与えられた標本データ(3.5, 3.4, 3.8, 3.6, 3.2)を用いて、以下の問いに答えます。 (1) 標本平均$\bar{X}$と標本分散$s^2$を求めます。 (2) 母平均と母分散の不偏推定量$\hat{\mu}$と$\hat{\sigma}^2$を求めます。 (3) 確率変数$T_1 = \frac{\bar{X} - \mu}{\sqrt{\sigma^2/n}}$と$T_2 = \frac{(n-1)(\bar{X} - \mu)^2}{S^2}$が従う確率分布を答えます。 (4) 母分散$\sigma^2 = 4$が既知の場合に、信頼水準0.95で母平均$\mu$の信頼区間を求めます。 (5) 母分散$\sigma^2$が未知の場合に、信頼水準0.95で母平均$\mu$の信頼区間を求めます。

確率論・統計学標本平均標本分散不偏推定量信頼区間正規分布t分布F分布
2025/7/23

1. 問題の内容

与えられた標本データ(3.5, 3.4, 3.8, 3.6, 3.2)を用いて、以下の問いに答えます。
(1) 標本平均Xˉ\bar{X}と標本分散s2s^2を求めます。
(2) 母平均と母分散の不偏推定量μ^\hat{\mu}σ^2\hat{\sigma}^2を求めます。
(3) 確率変数T1=Xˉμσ2/nT_1 = \frac{\bar{X} - \mu}{\sqrt{\sigma^2/n}}T2=(n1)(Xˉμ)2S2T_2 = \frac{(n-1)(\bar{X} - \mu)^2}{S^2}が従う確率分布を答えます。
(4) 母分散σ2=4\sigma^2 = 4が既知の場合に、信頼水準0.95で母平均μ\muの信頼区間を求めます。
(5) 母分散σ2\sigma^2が未知の場合に、信頼水準0.95で母平均μ\muの信頼区間を求めます。

2. 解き方の手順

(1) 標本平均Xˉ\bar{X}と標本分散s2s^2を計算します。
Xˉ=3.5+3.4+3.8+3.6+3.25=17.55=3.5\bar{X} = \frac{3.5 + 3.4 + 3.8 + 3.6 + 3.2}{5} = \frac{17.5}{5} = 3.5
s2=(3.53.5)2+(3.43.5)2+(3.83.5)2+(3.63.5)2+(3.23.5)25=0+0.01+0.09+0.01+0.095=0.25=0.04s^2 = \frac{(3.5-3.5)^2 + (3.4-3.5)^2 + (3.8-3.5)^2 + (3.6-3.5)^2 + (3.2-3.5)^2}{5} = \frac{0 + 0.01 + 0.09 + 0.01 + 0.09}{5} = \frac{0.2}{5} = 0.04
(2) 母平均の不偏推定量μ^\hat{\mu}は標本平均Xˉ\bar{X}に等しく、母分散の不偏推定量σ^2\hat{\sigma}^2は不偏分散su2s_u^2に等しくなります。不偏分散は、標本分散にnn1\frac{n}{n-1}を掛けたものです。
μ^=Xˉ=3.5\hat{\mu} = \bar{X} = 3.5
su2=nn1s2=54(0.04)=0.05s_u^2 = \frac{n}{n-1}s^2 = \frac{5}{4}(0.04) = 0.05
σ^2=su2=0.05\hat{\sigma}^2 = s_u^2 = 0.05
(3) T1T_1は標準正規分布N(0,1)N(0,1)に従います。T2T_2は自由度1のF分布に従います: F(1,n1)F(1, n-1)
(4) 母分散が既知の場合の信頼区間は、
Xˉ±zα/2σn\bar{X} \pm z_{\alpha/2} \frac{\sigma}{\sqrt{n}}
で計算されます。ここで、zα/2z_{\alpha/2}は標準正規分布の上側α/2\alpha/2パーセント点です。
α=10.95=0.05\alpha = 1 - 0.95 = 0.05なので、α/2=0.025\alpha/2 = 0.025です。z0.0251.96z_{0.025} \approx 1.96です。
σ=4=2\sigma = \sqrt{4} = 2なので、
3.5±1.9625=3.5±1.9622.236=3.5±1.96(0.894)=3.5±1.752243.5±1.753.5 \pm 1.96 \frac{2}{\sqrt{5}} = 3.5 \pm 1.96 \frac{2}{2.236} = 3.5 \pm 1.96(0.894) = 3.5 \pm 1.75224 \approx 3.5 \pm 1.75
信頼区間は(3.51.75,3.5+1.75)=(1.75,5.25)(3.5 - 1.75, 3.5 + 1.75) = (1.75, 5.25)
(5) 母分散が未知の場合の信頼区間は、
Xˉ±tα/2,n1sun\bar{X} \pm t_{\alpha/2, n-1} \frac{s_u}{\sqrt{n}}
で計算されます。ここで、tα/2,n1t_{\alpha/2, n-1}は自由度n1n-1のt分布の上側α/2\alpha/2パーセント点です。
α=10.95=0.05\alpha = 1 - 0.95 = 0.05なので、α/2=0.025\alpha/2 = 0.025です。自由度はn1=51=4n-1 = 5-1 = 4です。t0.025,42.776t_{0.025, 4} \approx 2.776です。
su=0.050.2236s_u = \sqrt{0.05} \approx 0.2236なので、
3.5±2.7760.22365=3.5±2.7760.22362.236=3.5±2.776(0.1)=3.5±0.27763.5±0.283.5 \pm 2.776 \frac{0.2236}{\sqrt{5}} = 3.5 \pm 2.776 \frac{0.2236}{2.236} = 3.5 \pm 2.776(0.1) = 3.5 \pm 0.2776 \approx 3.5 \pm 0.28
信頼区間は(3.50.28,3.5+0.28)=(3.22,3.78)(3.5 - 0.28, 3.5 + 0.28) = (3.22, 3.78)

3. 最終的な答え

(1) 標本平均: 3.5, 標本分散: 0.04
(2) 母平均の不偏推定量: 3.5, 母分散の不偏推定量: 0.05
(3) T1T_1: 標準正規分布N(0,1)N(0,1), T2T_2: F分布F(1,4)F(1,4)
(4) 母分散既知の場合の信頼区間: (1.75, 5.25)
(5) 母分散未知の場合の信頼区間: (3.22, 3.78)

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