空間内の幾何ベクトル $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が、それぞれ数ベクトル $\vec{a} = \begin{pmatrix} 0 \\ a_2 \\ 0 \end{pmatrix}$, $\vec{b} = \begin{pmatrix} b_1 \\ 0 \\ b_3 \end{pmatrix}$, $\vec{c} = \begin{pmatrix} c_1 \\ 0 \\ c_3 \end{pmatrix}$ で表される。直交する $x_1$軸、$x_2$軸、$x_3$軸の各方向の基本ベクトルを $\vec{e_1}$, $\vec{e_2}$, $\vec{e_3}$ とする。 (1) $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ を基本ベクトルで表せ。 (2) 外積の分配法則を使って、$\vec{a} \wedge \vec{b} \wedge \vec{c}$ を計算して、$\vec{e_1} \wedge \vec{e_2} \wedge \vec{e_3}$ に対する倍率を求めよ。 (3) (2)の結果に注意して、$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ を3隣辺とする平行六面体の体積の大きさは、底面積 $\times$ 高さであることを説明せよ。

## 数学の問題

1. 問題の内容

空間内の幾何ベクトル $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が、それぞれ数ベクトル

$\vec{a} = \begin{pmatrix} 0 \\ a_2 \\ 0 \end{pmatrix}$, $\vec{b} = \begin{pmatrix} b_1 \\ 0 \\ b_3 \end{pmatrix}$, $\vec{c} = \begin{pmatrix} c_1 \\ 0 \\ c_3 \end{pmatrix}$

で表される。直交する $x_1$軸、$x_2$軸、$x_3$軸の各方向の基本ベクトルを $\vec{e_1}$, $\vec{e_2}$, $\vec{e_3}$ とする。

(1) $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ を基本ベクトルで表せ。

(2) 外積の分配法則を使って、$\vec{a} \wedge \vec{b} \wedge \vec{c}$ を計算して、$\vec{e_1} \wedge \vec{e_2} \wedge \vec{e_3}$ に対する倍率を求めよ。

(3) (2)の結果に注意して、$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ を3隣辺とする平行六面体の体積の大きさは、底面積 $\times$ 高さであることを説明せよ。

2. 解き方の手順

(1) 基本ベクトルによる表現：

ベクトル $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ を基本ベクトルを用いて表す。

$\vec{a} = 0\vec{e_1} + a_2\vec{e_2} + 0\vec{e_3} = a_2\vec{e_2}$

$\vec{b} = b_1\vec{e_1} + 0\vec{e_2} + b_3\vec{e_3} = b_1\vec{e_1} + b_3\vec{e_3}$

$\vec{c} = c_1\vec{e_1} + 0\vec{e_2} + c_3\vec{e_3} = c_1\vec{e_1} + c_3\vec{e_3}$

(2) 外積の計算：

$\vec{a} \wedge \vec{b} \wedge \vec{c}$ を計算する。ただし、3つのベクトルの外積はスカラー三重積と呼ばれる。スカラー三重積は、

$\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c})$

と等価である。よって、まずは $\vec{b} \times \vec{c}$ を計算する。

$\vec{b} \times \vec{c} = \begin{pmatrix} b_1 \\ 0 \\ b_3 \end{pmatrix} \times \begin{pmatrix} c_1 \\ 0 \\ c_3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0\cdot c_3 - b_3\cdot 0 \\ b_3\cdot c_1 - b_1\cdot c_3 \\ b_1\cdot 0 - 0\cdot c_1\end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ b_3c_1 - b_1c_3 \\ 0\end{pmatrix} = (b_3c_1 - b_1c_3)\vec{e_2}$

したがって、

$\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c}) = \begin{pmatrix} 0 \\ a_2 \\ 0\end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} 0 \\ b_3c_1 - b_1c_3 \\ 0\end{pmatrix} = 0\cdot0 + a_2(b_3c_1 - b_1c_3) + 0\cdot0 = a_2(b_3c_1 - b_1c_3)$

$\vec{e_1} \wedge \vec{e_2} \wedge \vec{e_3}$ の絶対値は1であるため、求める倍率は $a_2(b_3c_1 - b_1c_3)$ となる。

(3) 平行六面体の体積の説明：

$\vec{b}$ と $\vec{c}$ が張る平行四辺形の面積は $|\vec{b} \times \vec{c}|$ であり、$\vec{a}$ の方向の高さは $|\vec{a} \cdot \vec{n}| = |\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c})|/|\vec{b} \times \vec{c}|$ で求められます。ここで、$\vec{n}$ は底面 $(\vec{b}, \vec{c})$ に垂直な単位ベクトルです。体積は底面積 $\times$ 高さで求められるので、

体積 $= |\vec{b} \times \vec{c}| \cdot |\vec{a} \cdot \vec{n}| = |\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c})|$

となります。

今回の場合は、

$\vec{b} \times \vec{c} = (b_3c_1 - b_1c_3) \vec{e_2}$

ですから、底面積は $|b_3c_1 - b_1c_3|$ であり、高さはベクトル $\vec{a}$ の $\vec{e_2}$ 方向の成分 $a_2$ の絶対値である $|a_2|$ です。したがって、平行六面体の体積は $|a_2(b_3c_1 - b_1c_3)|$ となり、これはスカラー三重積 $|\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c})|$ の絶対値と一致します。

3. 最終的な答え

(1)

$\vec{a} = a_2\vec{e_2}$

$\vec{b} = b_1\vec{e_1} + b_3\vec{e_3}$

$\vec{c} = c_1\vec{e_1} + c_3\vec{e_3}$

(2)

$a_2(b_3c_1 - b_1c_3)$

(3)

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ を3隣辺とする平行六面体の体積は、スカラー三重積 $|\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c})|$ の絶対値で与えられ、これは底面積$\times$高さで計算できます。