質量3kgの質点の位置ベクトルが$r = \sin(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2t j$で与えられている。この質点について、時刻tにおける速度$v$、加速度$a$、運動量$p$、運動エネルギー$K$、原点に関する角運動量$L$、および質点に作用する合力$F$を求めよ。さらに、時刻$t=1$における速度、加速度、運動量、運動エネルギー、角運動量、合力を求めよ。最後に、時刻$t=1$から$t=2$の間に、この質点に作用している合力が質点に与えた力積$I$と仕事$W$を求めよ。

応用数学力学運動エネルギー運動量積分微分
2025/7/17
## 力学入門 試験対策問題
### 問1

1. **問題の内容**

質量3kgの質点の位置ベクトルがr=sin(π6t2)i2tjr = \sin(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2t jで与えられている。この質点について、時刻tにおける速度vv、加速度aa、運動量pp、運動エネルギーKK、原点に関する角運動量LL、および質点に作用する合力FFを求めよ。さらに、時刻t=1t=1における速度、加速度、運動量、運動エネルギー、角運動量、合力を求めよ。最後に、時刻t=1t=1からt=2t=2の間に、この質点に作用している合力が質点に与えた力積IIと仕事WWを求めよ。

2. **解き方の手順**

(1) 時刻tにおける物理量
* 速度vv: 位置ベクトルrrを時間tで微分する。
v=drdt=ddt(sin(π6t2)i2tj)=π3tcos(π6t2)i2jv = \frac{dr}{dt} = \frac{d}{dt}(\sin(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2t j) = \frac{\pi}{3}t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2 j
* 加速度aa: 速度vvを時間tで微分する。
a=dvdt=ddt(π3tcos(π6t2)i2j)=[π3cos(π6t2)π29t2sin(π6t2)]ia = \frac{dv}{dt} = \frac{d}{dt}(\frac{\pi}{3}t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2 j) = [\frac{\pi}{3}\cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{9}t^2\sin(\frac{\pi}{6}t^2)] i
* 運動量pp: 質量mに速度vをかける。ただしm=3m = 3 kg
p=mv=3(π3tcos(π6t2)i2j)=πtcos(π6t2)i6jp = m v = 3(\frac{\pi}{3}t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2 j) = \pi t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 6 j
* 運動エネルギーKK: 12mv2\frac{1}{2}mv^2で計算する。
K=12mv2=12(3)[(π3tcos(π6t2))2+(2)2]=32[π29t2cos2(π6t2)+4]K = \frac{1}{2}mv^2 = \frac{1}{2}(3)[(\frac{\pi}{3}t\cos(\frac{\pi}{6}t^2))^2 + (-2)^2] = \frac{3}{2}[\frac{\pi^2}{9}t^2\cos^2(\frac{\pi}{6}t^2) + 4]
* 角運動量LL: r×pr \times pで計算する。
L=r×p=(sin(π6t2)i2tj)×(πtcos(π6t2)i6j)=6sin(π6t2)k(2tπtcos(π6t2))k=(2πt2cos(π6t2)6sin(π6t2))kL = r \times p = (\sin(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2t j) \times (\pi t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 6 j) = -6\sin(\frac{\pi}{6}t^2) k - (-2t\pi t \cos(\frac{\pi}{6}t^2)) k = (2\pi t^2 \cos(\frac{\pi}{6}t^2) - 6 \sin(\frac{\pi}{6}t^2)) k
* 合力FF: 質量mに加速度aをかける。
F=ma=3[π3cos(π6t2)π29t2sin(π6t2)]i=[πcos(π6t2)π23t2sin(π6t2)]iF = m a = 3[\frac{\pi}{3}\cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{9}t^2\sin(\frac{\pi}{6}t^2)] i = [\pi\cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{3}t^2\sin(\frac{\pi}{6}t^2)] i
