(i) $R^3$ の部分集合 $\left\{ \begin{bmatrix} x+y \\ x^2 \\ 2z+3y \end{bmatrix} | x, y, z \in R \right\}$ が $R^3$ の部分空間であるかどうかを判定する問題。 (ii) $R^3$ の部分集合 $\left\{ \begin{bmatrix} x+2y \\ x-3y+z \\ 2z-y \end{bmatrix} | x, y, z \in R \right\}$ が $R^3$ の部分空間であるかどうかを判定する問題。

代数学線形代数部分空間ベクトル空間
2025/7/22

1. 問題の内容

(i) R3R^3 の部分集合 {[x+yx22z+3y]x,y,zR}\left\{ \begin{bmatrix} x+y \\ x^2 \\ 2z+3y \end{bmatrix} | x, y, z \in R \right\}R3R^3 の部分空間であるかどうかを判定する問題。
(ii) R3R^3 の部分集合 {[x+2yx3y+z2zy]x,y,zR}\left\{ \begin{bmatrix} x+2y \\ x-3y+z \\ 2z-y \end{bmatrix} | x, y, z \in R \right\}R3R^3 の部分空間であるかどうかを判定する問題。

2. 解き方の手順

(i) 部分空間であるための条件は以下の3つです。

1. ゼロベクトルを含むこと。

2. スカラー倍について閉じていること。

3. ベクトルの和について閉じていること。

まず、ゼロベクトルを含むか確認します。
x=y=z=0x=y=z=0 を代入すると、[0+0022(0)+3(0)]=[000]\begin{bmatrix} 0+0 \\ 0^2 \\ 2(0)+3(0) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix} となり、ゼロベクトルを含むことがわかります。
次に、スカラー倍について閉じているか確認します。
任意のベクトル v=[x+yx22z+3y]v = \begin{bmatrix} x+y \\ x^2 \\ 2z+3y \end{bmatrix} とスカラー cc に対して、cvcv が同じ集合に属する必要があります。
cv=[c(x+y)cx2c(2z+3y)]cv = \begin{bmatrix} c(x+y) \\ cx^2 \\ c(2z+3y) \end{bmatrix} となります。
これが [x+yx22z+3y]\begin{bmatrix} x'+y' \\ x'^2 \\ 2z'+3y' \end{bmatrix} の形になるためには、
x2=cx2x'^2 = cx^2 が必要です。
もし x=1x=1c=2c=2 ならば、x2=2x'^2 = 2 となり、x=2x' = \sqrt{2} となります。
つまり、スカラー倍について閉じているとは限りません。
例えば x=1,y=0,z=0x=1, y=0, z=0 の場合、ベクトルは [110]\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix} となります。このベクトルの2倍は [220]\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \\ 0 \end{bmatrix} となります。しかし、[x+yx22z+3y]\begin{bmatrix} x+y \\ x^2 \\ 2z+3y \end{bmatrix} の形にしようとすると、x+y=2x+y=2 かつ x2=2x^2=2 となります。x=2x = \sqrt{2} とすると、y=22y = 2-\sqrt{2} となります。また 2z+3y=02z+3y = 0 より、2z=3(22)=6+322z = -3(2-\sqrt{2}) = -6+3\sqrt{2} となり、z=3+322z = -3+\frac{3\sqrt{2}}{2} となります。
したがって、このベクトルは集合の中にあると言えます。
しかし、x2x^2 の項があるため、一般的にスカラー倍で閉じているとは限りません。xx の値を変化させると、cvcv の形にならないことがあります。
したがって、(i) は部分空間ではありません。
(ii) 部分空間であるための条件は以下の3つです。

1. ゼロベクトルを含むこと。

2. スカラー倍について閉じていること。

3. ベクトルの和について閉じていること。

まず、ゼロベクトルを含むか確認します。
x=y=z=0x=y=z=0 を代入すると、[0+2(0)03(0)+02(0)0]=[000]\begin{bmatrix} 0+2(0) \\ 0-3(0)+0 \\ 2(0)-0 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix} となり、ゼロベクトルを含むことがわかります。
次に、スカラー倍について閉じているか確認します。
任意のベクトル v=[x+2yx3y+z2zy]v = \begin{bmatrix} x+2y \\ x-3y+z \\ 2z-y \end{bmatrix} とスカラー cc に対して、cvcv が同じ集合に属する必要があります。
cv=[c(x+2y)c(x3y+z)c(2zy)]=[cx+2(cy)cx3(cy)+cz2(cz)(cy)]cv = \begin{bmatrix} c(x+2y) \\ c(x-3y+z) \\ c(2z-y) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} cx+2(cy) \\ cx-3(cy)+cz \\ 2(cz)-(cy) \end{bmatrix} となります。
これは x=cx,y=cy,z=czx'=cx, y'=cy, z'=cz とおけば、[x+2yx3y+z2zy]\begin{bmatrix} x'+2y' \\ x'-3y'+z' \\ 2z'-y' \end{bmatrix} となり、同じ形です。
したがって、スカラー倍について閉じています。
最後に、ベクトルの和について閉じているか確認します。
v1=[x1+2y1x13y1+z12z1y1]v_1 = \begin{bmatrix} x_1+2y_1 \\ x_1-3y_1+z_1 \\ 2z_1-y_1 \end{bmatrix}v2=[x2+2y2x23y2+z22z2y2]v_2 = \begin{bmatrix} x_2+2y_2 \\ x_2-3y_2+z_2 \\ 2z_2-y_2 \end{bmatrix} に対して、v1+v2v_1 + v_2 が同じ集合に属する必要があります。
v1+v2=[(x1+x2)+2(y1+y2)(x1+x2)3(y1+y2)+(z1+z2)2(z1+z2)(y1+y2)]v_1 + v_2 = \begin{bmatrix} (x_1+x_2)+2(y_1+y_2) \\ (x_1+x_2)-3(y_1+y_2)+(z_1+z_2) \\ 2(z_1+z_2)-(y_1+y_2) \end{bmatrix} となります。
これは x=x1+x2,y=y1+y2,z=z1+z2x'=x_1+x_2, y'=y_1+y_2, z'=z_1+z_2 とおけば、[x+2yx3y+z2zy]\begin{bmatrix} x'+2y' \\ x'-3y'+z' \\ 2z'-y' \end{bmatrix} となり、同じ形です。
したがって、ベクトルの和について閉じています。
以上の3つの条件を満たすので、(ii) は部分空間です。

3. 最終的な答え

(i) R3R^3 の部分集合 {[x+yx22z+3y]x,y,zR}\left\{ \begin{bmatrix} x+y \\ x^2 \\ 2z+3y \end{bmatrix} | x, y, z \in R \right\}R3R^3 の部分空間ではない。
(ii) R3R^3 の部分集合 {[x+2yx3y+z2zy]x,y,zR}\left\{ \begin{bmatrix} x+2y \\ x-3y+z \\ 2z-y \end{bmatrix} | x, y, z \in R \right\}R3R^3 の部分空間である。

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