実数 $\mathbb{R}$ 上の二項関係 $\rho_1, \rho_2, \rho_3, \rho_4$ が以下のように定義される。 $G(\rho_1) = \{(x, y) | x \geq 0, y \geq 0\}$ $G(\rho_2) = \{(x, y) | x \leq y\}$ $G(\rho_3) = \{(x, y) | (x - y)(x + y - 1) = 0\}$ $G(\rho_4) = \{(x, y) | (x - y)(x - y + 1)(x - y - 1) = 0\}$ これらの二項関係が、反射律、対称律、推移律、反対称律のどれを満たしているかを判定する。

1. 問題の内容

実数 $\mathbb{R}$ 上の二項関係 $\rho_1, \rho_2, \rho_3, \rho_4$ が以下のように定義される。

$G(\rho_1) = \{(x, y) | x \geq 0, y \geq 0\}$

$G(\rho_2) = \{(x, y) | x \leq y\}$

$G(\rho_3) = \{(x, y) | (x - y)(x + y - 1) = 0\}$

$G(\rho_4) = \{(x, y) | (x - y)(x - y + 1)(x - y - 1) = 0\}$

これらの二項関係が、反射律、対称律、推移律、反対称律のどれを満たしているかを判定する。

2. 解き方の手順

各関係について、反射律、対称律、推移律、反対称律を個別に確認する。

* **反射律:** 任意の $x \in \mathbb{R}$ に対して、$(x, x) \in G(\rho_i)$ が成立するか。

* **対称律:** 任意の $(x, y) \in G(\rho_i)$ に対して、$(y, x) \in G(\rho_i)$ が成立するか。

* **推移律:** 任意の $(x, y) \in G(\rho_i)$ かつ $(y, z) \in G(\rho_i)$ に対して、$(x, z) \in G(\rho_i)$ が成立するか。

* **反対称律:** 任意の $(x, y) \in G(\rho_i)$ かつ $(y, x) \in G(\rho_i)$ に対して、$x = y$ が成立するか。

それぞれの関係について、以下の通り判定する。

* **$\rho_1$:** $G(\rho_1) = \{(x, y) | x \geq 0, y \geq 0\}$

* 反射律: $x \geq 0$ に対して $(x, x) \in G(\rho_1)$ となるためには $x \geq 0$ である必要がある。しかし、任意の $x \in \mathbb{R}$ に対して $x \geq 0$ が成り立つとは限らないので、反射律は満たさない。例: $x=-1$

* 対称律: $(x, y) \in G(\rho_1)$ とすると $x \geq 0$ かつ $y \geq 0$ である。このとき $(y, x) \in G(\rho_1)$ となるためには $y \geq 0$ かつ $x \geq 0$ である必要があり、これは成り立つ。よって対称律を満たす。

* 推移律: $(x, y) \in G(\rho_1)$ かつ $(y, z) \in G(\rho_1)$ とすると $x \geq 0, y \geq 0, y \geq 0, z \geq 0$ である。このとき $(x, z) \in G(\rho_1)$ となるためには $x \geq 0$ かつ $z \geq 0$ である必要があり、これは成り立つ。よって推移律を満たす。

* 反対称律: $(x, y) \in G(\rho_1)$ かつ $(y, x) \in G(\rho_1)$ とすると $x \geq 0, y \geq 0, y \geq 0, x \geq 0$ である。$x=y$ が成立するとは限らない。例: $x=1, y=2$. よって反対称律は満たさない。

