$-1 < r < 1$ のとき、$\lim_{n \to \infty} n^2 r^n = 0$ が成り立つことを示す際に、$r = \frac{1}{1+h}$ とおく理由について問われています。

解析学極限数列二項定理指数関数収束
2025/4/4

1. 問題の内容

1<r<1-1 < r < 1 のとき、limnn2rn=0\lim_{n \to \infty} n^2 r^n = 0 が成り立つことを示す際に、r=11+hr = \frac{1}{1+h} とおく理由について問われています。

2. 解き方の手順

r=11+hr = \frac{1}{1+h} とおくことの目的は、rr の絶対値が1より小さいという条件を扱いやすい形に変形することです。
* r<1|r| < 1 を示すために、r=11+hr = \frac{1}{1+h} とおき、h>0h>0 の場合を考えます。
* r=11+hr = \frac{1}{1+h} は、h>0h > 0 ならば 0<r<10 < r < 1 を満たします。
* また、1<r<0-1 < r < 0 の場合も考慮する必要があります。
* そのため、r=11+hr = -\frac{1}{1+h} とおき、h>0h > 0 の場合を考えます。
* すると、1<r<0-1 < r < 0 を満たします。
* 重要な点として、このような形でおくことで、二項定理を利用しやすくなります。例えば、ベルヌーイの不等式 (1+h)n1+nh(1+h)^n \ge 1+nh を使うことができます。
* limnn2rn=0\lim_{n \to \infty} n^2 r^n = 0 を示すために、
n2rn=n2(1+h)n|n^2r^n| = \frac{n^2}{(1+h)^n}
を考えます。h>0h>0の場合、分母の (1+h)n(1+h)^nnn が大きくなるにつれて指数関数的に増加するのに対し、分子の n2n^2 は多項式的に増加するため、nn が十分に大きいとき、分母の増加速度が分子の増加速度を上回り、極限は0に近づきます。
* 二項定理を使うと、例えばn3n \geq 3のとき、
(1+h)n=1+nh+n(n1)2h2+n(n1)(n2)6h3+>n(n1)(n2)6h3(1+h)^n = 1 + nh + \frac{n(n-1)}{2}h^2 + \frac{n(n-1)(n-2)}{6}h^3 + \cdots > \frac{n(n-1)(n-2)}{6}h^3
となるため、
n2(1+h)n<6n2n(n1)(n2)h3=6n(n1)(n2)h3\frac{n^2}{(1+h)^n} < \frac{6n^2}{n(n-1)(n-2)h^3} = \frac{6n}{(n-1)(n-2)h^3}
となり、nn \to \infty で右辺は 0 に収束します。

3. 最終的な答え

r=11+hr = \frac{1}{1+h} とおくのは、r<1|r| < 1 という条件を扱いやすくし、二項定理やベルヌーイの不等式を使って評価することで、limnn2rn=0\lim_{n \to \infty} n^2 r^n = 0 を示すためです。このように置換することで、rr の絶対値が1より小さいという条件のもとで、nn が大きくなるにつれて n2rnn^2 r^n が 0 に収束することを容易に示すことができます。

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