連立不等式 $x+y \ge 2$、$x^2+y^2 \le 4$ の表す領域 $D$ を点 $(x, y)$ が動くとき、以下の式の最大値と最小値を求めます。 (1) $-2x+y$ (2) $2x+y$ (3) $x^2+y^2-2x$

1. 問題の内容

連立不等式 $x+y \ge 2$、$x^2+y^2 \le 4$ の表す領域 $D$ を点 $(x, y)$ が動くとき、以下の式の最大値と最小値を求めます。

(1) $-2x+y$

(2) $2x+y$

(3) $x^2+y^2-2x$

2. 解き方の手順

まず、領域 $D$ を図示します。$x+y \ge 2$ は直線 $x+y=2$ の上側、$x^2+y^2 \le 4$ は原点中心、半径 2 の円の内部を表します。領域 $D$ はこれらの共通部分です。

(1) $k = -2x + y$ とおくと、$y = 2x + k$ となり、これは傾きが 2、y切片が $k$ の直線を表します。この直線が領域 $D$ と共有点を持つときの $k$ の最大値と最小値を求めます。

最大値は、円 $x^2+y^2=4$ と直線 $y=2x+k$ が接するときに起こります。$x^2 + (2x+k)^2 = 4$ より、$5x^2 + 4kx + k^2 - 4 = 0$。判別式 $D = (4k)^2 - 4(5)(k^2 - 4) = 0$ を解くと、$16k^2 - 20k^2 + 80 = 0$ より、$-4k^2 = -80$、$k^2 = 20$、$k = \pm 2\sqrt{5}$ となります。領域 $D$との共有点を考えると、最大値は $k = 2\sqrt{5}$ です。

最小値は、直線 $x+y=2$と $y=2x+k$ が交わるとき、その交点を $(x, y)$ とすると、$x+2x+k=2$、$3x=2-k$、$x = \frac{2-k}{3}$、$y = 2 - x = 2 - \frac{2-k}{3} = \frac{4+k}{3}$。この点が領域 $D$ 上にあるのは、$x+y=2$を満たすときで、このとき $-2x+y = -2\frac{2-k}{3} + \frac{4+k}{3} = \frac{-4+2k+4+k}{3} = \frac{3k}{3} = k$。したがって最小値は、直線 $y = 2x+k$が点 $(2,0)$ を通るとき、$0 = 2(2) + k$ より、$k = -4$。

(2) $k = 2x + y$ とおくと、$y = -2x + k$ となり、これは傾きが -2、y切片が $k$ の直線を表します。この直線が領域 $D$ と共有点を持つときの $k$ の最大値と最小値を求めます。

最大値は、直線 $x+y=2$と $y=-2x+k$ が交わるとき、その交点を $(x, y)$ とすると、$x-2x+k=2$、$-x=2-k$、$x = k-2$、$y = 2 - x = 2 - (k-2) = 4-k$。この点が領域 $D$ 上にあるのは、$x+y=2$を満たすときで、このとき $2x+y = 2(k-2) + (4-k) = 2k-4+4-k = k$。したがって最大値は、直線 $y = -2x+k$が点 $(0,2)$ を通るとき、$2 = -2(0) + k$ より、$k = 2$。

最小値は、円 $x^2+y^2=4$ と直線 $y=-2x+k$ が接するときに起こります。$x^2 + (-2x+k)^2 = 4$ より、$5x^2 - 4kx + k^2 - 4 = 0$。判別式 $D = (-4k)^2 - 4(5)(k^2 - 4) = 0$ を解くと、$16k^2 - 20k^2 + 80 = 0$ より、$-4k^2 = -80$、$k^2 = 20$、$k = \pm 2\sqrt{5}$ となります。領域 $D$との共有点を考えると、最小値は $k = -2\sqrt{5}$ です。

(3) $k = x^2 + y^2 - 2x$ を $x^2 - 2x + y^2 = k$ と変形すると、$(x-1)^2 + y^2 = k+1$ となります。これは中心が $(1, 0)$、半径が $\sqrt{k+1}$ の円を表します。この円が領域 $D$ と共有点を持つときの $k$ の最大値と最小値を求めます。

最大値は、点 $(-2,0)$ を通るとき。

$(-2-1)^2 + 0^2 = k+1$、$9 = k+1$、$k=8$。

最小値は、円が直線 $x+y=2$ に接するとき。中心 $(1,0)$ から直線 $x+y-2=0$ までの距離は $\frac{|1+0-2|}{\sqrt{1^2+1^2}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$。

円 $(x-1)^2+y^2=k+1$の中心から直線までの距離は$\sqrt{k+1}$。

$x+y=2$と$(x-1)^2+y^2=k+1$が接するとき、$\frac{1}{\sqrt{2}}=\sqrt{k+1}$、$k+1=\frac{1}{2}$、$k=-\frac{1}{2}$

3. 最終的な答え

(1) 最大値: $2\sqrt{5}$, 最小値: $-4$

(2) 最大値: $2\sqrt{5}$, 最小値: $-2\sqrt{5}$

(3) 最大値: $8$, 最小値: $-\frac{1}{2}$