IS-LMモデルにフィッシャー方程式を導入し、流動性の罠の状況下における金融政策の効果を考察する問題です。特に、流動性の罠に陥った状況下で、期待インフレ率$\pi^e$に働きかけることで金融政策が有効となる条件を考察するため、空欄7~10に当てはまる適切な選択肢を選ぶ必要があります。均衡所得$Y^*$に関する偏微分$\frac{\partial Y^*}{\partial \pi^e} > 0$という条件を満たすように、空欄を埋めます。

応用数学IS-LMモデルフィッシャー方程式マクロ経済学流動性の罠金融政策偏微分
2025/7/18

1. 問題の内容

IS-LMモデルにフィッシャー方程式を導入し、流動性の罠の状況下における金融政策の効果を考察する問題です。特に、流動性の罠に陥った状況下で、期待インフレ率πe\pi^eに働きかけることで金融政策が有効となる条件を考察するため、空欄7~10に当てはまる適切な選択肢を選ぶ必要があります。均衡所得YY^*に関する偏微分Yπe>0\frac{\partial Y^*}{\partial \pi^e} > 0という条件を満たすように、空欄を埋めます。

2. 解き方の手順

まず、流動性の罠は、名目金利iiが非常に低い水準にあり、それ以上金利が低下しない状態です。フィッシャー方程式i=r+πei = r + \pi^eより、名目金利iiが一定の場合、期待インフレ率πe\pi^eが上昇すると実質金利rrは低下します。流動性の罠は、nnが無限大に近づくとき、すなわち、nn \rightarrow \inftyと表現できます。これは、貨幣需要の金利弾力性が非常に大きいことを意味します。したがって、空欄7には

8. nが当てはまります。

IS-LMモデルの均衡条件は、以下の通りです。
IS曲線: Y=C0+cY+abrY = C_0 + cY + a - br
LM曲線: M0=m0+mYniM_0 = m_0 + mY - ni
ここで、IS曲線とLM曲線を連立させて、均衡所得YYを求めます。
まず、IS曲線からrrを求めると、r=C0+a+(c1)Ybr = \frac{C_0 + a + (c-1)Y}{b} となります。
次に、LM曲線からrrを求めると、r=m0+mYM0nr = \frac{m_0 + mY - M_0}{n}となります。
これらを等しいとおくと、
C0+a+(c1)Yb=m0+mYM0n\frac{C_0 + a + (c-1)Y}{b} = \frac{m_0 + mY - M_0}{n}
整理すると、
n(C0+a+(c1)Y)=b(m0+mYM0)n(C_0 + a + (c-1)Y) = b(m_0 + mY - M_0)
nC0+na+n(c1)Y=bm0+bmybM0nC_0 + na + n(c-1)Y = bm_0 + bmy - bM_0
Y(n(c1)bm)=bm0bM0nC0naY(n(c-1)-bm) = bm_0 - bM_0 - nC_0 - na
Y=bm0bM0nC0nan(c1)bmY = \frac{bm_0 - bM_0 - nC_0 - na}{n(c-1)-bm}
Y=b(m0M0)n(C0+a)n(c1)bmY = \frac{b(m_0-M_0)-n(C_0+a)}{n(c-1)-bm}
Y=n(C0+a)b(m0M0)bmn(c1)Y = \frac{n(C_0+a) - b(m_0-M_0)}{bm - n(c-1)}
Y=b1c(m0M0m+nm(C0+a))Y = \frac{b}{1-c}(\frac{m_0-M_0}{m} + \frac{n}{m}(C_0+a) )
ここでM0=m0+mYni=m0+mYn(ir)M_0 = m_0 + mY -ni = m_0 + mY -n(i-r)であるから、M0M_0が非常に大きい時に流動性の罠に陥ります。すなわち、nn \to \inftyです。
Y=b1c(am+m0n)Y^* = \frac{b}{1-c}( \frac{a}{m} + \frac{m_0}{n} )
与えられているY=b1c(8+9+a10)Y^* = \frac{b}{1-c}( \frac{}{8} + \frac{9+a}{10})と比較すると
m0n=8\frac{m_0}{n} = \frac{}{8}
am=9+a10\frac{a}{m} = \frac{9+a}{10}
したがって、8にはmが、9にはπe\pi^eが入り、10にはnが入ります。

3. 最終的な答え

7:

8. n

8:

5. m

9:

9. $\pi^e$

10:

8. n

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