(1) $x > 0$ のとき、$t = x + \frac{1}{x}$ の値の範囲を求めよ。 (2) すべての正の実数 $x$ に対して、$x^2 - 2ax + 10 - \frac{2a}{x} + \frac{1}{x^2} \geq 0$ が成立するとき、$a$ の値の範囲を求めよ。

1. 問題の内容

(1) $x > 0$ のとき、$t = x + \frac{1}{x}$ の値の範囲を求めよ。

(2) すべての正の実数 $x$ に対して、$x^2 - 2ax + 10 - \frac{2a}{x} + \frac{1}{x^2} \geq 0$ が成立するとき、$a$ の値の範囲を求めよ。

2. 解き方の手順

(1) $x>0$ のとき、$t = x + \frac{1}{x}$ の値の範囲を求める。相加・相乗平均の関係より、

$x + \frac{1}{x} \geq 2\sqrt{x \cdot \frac{1}{x}} = 2$

等号成立は $x = \frac{1}{x}$ より $x^2 = 1$ で、$x > 0$ より $x = 1$ のときである。

したがって、$t \geq 2$。

(2) 与えられた不等式を変形する。

$x^2 + \frac{1}{x^2} - 2a(x + \frac{1}{x}) + 10 \geq 0$

ここで、$t = x + \frac{1}{x}$ とおくと、$x^2 + \frac{1}{x^2} = (x + \frac{1}{x})^2 - 2 = t^2 - 2$ である。

したがって、

$t^2 - 2 - 2at + 10 \geq 0$

$t^2 - 2at + 8 \geq 0$

この不等式が $t \geq 2$ で常に成り立つ条件を求める。

$f(t) = t^2 - 2at + 8$ とおくと、

$f(t) = (t - a)^2 - a^2 + 8$

軸は $t = a$ である。

(i) $a < 2$ のとき、$t \geq 2$ において $f(t)$ は単調増加であるから、$f(2) \geq 0$ であればよい。

$f(2) = 2^2 - 2a(2) + 8 = 4 - 4a + 8 = 12 - 4a \geq 0$

$4a \leq 12$

$a \leq 3$

$a < 2$ と $a \leq 3$ より、$a < 2$

(ii) $a \geq 2$ のとき、

$f(t)$ の最小値は $f(a) = -a^2 + 8 \geq 0$

$a^2 \leq 8$

$-\sqrt{8} \leq a \leq \sqrt{8}$

$a \geq 2$ と $-\sqrt{8} \leq a \leq \sqrt{8}$ より、$2 \leq a \leq \sqrt{8}$、すなわち $2 \leq a \leq 2\sqrt{2}$

(i)(ii)より、$a \leq 2\sqrt{2}$。

3. 最終的な答え

(1) $t \geq 2$

(2) $a \leq 2\sqrt{2}$