問題は、発散するベクトル場 $\vec{A}$ に対して、$\mathrm{div} \vec{A} = \rho$ が成り立つ理由を説明せよ、というものです。ここで、$\mathrm{div} \vec{A}$ はベクトル場 $\vec{A}$ の発散を表し、$\rho$ は密度を表します。

応用数学ベクトル解析発散ガウスの発散定理連続の式電磁気学
2025/7/18

1. 問題の内容

問題は、発散するベクトル場 A\vec{A} に対して、divA=ρ\mathrm{div} \vec{A} = \rho が成り立つ理由を説明せよ、というものです。ここで、divA\mathrm{div} \vec{A} はベクトル場 A\vec{A} の発散を表し、ρ\rho は密度を表します。

2. 解き方の手順

まず、発散の定義を考えます。発散は、ある微小体積から単位時間あたりに湧き出す(または吸い込まれる)量の割合を表します。すなわち、ある点におけるベクトル場の湧き出し(または吸い込み)の密度を表していると言えます。
次に、積分形のガウスの発散定理を考えます。体積 VV を囲む閉曲面 SS があるとき、以下の関係が成り立ちます。
VdivAdV=SAdS\iiint_V \mathrm{div} \vec{A} \, dV = \oiint_S \vec{A} \cdot d\vec{S}
ここで、左辺は体積 VV 内での divA\mathrm{div} \vec{A} の積分であり、右辺は閉曲面 SS を通るベクトル場 A\vec{A} のフラックスです。
フラックスは単位時間あたりに曲面を通過する量を示します。
今、ベクトル場 A\vec{A} がある物理量(例えば質量、電荷など)の流れを表しているとします。その密度を ρ\rho とすると、体積 VV 内に存在するその物理量の総量は VρdV\iiint_V \rho \, dV で表されます。
単位時間あたりに体積 VV から湧き出す物理量の割合は、閉曲面 SS を通るフラックスに等しいはずです。つまり、
SAdS\oiint_S \vec{A} \cdot d\vec{S}
は、単位時間あたりに体積 VV から湧き出す物理量に等しく、これは体積 VV 内の物理量の減少率(ddtVρdV-\frac{d}{dt} \iiint_V \rho \, dV)に等しくなります。
したがって、
SAdS=ddtVρdV\oiint_S \vec{A} \cdot d\vec{S} = -\frac{d}{dt} \iiint_V \rho \, dV
ガウスの発散定理より、
VdivAdV=ddtVρdV=V(ρt)dV\iiint_V \mathrm{div} \vec{A} \, dV = -\frac{d}{dt} \iiint_V \rho \, dV = \iiint_V (-\frac{\partial \rho}{\partial t}) \, dV
この式は任意の体積 VV に対して成り立つので、積分の中身が等しいはずです。したがって、
divA=ρt\mathrm{div} \vec{A} = -\frac{\partial \rho}{\partial t}
もし定常状態、つまり密度 ρ\rho が時間変化しない場合(ρt=0\frac{\partial \rho}{\partial t} = 0)を考えるのであれば、divA=0\mathrm{div} \vec{A} = 0 となります。
しかし、もし湧き出し源や吸い込み源があって密度 ρ\rho が空間的に変化する場合、湧き出し(または吸い込み)源の密度を ρ\rho と定義すると、divA=ρ\mathrm{div} \vec{A} = \rho が成り立つと考えられます。
別の考え方として、連続の式を用いることもできます。連続の式は、質量保存則を表すもので、ρt+divA=0\frac{\partial \rho}{\partial t} + \mathrm{div} \vec{A} = 0 で表されます。ここで、A=ρv\vec{A} = \rho \vec{v} は質量流束ベクトル(v\vec{v} は流速ベクトル)です。もし、何らかの原因で、体積内に単位時間当たり ρ\rho だけの質量が供給されるとすると、連続の式は ρt+divA=ρ\frac{\partial \rho}{\partial t} + \mathrm{div} \vec{A} = \rho になります。もし ρ\rho が時間的に変化しない定常状態だとすると、divA=ρ\mathrm{div} \vec{A} = \rho となります。

3. 最終的な答え

ベクトル場 A\vec{A} がある物理量の流れを表しているとき、その発散 divA\mathrm{div} \vec{A} は、その点における物理量の湧き出し(または吸い込み)の密度を表します。したがって、湧き出し源や吸い込み源の密度を ρ\rho と定義すると、divA=ρ\mathrm{div} \vec{A} = \rho が成り立ちます。これは、ガウスの発散定理や連続の式から導き出すことができます。

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