## 解答

応用数学力学ポテンシャルエネルギー運動方程式仕事力学的エネルギー運動量保存
2025/7/17
## 解答
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1. 問題の内容

質量1kgの物体が、xyxy平面上を運動しており、そのポテンシャルエネルギーがU=x+12y2U = x + \frac{1}{2}y^2 [J] で与えられています。このとき、以下の問いに答えます。
(1) 点(x,y)(x, y)における質点に働く力F\vec{F}と、原点(0, 0)に関する力F\vec{F}のモーメントN\vec{N}を求めます。
(2) 力F\vec{F}が点(1, 1)から(2, 2)を結ぶ直線上を移動したときの仕事WWを求めます。
(3) 質点が満たす運動方程式を求めます。
(4) r=12t2i+cos(t)j\vec{r} = -\frac{1}{2}t^2 \vec{i} + \cos(t) \vec{j} が運動方程式の解の一つであることを示します。
(5) 質点の運動量は保存するかどうかを、理由とともに答えます。
(6) 質点の力学的エネルギーは保存するかどうかを、理由とともに答えます。
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2. 解き方の手順

**(1) 力とモーメントの計算**
ポテンシャルエネルギーUUから力F\vec{F}を求めます。力はポテンシャルの勾配の負の値で与えられます。
F=U=(Uxi+Uyj)\vec{F} = -\nabla U = -\left( \frac{\partial U}{\partial x} \vec{i} + \frac{\partial U}{\partial y} \vec{j} \right)
U=x+12y2U = x + \frac{1}{2}y^2を偏微分すると、
Ux=1\frac{\partial U}{\partial x} = 1
Uy=y\frac{\partial U}{\partial y} = y
したがって、力F\vec{F}
F=iyj\vec{F} = -\vec{i} - y \vec{j}
次に、原点(0, 0)に関する力F\vec{F}のモーメントN\vec{N}を計算します。モーメントは位置ベクトルr\vec{r}と力F\vec{F}の外積で与えられます。位置ベクトルr\vec{r}r=xi+yj\vec{r} = x\vec{i} + y\vec{j}です。
N=r×F=(xi+yj)×(iyj)\vec{N} = \vec{r} \times \vec{F} = (x\vec{i} + y\vec{j}) \times (-\vec{i} - y\vec{j})
i×i=j×j=0\vec{i} \times \vec{i} = \vec{j} \times \vec{j} = 0i×j=k\vec{i} \times \vec{j} = \vec{k}j×i=k\vec{j} \times \vec{i} = -\vec{k} を使うと、
N=xyk+(y)x(k)=xyk+xyk=0\vec{N} = -xy \vec{k} + (-y)x(-\vec{k}) = -xy\vec{k} + xy\vec{k} = 0
**(2) 仕事の計算**
F\vec{F}が点(1, 1)から(2, 2)を結ぶ直線上を移動したときの仕事WWを計算します。直線はy=xy = xで表されます。微小変位ベクトルdrd\vec{r}dr=dxi+dyjd\vec{r} = dx\vec{i} + dy\vec{j}で、y=xy = xなので、dy=dxdy = dxとなります。したがって、dr=dxi+dxjd\vec{r} = dx\vec{i} + dx\vec{j}となります。
仕事は力と変位の内積の積分で与えられます。
W=(1,1)(2,2)Fdr=(1,1)(2,2)(iyj)(dxi+dyj)=12(1y)dxW = \int_{(1,1)}^{(2,2)} \vec{F} \cdot d\vec{r} = \int_{(1,1)}^{(2,2)} (-\vec{i} - y\vec{j}) \cdot (dx\vec{i} + dy\vec{j}) = \int_{1}^{2} (-1 - y) dx
y=xy = xを代入すると、
W=12(1x)dx=[x12x2]12=(22)(112)=4+32=52W = \int_{1}^{2} (-1 - x) dx = \left[ -x - \frac{1}{2}x^2 \right]_1^2 = (-2 - 2) - (-1 - \frac{1}{2}) = -4 + \frac{3}{2} = -\frac{5}{2}
**(3) 運動方程式**
質量mmの質点の運動方程式は、ニュートンの第二法則F=ma\vec{F} = m\vec{a}で与えられます。ここで、質量m=1m = 1 kg、加速度a=r¨\vec{a} = \ddot{\vec{r}}です。力F\vec{F}iyj-\vec{i} - y\vec{j}なので、運動方程式は
r¨=iyj\ddot{\vec{r}} = -\vec{i} - y\vec{j}
これは成分ごとに書くと、
x¨=1\ddot{x} = -1
y¨=y\ddot{y} = -y
**(4) 解の検証**
r=12t2i+cos(t)j\vec{r} = -\frac{1}{2}t^2 \vec{i} + \cos(t) \vec{j} が運動方程式の解であることを示します。
まず、r\vec{r}を時間で2回微分します。
r˙=tisin(t)j\dot{\vec{r}} = -t \vec{i} - \sin(t) \vec{j}
r¨=icos(t)j\ddot{\vec{r}} = -\vec{i} - \cos(t) \vec{j}
運動方程式は x¨=1\ddot{x} = -1y¨=y\ddot{y} = -y でした。
x=12t2x = -\frac{1}{2}t^2y=cos(t)y = \cos(t) なので、x¨=1\ddot{x} = -1y¨=cos(t)=y\ddot{y} = -\cos(t) = -y となり、r=12t2i+cos(t)j\vec{r} = -\frac{1}{2}t^2 \vec{i} + \cos(t) \vec{j} は運動方程式の解の一つであることが示されました。
**(5) 運動量保存則**
質点の運動量が保存するかどうかを調べます。運動量が保存するためには、系に働く外力の合計がゼロである必要があります。今回の力はF=iyj\vec{F} = -\vec{i} - y\vec{j}であり、これは一般にゼロではありません。したがって、運動量は保存しません。
**(6) 力学的エネルギー保存則**
力学的エネルギーが保存するかどうかを調べます。力学的エネルギーが保存するためには、ポテンシャルエネルギーUUが時間的に明示的に変化しない必要があります。今回のポテンシャルエネルギーはU=x+12y2U = x + \frac{1}{2}y^2であり、時間的に明示的な項を含みません。したがって、力学的エネルギーは保存します。
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3. 最終的な答え

(1) 力: F=iyj\vec{F} = -\vec{i} - y\vec{j}
モーメント: N=0\vec{N} = \vec{0}
(2) 仕事: W=52W = -\frac{5}{2} [J]
(3) 運動方程式:
x¨=1\ddot{x} = -1
y¨=y\ddot{y} = -y
(4) r=12t2i+cos(t)j\vec{r} = -\frac{1}{2}t^2 \vec{i} + \cos(t) \vec{j}は運動方程式の解の一つである。
(5) 運動量は保存しない。理由は、系に働く外力の合計がゼロではないため。
(6) 力学的エネルギーは保存する。理由は、ポテンシャルエネルギーが時間的に明示的に変化しないため。

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