(1) $n$ を0以上の整数とし、$I_n = \int_0^{\pi/2} \cos^n \theta \, d\theta$ とおく。$I_n$ と $I_{n-2}$ の間の漸化式を求め、それを用いて $I_n$ の値を求める。 (2) 自然数 $n$ に対して、以下の不等式を示す: $$ \int_0^1 (1-x^2)^n \, dx \le \int_0^1 e^{-nx^2} \, dx \le \int_0^1 \frac{1}{(1+x^2)^n} \, dx $$ (3) (2)の右辺の定積分の積分上限1を$\infty$に代えた不等式を示す。すなわち $$ \int_0^1 (1-x^2)^n \, dx \le \int_0^1 e^{-nx^2} \, dx \le \int_0^\infty \frac{1}{(1+x^2)^n} \, dx $$ この不等式の左辺と右辺の値を $I_m$ の形で表す。 (4) (1)と(3)の結果を利用して、以下を示す: $$ \int_0^\infty e^{-x^2} \, dx = \frac{\sqrt{\pi}}{2} $$ ただし、ウォリスの公式 $$ \pi = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \left( \frac{(2n)!!}{(2n-1)!!} \right)^2 $$ は証明なしで用いてよい。
2025/7/22
1. 問題の内容
(1) を0以上の整数とし、 とおく。 と の間の漸化式を求め、それを用いて の値を求める。
(2) 自然数 に対して、以下の不等式を示す:
(3) (2)の右辺の定積分の積分上限1をに代えた不等式を示す。すなわち
この不等式の左辺と右辺の値を の形で表す。
(4) (1)と(3)の結果を利用して、以下を示す:
ただし、ウォリスの公式
は証明なしで用いてよい。
2. 解き方の手順
(1) 部分積分を用いて漸化式を求める。 に対して、
よって、
が偶数のとき () :
が奇数のとき () :
(2) において、 が成り立つことを示す。
より、, よって、.
より、. であるから、 .
が0に近いとき , .
で が成り立つ。
この不等式を区間で積分すれば、題意の不等式を得る。
(3) (2)の不等式
において、右辺の積分範囲を に広げた不等式
を示す。 より、
であるので、上記の不等式は成り立つ。
左辺: と置換すると、, ならば なので、
右辺: と置換すると、, ならば なので、
(4) と置換すると、. よって、.
(3)の不等式より、
ウォリスの公式より
3. 最終的な答え
(1)
( が偶数のとき)
( が奇数のとき)
(2)
(3)
左辺:
右辺:
(4)