慣性系 $S=(x, y, z)$ が $z$ 軸の周りを角速度 $\omega$ で回転する座標系 $S'=(x', y', z')$ における質量 $m$ の質点の運動方程式が与えられている。 $\begin{cases} m\ddot{x'} = F'_x + m\omega^2 x' + 2m\omega \dot{y'} \\ m\ddot{y'} = F'_y + m\omega^2 y' - 2m\omega \dot{x'} \\ m\ddot{z'} = F'_z \end{cases}$ (1) この運動方程式に基づいて、遠心力の大きさとその向きを求める。 (2) この運動方程式に基づいて、コリオリ力が $S'$ 系の速度に垂直に働くことを示し、コリオリ力の向きを説明する。

1. 問題の内容

慣性系 $S=(x, y, z)$ が $z$ 軸の周りを角速度 $\omega$ で回転する座標系 $S'=(x', y', z')$ における質量 $m$ の質点の運動方程式が与えられている。

$\begin{cases}

m\ddot{x'} = F'_x + m\omega^2 x' + 2m\omega \dot{y'} \\

m\ddot{y'} = F'_y + m\omega^2 y' - 2m\omega \dot{x'} \\

m\ddot{z'} = F'_z

\end{cases}$

(1) この運動方程式に基づいて、遠心力の大きさとその向きを求める。

(2) この運動方程式に基づいて、コリオリ力が $S'$ 系の速度に垂直に働くことを示し、コリオリ力の向きを説明する。

2. 解き方の手順

(1) 遠心力について

運動方程式において、遠心力は $m\omega^2 x'$ と $m\omega^2 y'$ の項で表される。これは、それぞれ $x'$ 軸方向と $y'$ 軸方向の力である。したがって、遠心力のベクトルは $\vec{F}_{遠心} = m\omega^2 (x' \hat{i} + y' \hat{j})$ と表される。遠心力の大きさは、

$|\vec{F}_{遠心}| = m\omega^2 \sqrt{x'^2 + y'^2}$

となる。この遠心力の向きは、$x'y'$ 平面上において、原点から質点の位置$(x', y')$を指す方向である。

(2) コリオリ力について

運動方程式において、コリオリ力は $2m\omega \dot{y'}$ と $-2m\omega \dot{x'}$ の項で表される。これは、それぞれ $x'$ 軸方向と $y'$ 軸方向の力である。したがって、コリオリ力のベクトルは $\vec{F}_{コリオリ} = -2m\omega (\dot{y'} \hat{i} - \dot{x'} \hat{j})$ と表される。

質点の速度ベクトルは $\vec{v'} = \dot{x'} \hat{i} + \dot{y'} \hat{j}$ である。コリオリ力と速度の内積を計算すると、

$\vec{F}_{コリオリ} \cdot \vec{v'} = -2m\omega (\dot{y'} \hat{i} - \dot{x'} \hat{j}) \cdot (\dot{x'} \hat{i} + \dot{y'} \hat{j}) = -2m\omega (\dot{y'}\dot{x'} - \dot{x'}\dot{y'}) = 0$

となる。

したがって、コリオリ力は $S'$ 系の速度 $\vec{v'}$ に垂直に働くことが示された。

コリオリ力の向きは、速度ベクトルを $z$ 軸の正の方向に $\pi/2$ 回転させた方向になる。つまり、速度に対して右向きである。

3. 最終的な答え

(1) 遠心力の大きさ: $m\omega^2 \sqrt{x'^2 + y'^2}$。 向き: $x'y'$ 平面上において、原点から質点の位置 $(x', y')$ を指す方向。

(2) コリオリ力は $S'$ 系の速度に垂直に働く。コリオリ力の向き: 速度に対して右向き。