袋の中に白玉が3個、赤玉が7個入っている。この袋から玉を1個ずつ、もとに戻さずに3回続けて取り出す。このとき、白玉が出た回数を$X$とする。$X$の期待値$E(X)$と分散$V(X)$を求めよ。

確率論・統計学確率期待値分散確率変数組み合わせ
2025/7/24

1. 問題の内容

袋の中に白玉が3個、赤玉が7個入っている。この袋から玉を1個ずつ、もとに戻さずに3回続けて取り出す。このとき、白玉が出た回数をXXとする。XXの期待値E(X)E(X)と分散V(X)V(X)を求めよ。

2. 解き方の手順

まず、1回目に白玉が出る確率をp1p_1、2回目に白玉が出る確率をp2p_2、3回目に白玉が出る確率をp3p_3とする。
1回目の試行では、10個の玉のうち3個が白玉なので、p1=310p_1 = \frac{3}{10}
2回目の試行では、1回目に白玉が出た場合と赤玉が出た場合で確率が変わる。
- 1回目に白玉が出た場合、残り9個の玉のうち白玉は2個なので、確率は29\frac{2}{9}
- 1回目に赤玉が出た場合、残り9個の玉のうち白玉は3個なので、確率は39=13\frac{3}{9} = \frac{1}{3}
しかし、期待値を計算する上では、周辺確率で考えることができ、2回目の試行で白玉が出る確率は、1回目に何が出たかに関わらず、310\frac{3}{10}となる。同様に、3回目の試行で白玉が出る確率も310\frac{3}{10}となる。
E(X)E(X)は、各試行で白玉が出る確率の和なので、
E(X)=p1+p2+p3=310+310+310=910E(X) = p_1 + p_2 + p_3 = \frac{3}{10} + \frac{3}{10} + \frac{3}{10} = \frac{9}{10}
V(X)V(X)は、V(X)=E(X2)(E(X))2V(X) = E(X^2) - (E(X))^2で計算できる。
ここで、E(X2)E(X^2)は計算が複雑になるので、以下の公式を用いる。
V(X)=i=1npi(1pi)V(X) = \sum_{i=1}^{n} p_i (1-p_i), ここで、nnは試行回数、pip_iはi回目の試行で成功する確率。
この問題の場合、n=3n = 3 であり、各試行で白玉が出る確率は全て310\frac{3}{10}であるから、
V(X)=3×310×(1310)=3×310×710=63100V(X) = 3 \times \frac{3}{10} \times (1-\frac{3}{10}) = 3 \times \frac{3}{10} \times \frac{7}{10} = \frac{63}{100}
しかし、これは独立試行の場合のみ利用できる。今回は独立ではないので、別の方法で求める必要がある。
確率変数XiX_i を、i回目の試行で白玉が出たら1、そうでなければ0とする。このとき、 X=X1+X2+X3X = X_1 + X_2 + X_3である。
V(X)=V(X1+X2+X3)=i=13V(Xi)+2i<jCov(Xi,Xj)V(X) = V(X_1 + X_2 + X_3) = \sum_{i=1}^3 V(X_i) + 2\sum_{i<j} Cov(X_i, X_j).
V(Xi)=pi(1pi)=310710=21100V(X_i) = p_i(1-p_i) = \frac{3}{10}\cdot\frac{7}{10} = \frac{21}{100} なので i=13V(Xi)=63100\sum_{i=1}^3 V(X_i) = \frac{63}{100}
Cov(Xi,Xj)=E(XiXj)E(Xi)E(Xj)Cov(X_i, X_j) = E(X_iX_j) - E(X_i)E(X_j).
E(Xi)=310E(X_i) = \frac{3}{10}.
E(XiXj)E(X_iX_j)は、ii回目とjj回目(ただしi<ji < j)の両方で白玉が出る確率なので、
E(X1X2)=310×29=690=115E(X_1X_2) = \frac{3}{10} \times \frac{2}{9} = \frac{6}{90} = \frac{1}{15}
Cov(X1,X2)=115310310=1159100=2027300=7300Cov(X_1, X_2) = \frac{1}{15} - \frac{3}{10}\cdot\frac{3}{10} = \frac{1}{15} - \frac{9}{100} = \frac{20 - 27}{300} = -\frac{7}{300}.
同様に、Cov(X1,X3)=Cov(X2,X3)=7300Cov(X_1, X_3) = Cov(X_2, X_3) = -\frac{7}{300} なので、 2i<jCov(Xi,Xj)=2×3×(7300)=42300=141002\sum_{i<j} Cov(X_i, X_j) = 2 \times 3 \times (-\frac{7}{300}) = -\frac{42}{300} = -\frac{14}{100}.
V(X)=6310014100=49100V(X) = \frac{63}{100} - \frac{14}{100} = \frac{49}{100}.

3. 最終的な答え

E(X)=910E(X) = \frac{9}{10}
V(X)=49100V(X) = \frac{49}{100}

「確率論・統計学」の関連問題

ある通りでは30分あたりに通るタクシーの数がポアソン分布 $Po(10)$ に従う。各タクシーのうち空車の割合は30%である。30分あたりに通る空車の数を $X$ とするとき、$X$ の分布を求める。

ポアソン分布確率分布統計
2025/7/26

ある大規模な大学の入学試験の得点は正規分布に従い、平均が480点、標準偏差が100点である。 (1) 400点以上600点以下の得点層にいる受験生の割合を求める。 (2) 上位5%に位置する受験生の得...

正規分布標準化確率統計
2025/7/26

1月から6月までのデータが与えられたとき、3月の4ヶ月中心移動平均を計算し、小数第1位まで四捨五入します。

移動平均時系列分析データ分析
2025/7/26

表に示された世帯の情報を基に、相対的貧困率を計算し、小数第1位まで求めよ。相対的貧困率は、等価可処分所得の中央値の半分を下回る世帯の割合として定義される。

統計相対的貧困率中央値算術
2025/7/26

問題は、3年生女子80人のハンドボール投げの記録をまとめた度数分布表に基づいています。 問1:ハンドボール投げの記録の最頻値を求めます。 問2:記録が15m以上の生徒の割合が全体で何パーセントかを求め...

度数分布最頻値割合統計
2025/7/26

与えられたデータに基づいて、以下の値を計算します。 (1) 変数 $x$ の平均と分散。 (2) 変数 $x$ と $y$ の共分散と相関係数。

統計平均分散共分散相関係数
2025/7/26

袋の中に赤玉が3個、白玉が2個入っている。袋から1個の玉を取り出し、色を確認して元に戻す、という試行を5回繰り返す。白玉が出る回数を確率変数$X$とする。確率変数$X$の確率分布表を作成し、期待値(平...

確率分布二項分布期待値
2025/7/26

40階建てのビルにいる人が、硬貨を投げて階数を移動します。表が出れば1階上がり、裏が出れば2階下がります。 問1:硬貨を3回投げた後、元の26階にいる確率を求めます。 問2:硬貨を12回投げた後、17...

確率確率変数組み合わせ連立方程式
2025/7/26

大小2個のサイコロを1回投げるとき、出る目の和の期待値を、確率分布表を用いて求めよ。

確率期待値サイコロ確率分布
2025/7/26

赤玉が3個、青玉が2個入っている袋から、2個の玉を同時に取り出すとき、同じ色の玉を取り出す確率を求めます。

確率組み合わせ場合の数
2025/7/26