(2) 時刻t=1における物理量
(1)で求めた式にt=1t=1を代入する。
* 速度v(1)=π3cos(π6)i2j=π332i2j=3π6i2jv(1) = \frac{\pi}{3}\cos(\frac{\pi}{6}) i - 2 j = \frac{\pi}{3}\frac{\sqrt{3}}{2} i - 2 j = \frac{\sqrt{3}\pi}{6} i - 2 j
* 加速度a(1)=[π3cos(π6)π29sin(π6)]i=[π332π2912]i=(3π6π218)ia(1) = [\frac{\pi}{3}\cos(\frac{\pi}{6}) - \frac{\pi^2}{9}\sin(\frac{\pi}{6})] i = [\frac{\pi}{3}\frac{\sqrt{3}}{2} - \frac{\pi^2}{9}\frac{1}{2}] i = (\frac{\sqrt{3}\pi}{6} - \frac{\pi^2}{18}) i
* 運動量p(1)=πcos(π6)i6j=3π2i6jp(1) = \pi \cos(\frac{\pi}{6}) i - 6 j = \frac{\sqrt{3}\pi}{2} i - 6 j
* 運動エネルギーK(1)=32[π29cos2(π6)+4]=32[π2934+4]=π28+6K(1) = \frac{3}{2}[\frac{\pi^2}{9}\cos^2(\frac{\pi}{6}) + 4] = \frac{3}{2}[\frac{\pi^2}{9}\frac{3}{4} + 4] = \frac{\pi^2}{8} + 6
* 角運動量L(1)=(2πcos(π6)6sin(π6))k=(2π32612)k=(3π3)kL(1) = (2\pi \cos(\frac{\pi}{6}) - 6 \sin(\frac{\pi}{6})) k = (2\pi \frac{\sqrt{3}}{2} - 6 \frac{1}{2}) k = (\sqrt{3}\pi - 3) k
* 合力F(1)=[πcos(π6)π23sin(π6)]i=[π32π2312]i=(3π2π26)iF(1) = [\pi\cos(\frac{\pi}{6}) - \frac{\pi^2}{3}\sin(\frac{\pi}{6})] i = [\pi \frac{\sqrt{3}}{2} - \frac{\pi^2}{3} \frac{1}{2}] i = (\frac{\sqrt{3}\pi}{2} - \frac{\pi^2}{6}) i
(3) 時刻t=1t=1からt=2t=2の間の力積IIと仕事WW
* 力積I=12Fdt=12(πcos(π6t2)π23t2sin(π6t2))idtI = \int_{1}^{2} F dt = \int_{1}^{2} (\pi \cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{3}t^2 \sin(\frac{\pi}{6}t^2)) i dt
πcos(π6t2)dt\int \pi \cos(\frac{\pi}{6}t^2) dtπ23t2sin(π6t2)dt\int -\frac{\pi^2}{3}t^2 \sin(\frac{\pi}{6}t^2) dtは簡単には積分できない。
力積の定義から運動量の変化量に等しい。
I=p(2)p(1)=(2πcos(2π3)3π2)i(66)j=(π3π2)iI = p(2) - p(1) = (2\pi \cos(\frac{2\pi}{3}) - \frac{\sqrt{3}\pi}{2}) i - (6 - 6) j = (-\pi - \frac{\sqrt{3}\pi}{2}) i
* 仕事W=12Fvdt=12[πcos(π6t2)π23t2sin(π6t2)]i[π3tcos(π6t2)i2j]dt=12[πcos(π6t2)π23t2sin(π6t2)]π3tcos(π6t2)dtW = \int_{1}^{2} F \cdot v dt = \int_{1}^{2} [\pi\cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{3}t^2\sin(\frac{\pi}{6}t^2)] i \cdot [\frac{\pi}{3}t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2 j] dt = \int_{1}^{2} [\pi\cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{3}t^2\sin(\frac{\pi}{6}t^2)] \frac{\pi}{3}t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) dt
これも簡単には積分できない。運動エネルギーの変化量に等しい。
W=K(2)K(1)=[π28(22)+6][π28+6]=4π28π28=3π28W = K(2) - K(1) = [\frac{\pi^2}{8}(2^2) + 6] - [\frac{\pi^2}{8} + 6] = \frac{4\pi^2}{8} - \frac{\pi^2}{8} = \frac{3\pi^2}{8}

