac{1}{z-i} + \frac{1}{z+i}$ が実数となる点 $z$ 全体の描く図形 $P$ を複素数平面上に図示せよ。

(2) $z$ が (1) で求めた図形 $P$ 上を動くとき、$w = \frac{z+i}{z-i}$ の描く図形を複素数平面上に図示せよ。

2. 解き方の手順

(1)

$z = x + yi$ ($x, y$ は実数) とおく。

$\frac{1}{z-i} + \frac{1}{z+i} = \frac{1}{x+(y-1)i} + \frac{1}{x+(y+1)i} = \frac{x-(y-1)i}{x^2+(y-1)^2} + \frac{x-(y+1)i}{x^2+(y+1)^2}$

$= \frac{x}{x^2+(y-1)^2} - \frac{y-1}{x^2+(y-1)^2}i + \frac{x}{x^2+(y+1)^2} - \frac{y+1}{x^2+(y+1)^2}i$

$= \left( \frac{x}{x^2+(y-1)^2} + \frac{x}{x^2+(y+1)^2} \right) - \left( \frac{y-1}{x^2+(y-1)^2} + \frac{y+1}{x^2+(y+1)^2} \right)i$

これが実数となるためには、虚部が0である必要がある。

$\frac{y-1}{x^2+(y-1)^2} + \frac{y+1}{x^2+(y+1)^2} = 0$

$(y-1)(x^2+(y+1)^2) + (y+1)(x^2+(y-1)^2) = 0$

$(y-1)(x^2+y^2+2y+1) + (y+1)(x^2+y^2-2y+1) = 0$

$x^2y+y^3+2y^2+y-x^2-y^2-2y-1 + x^2y+y^3-2y^2+y+x^2+y^2-2y+1 = 0$

$2x^2y + 2y^3 - 2y = 0$

$2y(x^2 + y^2 - 1) = 0$

よって $y = 0$ または $x^2+y^2 = 1$

$y=0$のとき、$z=x$となり、$z=i, -i$ではない。

$x^2+y^2=1$のとき、$z=i, -i$ではない。

したがって、$y=0$ ($z$は実数、ただし $z \ne i, -i$) または $x^2+y^2=1$ ($|z|=1$, ただし $z \ne i, -i$)

(2)

$w = \frac{z+i}{z-i}$ より $w(z-i) = z+i$

$wz - wi = z + i$

$wz - z = i + wi$

$z(w-1) = i(1+w)$

$z = i \frac{1+w}{w-1}$

(1)より $|z|=1$または$z$は実数である。

i) $|z|=1$のとき、$|i\frac{1+w}{w-1}| = 1$

$|i| \frac{|1+w|}{|w-1|} = 1$

$\frac{|w+1|}{|w-1|} = 1$

$|w+1| = |w-1|$

これは、$-1$と$1$から等距離にある点の集合なので、実軸に垂直な直線を表す。つまり、$w$の実部が0。

$w = ui$ ($u$は実数)

ii) $z$が実数のとき、$z = i\frac{1+w}{w-1}$が実数となるので、

$i\frac{1+w}{w-1} = \overline{i\frac{1+w}{w-1}}$

$i\frac{1+w}{w-1} = -i\frac{1+\overline{w}}{\overline{w}-1}$

$\frac{1+w}{w-1} = -\frac{1+\overline{w}}{\overline{w}-1}$

$(1+w)(\overline{w}-1) = -(1+\overline{w})(w-1)$

$\overline{w}-1+w\overline{w}-w = -w+1-\overline{w}w+\overline{w}$

$\overline{w}-1+|w|^2-w = -w+1-|w|^2+\overline{w}$

$2|w|^2 - 2 = 0$

$|w|^2 = 1$

$|w| = 1$

$w$は原点中心半径1の円周上にある。

$|z|=1$かつ$z \ne \pm i$より、$w$は純虚数かつ$w \ne 0$。

$z$が実数の時、$z \ne \pm i$より$w \ne \pm i$。

まとめると、$|w| = 1$ (ただし、$w \ne \pm i$) かつ $w$ は純虚数(ただし、$w \ne 0$)。

3. 最終的な答え

(1) $y=0$（ただし、$z \ne \pm i$) または $x^2+y^2=1$ ($|z|=1$, ただし $z \ne \pm i$)

(2) $|w|=1$ (ただし、$w \ne \pm i$) または $w$ は純虚数(ただし、$w \ne 0$)

つまり、原点中心半径1の円周（ただし、$\pm i$を除く）または虚軸（ただし、原点を除く）