* **$\rho_2$:** $G(\rho_2) = \{(x, y) | x \leq y\}$

* 反射律: 任意の $x \in \mathbb{R}$ に対して $x \leq x$ は常に成り立つので、反射律を満たす。

* 対称律: $x \leq y$ のとき $y \leq x$ が成り立つとは限らない。例: $x=1, y=2$. よって対称律は満たさない。

* 推移律: $x \leq y$ かつ $y \leq z$ のとき $x \leq z$ が成り立つので、推移律を満たす。

* 反対称律: $x \leq y$ かつ $y \leq x$ のとき $x = y$ が成り立つので、反対称律を満たす。

* **$\rho_3$:** $G(\rho_3) = \{(x, y) | (x - y)(x + y - 1) = 0\}$

* 反射律: $(x-x)(x+x-1)=0 \cdot (2x-1) = 0$ が成立するとは限らないため、反射律を満たさない。例：$x = 1$ のとき、$(1-1)(1+1-1) = 0$ だが、$x = 2$ のとき、$(2-2)(2+2-1) = 0$。しかし、$x=0$ のとき、$(0-0)(0+0-1)=0$ が成立。

* 対称律: $(x, y) \in G(\rho_3)$とすると、 $(x-y)(x+y-1) = 0$ 。

$(y, x) \in G(\rho_3)$ となるためには、$(y-x)(y+x-1) = 0$。つまり、$-(x-y)(x+y-1) = 0$　となり、これは $(x-y)(x+y-1) = 0$ と同値。したがって、対称律を満たす。

* 推移律: 推移律は満たさない。

* 反対称律: 反対称律は満たさない。

* **$\rho_4$:** $G(\rho_4) = \{(x, y) | (x - y)(x - y + 1)(x - y - 1) = 0\}$

* 反射律: $x - y = x - x = 0$ より $(x - y)(x - y + 1)(x - y - 1) = 0 \cdot 1 \cdot (-1) = 0$. よって反射律を満たす。

* 対称律: 対称律は満たさない。例：$x=0, y=1$ のとき $(0-1)(0-1+1)(0-1-1) = (-1)(0)(-2) = 0$ だが、$x=1, y=0$ のとき $(1-0)(1-0+1)(1-0-1) = 1 \cdot 2 \cdot 0 = 0$ なので $(0,1) \in G(\rho_4)$ かつ $(1,0) \in G(\rho_4)$. 反例ではない。$x=0$, $y=2$のとき、$(0-2)(0-2+1)(0-2-1)=(-2)(-1)(-3) = -6 \neq 0$.

$x=2, y=0$ のとき、$(2-0)(2-0+1)(2-0-1) = 2 \cdot 3 \cdot 1=6 \neq 0$.

$x=1, y=2$のとき、$(1-2)(1-2+1)(1-2-1) = (-1)(0)(-2) = 0$.

$x=2, y=1$のとき、$(2-1)(2-1+1)(2-1-1) = (1)(2)(0)=0$.

対称律を満たすかどうかの判断が難しい。

* 推移律: 推移律を満たさない。

* 反対称律: $(x,y) \in G(\rho_4)$ かつ $(y,x) \in G(\rho_4)$ とする。すると、$(x - y)(x - y + 1)(x - y - 1) = 0$ かつ $(y - x)(y - x + 1)(y - x - 1) = 0$.

$y-x = -(x-y)$ なので、$-(x - y)(-(x - y) + 1)(-(x - y) - 1) = 0$

$-(x - y)(-x + y + 1)(-x + y - 1) = 0$

$-(x - y)(-1)(x-y-1)(x-y+1) = 0$

$(x - y)(x-y-1)(x-y+1)=0$

$(x - y)(x-y+1)(x-y-1) = 0$ より、$x - y = 0$ または $x - y = 1$ または $x - y = -1$ である。

$-(x - y)(x-y+1)(x-y-1)=0$ より、$x - y = 0$ または $x - y = 1$ または $x - y = -1$ である。

ここで、$x=y$が常に成り立つわけではない。よって、反対称律を満たさない。例：$x=1, y=2$ は上記の条件を満たす。

3. 最終的な答え

* $\rho_1$: 対称律、推移律

* $\rho_2$: 反射律、推移律、反対称律

* $\rho_3$: 対称律

* $\rho_4$: 反射律