3. **最終的な答え**

(1)
* 速度: v=π3tcos(π6t2)i2jv = \frac{\pi}{3}t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 2 j
* 加速度: a=[π3cos(π6t2)π29t2sin(π6t2)]ia = [\frac{\pi}{3}\cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{9}t^2\sin(\frac{\pi}{6}t^2)] i
* 運動量: p=πtcos(π6t2)i6jp = \pi t\cos(\frac{\pi}{6}t^2) i - 6 j
* 運動エネルギー: K=32[π29t2cos2(π6t2)+4]K = \frac{3}{2}[\frac{\pi^2}{9}t^2\cos^2(\frac{\pi}{6}t^2) + 4]
* 角運動量: L=(2πt2cos(π6t2)6sin(π6t2))kL = (2\pi t^2 \cos(\frac{\pi}{6}t^2) - 6 \sin(\frac{\pi}{6}t^2)) k
* 合力: F=[πcos(π6t2)π23t2sin(π6t2)]iF = [\pi\cos(\frac{\pi}{6}t^2) - \frac{\pi^2}{3}t^2\sin(\frac{\pi}{6}t^2)] i
(2)
* 速度: v(1)=3π6i2jv(1) = \frac{\sqrt{3}\pi}{6} i - 2 j
* 加速度: a(1)=(3π6π218)ia(1) = (\frac{\sqrt{3}\pi}{6} - \frac{\pi^2}{18}) i
* 運動量: p(1)=3π2i6jp(1) = \frac{\sqrt{3}\pi}{2} i - 6 j
* 運動エネルギー: K(1)=π28+6K(1) = \frac{\pi^2}{8} + 6
* 角運動量: L(1)=(3π3)kL(1) = (\sqrt{3}\pi - 3) k
* 合力: F(1)=(3π2π26)iF(1) = (\frac{\sqrt{3}\pi}{2} - \frac{\pi^2}{6}) i
(3)
* 力積: I=(π3π2)iI = (-\pi - \frac{\sqrt{3}\pi}{2}) i
* 仕事: W=3π28W = \frac{3\pi^2}{8}
### 問3

1. **問題の内容**

ひもで吊るされた木製のブロックに弾丸を水平方向に打ち込む。弾丸とブロックは一体となって高さhhまで振れる。弾丸の質量mm、ブロックの質量MM、衝突後の速度VV、重力加速度ggとして、以下の問いに答えよ。
(1) 力学的エネルギーと運動量が保存する過程を答えよ。
(2) 弾丸の速度vvm,M,g,hm, M, g, hで表せ。
(3) 学生の解答の誤りを指摘する。

2. **解き方の手順**

(1) 保存則
* 力学的エネルギー保存: 弾丸とブロックが一体となって振れている過程。
* 運動量保存: 弾丸がブロックに衝突する瞬間。
(2) 弾丸の速度
運動量保存則より、
mv=(m+M)Vmv = (m+M)V
よって V=mvm+MV = \frac{mv}{m+M}
一体となった弾丸とブロックが高さhhまで振れる時、力学的エネルギー保存則より、
12(m+M)V2=(m+M)gh\frac{1}{2}(m+M)V^2 = (m+M)gh
V2=2ghV^2 = 2gh
V=2ghV = \sqrt{2gh}
これらを連立してvvを求めると、
mvm+M=2gh\frac{mv}{m+M} = \sqrt{2gh}
v=m+Mm2ghv = \frac{m+M}{m}\sqrt{2gh}
(3) 学生の解答の誤り
学生の解答では、衝突の瞬間から力学的エネルギー保存則を適用している点が誤りである。衝突の瞬間は非弾性衝突であるため、力学的エネルギーは保存しない。運動エネルギーの一部が熱エネルギーや音エネルギーなどに変換される。したがって、1/2mv2=(m+M)gh1/2 mv^2 = (m+M)gh は成立しない。

3. **最終的な答え**

(1)
* 力学的エネルギー保存:弾丸とブロックが一体となって振れている過程
* 運動量保存:弾丸がブロックに衝突する瞬間
(2)
v=m+Mm2ghv = \frac{m+M}{m}\sqrt{2gh}
(3)
衝突の瞬間は非弾性衝突であり、力学的エネルギーは保存しないため、力学的エネルギー保存則を用いることはできない。

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