$X_1, X_2, ..., X_n$ はそれぞれ独立に正規分布 $N(\mu, \sigma^2)$ に従う確率変数である。これらの確率変数の標本平均 $Y = \frac{X_1 + X_2 + ... + X_n}{n}$ を考える。このとき、$Y$ が従う分布、その期待値 $E[Y]$、分散 $V[Y]$ を求め、$n$ が大きくなるにつれてどのような性質を持つかを記述する問題である。

確率論・統計学正規分布標本平均期待値分散中心極限定理
2025/7/15

1. 問題の内容

X1,X2,...,XnX_1, X_2, ..., X_n はそれぞれ独立に正規分布 N(μ,σ2)N(\mu, \sigma^2) に従う確率変数である。これらの確率変数の標本平均 Y=X1+X2+...+XnnY = \frac{X_1 + X_2 + ... + X_n}{n} を考える。このとき、YY が従う分布、その期待値 E[Y]E[Y]、分散 V[Y]V[Y] を求め、nn が大きくなるにつれてどのような性質を持つかを記述する問題である。

2. 解き方の手順

(1) XiX_i が正規分布 N(μ,σ2)N(\mu, \sigma^2) に従うとき、それらの線形結合も正規分布に従う。したがって、Y=X1+X2+...+XnnY = \frac{X_1 + X_2 + ... + X_n}{n} も正規分布に従う。
(2) E[Y]E[Y] を求める。期待値の線形性より、
E[Y]=E[X1+X2+...+Xnn]=1n(E[X1]+E[X2]+...+E[Xn])E[Y] = E[\frac{X_1 + X_2 + ... + X_n}{n}] = \frac{1}{n} (E[X_1] + E[X_2] + ... + E[X_n])
XiX_i は期待値 μ\mu を持つため、
E[Y]=1n(nμ)=μE[Y] = \frac{1}{n} (n\mu) = \mu
(3) V[Y]V[Y] を求める。分散の性質より、V[aX]=a2V[X]V[aX] = a^2 V[X] が成り立つ。また、XiX_i は独立であるため、V[X1+X2+...+Xn]=V[X1]+V[X2]+...+V[Xn]V[X_1 + X_2 + ... + X_n] = V[X_1] + V[X_2] + ... + V[X_n] が成り立つ。よって、
V[Y]=V[X1+X2+...+Xnn]=1n2(V[X1]+V[X2]+...+V[Xn])V[Y] = V[\frac{X_1 + X_2 + ... + X_n}{n}] = \frac{1}{n^2} (V[X_1] + V[X_2] + ... + V[X_n])
XiX_i は分散 σ2\sigma^2 を持つため、
V[Y]=1n2(nσ2)=σ2nV[Y] = \frac{1}{n^2} (n\sigma^2) = \frac{\sigma^2}{n}
(4) nn が大きくなるにつれて、分散 V[Y]=σ2nV[Y] = \frac{\sigma^2}{n} は 0 に近づく。これは、標本平均 YY が母平均 μ\mu に近づくことを意味する。

3. 最終的な答え

(1) YY は正規分布に従う。
(2) E[Y]=μE[Y] = \mu
(3) V[Y]=σ2nV[Y] = \frac{\sigma^2}{n}
(4) nn が大きくなるにつれて、YY の分散は 0 に近づき、YYμ\mu に集中する。

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