質量 $m$ の質点が重力のもとで自由落下する。空気抵抗は速度の二乗に比例し、比例定数 $k > 0$ である。初速度はゼロとする。 (1) 速度 $v$ を用いて運動方程式を立てる。 (2) $g = 32$, $m = 2$, $k = 1$ として、(1) の微分方程式の特解を求め、横軸を時刻 $t$, 縦軸を速度 $v$ としてグラフを描く。

応用数学微分方程式力学運動方程式自由落下空気抵抗tanh関数
2025/7/16

1. 問題の内容

質量 mm の質点が重力のもとで自由落下する。空気抵抗は速度の二乗に比例し、比例定数 k>0k > 0 である。初速度はゼロとする。
(1) 速度 vv を用いて運動方程式を立てる。
(2) g=32g = 32, m=2m = 2, k=1k = 1 として、(1) の微分方程式の特解を求め、横軸を時刻 tt, 縦軸を速度 vv としてグラフを描く。

2. 解き方の手順

(1) 運動方程式を立てる。重力による力は mgmg であり、空気抵抗は kv2-kv^2 である。したがって、運動方程式は
mdvdt=mgkv2m \frac{dv}{dt} = mg - kv^2
となる。
(2) 与えられた値を代入すると、運動方程式は
2dvdt=232v22 \frac{dv}{dt} = 2 \cdot 32 - v^2
dvdt=3212v2\frac{dv}{dt} = 32 - \frac{1}{2}v^2
dvdt=64v22\frac{dv}{dt} = \frac{64 - v^2}{2}
となる。これを解くために、変数分離を行う。
dv64v2=12dt\frac{dv}{64 - v^2} = \frac{1}{2} dt
両辺を積分する。
dv64v2=12dt\int \frac{dv}{64 - v^2} = \int \frac{1}{2} dt
左辺の積分は、部分分数分解を用いて
164v2=1(8v)(8+v)=A8v+B8+v\frac{1}{64 - v^2} = \frac{1}{(8 - v)(8 + v)} = \frac{A}{8 - v} + \frac{B}{8 + v}
とおくと、
1=A(8+v)+B(8v)1 = A(8 + v) + B(8 - v)
v=8v = 8 のとき 1=16A1 = 16A, よって A=116A = \frac{1}{16}
v=8v = -8 のとき 1=16B1 = 16B, よって B=116B = \frac{1}{16}
したがって、
dv64v2=116(18v+18+v)dv=116(ln8v+ln8+v)=116ln8+v8v\int \frac{dv}{64 - v^2} = \frac{1}{16} \int \left( \frac{1}{8 - v} + \frac{1}{8 + v} \right) dv = \frac{1}{16} ( -\ln |8 - v| + \ln |8 + v|) = \frac{1}{16} \ln \left| \frac{8 + v}{8 - v} \right|
右辺の積分は
12dt=12t+C\int \frac{1}{2} dt = \frac{1}{2} t + C
よって
116ln8+v8v=12t+C\frac{1}{16} \ln \left| \frac{8 + v}{8 - v} \right| = \frac{1}{2} t + C
ln8+v8v=8t+16C\ln \left| \frac{8 + v}{8 - v} \right| = 8t + 16C
8+v8v=e8t+16C=e8te16C=Ae8t\frac{8 + v}{8 - v} = e^{8t + 16C} = e^{8t} e^{16C} = Ae^{8t}
ここで、A=e16CA = e^{16C} である。
8+v=Ae8t(8v)8 + v = Ae^{8t} (8 - v)
8+v=8Ae8tvAe8t8 + v = 8Ae^{8t} - vAe^{8t}
v(1+Ae8t)=8Ae8t8v(1 + Ae^{8t}) = 8Ae^{8t} - 8
v=8(Ae8t1)Ae8t+1v = \frac{8(Ae^{8t} - 1)}{Ae^{8t} + 1}
初期条件 v(0)=0v(0) = 0 を用いると
0=8(A1)A+10 = \frac{8(A - 1)}{A + 1}
A=1A = 1
したがって、
v(t)=8(e8t1)e8t+1v(t) = \frac{8(e^{8t} - 1)}{e^{8t} + 1}
v(t)=8e4te4te4t+e4t=8tanh(4t)v(t) = 8 \frac{e^{4t} - e^{-4t}}{e^{4t} + e^{-4t}} = 8 \tanh(4t)
グラフは t=0t=0v=0v=0 から始まり、時間経過とともに vv は増加し、v=8v=8 に漸近する。

3. 最終的な答え

(1) mdvdt=mgkv2m \frac{dv}{dt} = mg - kv^2
(2) v(t)=8tanh(4t)v(t) = 8 \tanh(4t)

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