$n^2$個の微分可能な関数 $f_{ij}(x)$ ($i, j = 1, 2, ..., n$) を成分とする $n$ 次正方行列 $A(x)$ を考える。$A(x)$ の行列式を $F(x) = \det A(x)$ とする。また、$A(x)$ の第 $i$ 行をその導関数で置き換えた行列を $A_i(x)$ とし、その行列式を $F_i(x) = \det A_i(x)$ とする。このとき、$F(x)$ も微分可能であることを示し、その導関数 $F'(x)$ が次の式で与えられることを証明する。 $F'(x) = \sum_{i=1}^n F_i(x)$ ヒントとして、行列式の定義 $F(x) = \sum_{\sigma \in S_n} \text{sgn}(\sigma) f_{1\sigma(1)}(x) f_{2\sigma(2)}(x) \cdots f_{n\sigma(n)}(x)$ を用いることが示唆されている。

解析学行列式微分導関数積の微分線形代数
2025/7/23
## 問題5

1. 問題の内容

n2n^2個の微分可能な関数 fij(x)f_{ij}(x) (i,j=1,2,...,ni, j = 1, 2, ..., n) を成分とする nn 次正方行列 A(x)A(x) を考える。A(x)A(x) の行列式を F(x)=detA(x)F(x) = \det A(x) とする。また、A(x)A(x) の第 ii 行をその導関数で置き換えた行列を Ai(x)A_i(x) とし、その行列式を Fi(x)=detAi(x)F_i(x) = \det A_i(x) とする。このとき、F(x)F(x) も微分可能であることを示し、その導関数 F(x)F'(x) が次の式で与えられることを証明する。
F(x)=i=1nFi(x)F'(x) = \sum_{i=1}^n F_i(x)
ヒントとして、行列式の定義 F(x)=σSnsgn(σ)f1σ(1)(x)f2σ(2)(x)fnσ(n)(x)F(x) = \sum_{\sigma \in S_n} \text{sgn}(\sigma) f_{1\sigma(1)}(x) f_{2\sigma(2)}(x) \cdots f_{n\sigma(n)}(x) を用いることが示唆されている。

2. 解き方の手順

まず、F(x)F(x) が微分可能であることを示す。
F(x)F(x) は、fij(x)f_{ij}(x) たちの積と和によって表される関数である。fij(x)f_{ij}(x) は微分可能なので、F(x)F(x) も微分可能である(微分可能な関数の積と和は微分可能)。
次に、F(x)=i=1nFi(x)F'(x) = \sum_{i=1}^n F_i(x) を示す。行列式の定義より、
F(x)=σSnsgn(σ)i=1nfiσ(i)(x)F(x) = \sum_{\sigma \in S_n} \text{sgn}(\sigma) \prod_{i=1}^n f_{i\sigma(i)}(x)
この両辺を xx で微分する。積の微分法を用いると、
F(x)=σSnsgn(σ)k=1n(fkσ(k)(x)ikfiσ(i)(x))F'(x) = \sum_{\sigma \in S_n} \text{sgn}(\sigma) \sum_{k=1}^n \left( f'_{k\sigma(k)}(x) \prod_{i \neq k} f_{i\sigma(i)}(x) \right)
ここで、和の順序を入れ替えると、
F(x)=k=1nσSnsgn(σ)(fkσ(k)(x)ikfiσ(i)(x))F'(x) = \sum_{k=1}^n \sum_{\sigma \in S_n} \text{sgn}(\sigma) \left( f'_{k\sigma(k)}(x) \prod_{i \neq k} f_{i\sigma(i)}(x) \right)
内側の和は、A(x)A(x) の第 kk 行をその導関数で置き換えた行列 Ak(x)A_k(x) の行列式 Fk(x)F_k(x) に等しい。したがって、
F(x)=k=1nFk(x)F'(x) = \sum_{k=1}^n F_k(x)
これにより、F(x)=i=1nFi(x)F'(x) = \sum_{i=1}^n F_i(x) が示された。

3. 最終的な答え

F(x)=i=1nFi(x)F'(x) = \sum_{i=1}^n F_i(x)

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