質量 $M$、半径 $R$ の円柱が、傾斜角 $\theta$ の粗い斜面を転がり降りる。 1. 転がり条件を満たすときの加速度 $a$ を求める。

1. 問題の内容

質量 $M$、半径 $R$ の円柱が、傾斜角 $\theta$ の粗い斜面を転がり降りる。

1. 転がり条件を満たすときの加速度 $a$ を求める。

2. 円柱が滑らずに斜面を距離 $L$ 転がったときの速度を求める。

3. エネルギー保存則を使って、運動エネルギー（並進と回転）を求め、加速度と一致することを確認する。

2. 解き方の手順

1. 加速度 $a$ の導出

まず、円柱に働く力を考える。重力 $Mg$、垂直抗力 $N$、摩擦力 $f$ が働く。斜面に沿った方向を $x$ 軸、斜面に垂直な方向を $y$ 軸とすると、運動方程式は以下のようになる。

$x$ 軸方向: $Ma = Mg\sin\theta - f$

$y$ 軸方向: $N = Mg\cos\theta$

また、円柱の重心周りのトルクの式は以下のようになる。

$I\alpha = fR$

ここで、$I$ は円柱の慣性モーメントで、$I = \frac{1}{2}MR^2$ であり、$\alpha$ は角加速度である。転がり条件 $a = R\alpha$ を用いると、

$\frac{1}{2}MR^2 \cdot \frac{a}{R} = fR$

$\frac{1}{2}Ma = f$

これを $Ma = Mg\sin\theta - f$ に代入すると、

$Ma = Mg\sin\theta - \frac{1}{2}Ma$

$\frac{3}{2}Ma = Mg\sin\theta$

$a = \frac{2}{3}g\sin\theta$

2. 距離 $L$ 転がったときの速度 $v$ の導出

等加速度運動の公式 $v^2 - v_0^2 = 2aL$ を用いる。初期速度 $v_0 = 0$ なので、

$v^2 = 2aL$

$v = \sqrt{2aL}$

加速度 $a = \frac{2}{3}g\sin\theta$ を代入すると、

$v = \sqrt{2 \cdot \frac{2}{3}g\sin\theta \cdot L} = \sqrt{\frac{4}{3}gL\sin\theta}$

3. エネルギー保存則の確認

位置エネルギーの減少は $MgL\sin\theta$ である。

運動エネルギー（並進）は $\frac{1}{2}Mv^2 = \frac{1}{2}M \cdot \frac{4}{3}gL\sin\theta = \frac{2}{3}MgL\sin\theta$ である。

運動エネルギー（回転）は $\frac{1}{2}I\omega^2 = \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2}MR^2 \cdot \frac{v^2}{R^2} = \frac{1}{4}Mv^2 = \frac{1}{4}M \cdot \frac{4}{3}gL\sin\theta = \frac{1}{3}MgL\sin\theta$ である。

運動エネルギーの合計は $\frac{2}{3}MgL\sin\theta + \frac{1}{3}MgL\sin\theta = MgL\sin\theta$ であり、位置エネルギーの減少と一致する。

加速度と一致するかどうかは、位置エネルギーの減少＝運動エネルギーの増加を用いて考える。

$MgL\sin\theta = \frac{1}{2}Mv^2 + \frac{1}{2}I\omega^2$

$MgL\sin\theta = \frac{1}{2}Mv^2 + \frac{1}{2}(\frac{1}{2}MR^2)(\frac{v}{R})^2$

$MgL\sin\theta = \frac{1}{2}Mv^2 + \frac{1}{4}Mv^2$

$MgL\sin\theta = \frac{3}{4}Mv^2$

$v^2 = \frac{4}{3}gL\sin\theta$

両辺を時間で微分すると、

$2v\frac{dv}{dt} = \frac{4}{3}g\sin\theta \frac{dL}{dt}$

$2va = \frac{4}{3}g\sin\theta v$

$a = \frac{2}{3}g\sin\theta$

したがって、加速度は運動方程式から求めたものと一致する。

3. 最終的な答え

1. 加速度: $a = \frac{2}{3}g\sin\theta$

2. 速度: $v = \sqrt{\frac{4}{3}gL\sin\theta}$

3. エネルギー保存則は成立し、加速度は運動方程式から求めたものと一致する。