一様な電場 $\mathbf{E}$ と磁束密度 $\mathbf{B}$ 中を速度 $\mathbf{v}$ で移動する荷電粒子の運動方程式が与えられています。 $$ m\frac{d\mathbf{v}}{dt} = q(\mathbf{E} + \mathbf{v} \times \mathbf{B}) $$ ここで、$m$ は荷電粒子の質量、$q$ は電荷で定数です。 (1) $\mathbf{E} = (E_0, 0, 0)$, $\mathbf{B} = (B_0, 0, 0)$, $\mathbf{v} = (v_x, v_y, v_z)$ のとき、$v_x$, $v_y$, $v_z$ についての微分方程式を求めます。($E_0$, $B_0$ は定数) (2) 時間 $t = 0$ における速度 $\mathbf{v}(0) = (v_0, 0, v_1)$ のとき、$v_x$, $v_y$, $v_z$ を求めます。($v_0$, $v_1$ は定数)

応用数学微分方程式ベクトル物理
2025/7/24

1. 問題の内容

一様な電場 E\mathbf{E} と磁束密度 B\mathbf{B} 中を速度 v\mathbf{v} で移動する荷電粒子の運動方程式が与えられています。
mdvdt=q(E+v×B) m\frac{d\mathbf{v}}{dt} = q(\mathbf{E} + \mathbf{v} \times \mathbf{B})
ここで、mm は荷電粒子の質量、qq は電荷で定数です。
(1) E=(E0,0,0)\mathbf{E} = (E_0, 0, 0), B=(B0,0,0)\mathbf{B} = (B_0, 0, 0), v=(vx,vy,vz)\mathbf{v} = (v_x, v_y, v_z) のとき、vxv_x, vyv_y, vzv_z についての微分方程式を求めます。(E0E_0, B0B_0 は定数)
(2) 時間 t=0t = 0 における速度 v(0)=(v0,0,v1)\mathbf{v}(0) = (v_0, 0, v_1) のとき、vxv_x, vyv_y, vzv_z を求めます。(v0v_0, v1v_1 は定数)

2. 解き方の手順

(1) E=(E0,0,0)\mathbf{E} = (E_0, 0, 0), B=(B0,0,0)\mathbf{B} = (B_0, 0, 0), v=(vx,vy,vz)\mathbf{v} = (v_x, v_y, v_z) を運動方程式に代入します。
まず、v×B\mathbf{v} \times \mathbf{B} を計算します。
v×B=ijkvxvyvzB000=(0,vzB0,vyB0) \mathbf{v} \times \mathbf{B} = \begin{vmatrix} \mathbf{i} & \mathbf{j} & \mathbf{k} \\ v_x & v_y & v_z \\ B_0 & 0 & 0 \end{vmatrix} = (0, v_z B_0, -v_y B_0)
したがって、運動方程式は次のようになります。
mdvdt=q((E0,0,0)+(0,vzB0,vyB0))=q(E0,vzB0,vyB0) m\frac{d\mathbf{v}}{dt} = q((E_0, 0, 0) + (0, v_z B_0, -v_y B_0)) = q(E_0, v_z B_0, -v_y B_0)
これを成分ごとに書くと、次のようになります。
mdvxdt=qE0 m\frac{dv_x}{dt} = qE_0
mdvydt=qvzB0 m\frac{dv_y}{dt} = qv_z B_0
mdvzdt=qvyB0 m\frac{dv_z}{dt} = -qv_y B_0
(2) (1)で求めた微分方程式を解きます。まず、vxv_x から求めます。
dvxdt=qE0m \frac{dv_x}{dt} = \frac{qE_0}{m}
両辺を積分すると、
vx(t)=qE0mt+C1 v_x(t) = \frac{qE_0}{m}t + C_1
初期条件 vx(0)=v0v_x(0) = v_0 より、C1=v0C_1 = v_0 なので、
vx(t)=qE0mt+v0 v_x(t) = \frac{qE_0}{m}t + v_0
次に、vyv_yvzv_z についての方程式を解きます。
dvydt=qB0mvz \frac{dv_y}{dt} = \frac{qB_0}{m}v_z
dvzdt=qB0mvy \frac{dv_z}{dt} = -\frac{qB_0}{m}v_y
これらの式を時間で微分します。
d2vydt2=qB0mdvzdt=qB0m(qB0mvy)=(qB0m)2vy \frac{d^2v_y}{dt^2} = \frac{qB_0}{m}\frac{dv_z}{dt} = \frac{qB_0}{m}\left(-\frac{qB_0}{m}v_y\right) = -\left(\frac{qB_0}{m}\right)^2 v_y
ここで、ω=qB0m\omega = \frac{qB_0}{m} とおくと、
d2vydt2=ω2vy \frac{d^2v_y}{dt^2} = -\omega^2 v_y
この微分方程式の一般解は、
vy(t)=C2cos(ωt)+C3sin(ωt) v_y(t) = C_2 \cos(\omega t) + C_3 \sin(\omega t)
初期条件 vy(0)=0v_y(0) = 0 より、C2=0C_2 = 0 なので、
vy(t)=C3sin(ωt) v_y(t) = C_3 \sin(\omega t)
次に、vzv_z を求めます。
vz(t)=mqB0dvydt=mqB0C3ωcos(ωt)=C3cos(ωt) v_z(t) = \frac{m}{qB_0} \frac{dv_y}{dt} = \frac{m}{qB_0} C_3 \omega \cos(\omega t) = C_3 \cos(\omega t)
初期条件 vz(0)=v1v_z(0) = v_1 より、C3=v1C_3 = v_1 なので、
vy(t)=v1sin(ωt) v_y(t) = v_1 \sin(\omega t)
vz(t)=v1cos(ωt) v_z(t) = v_1 \cos(\omega t)

3. 最終的な答え

(1)
mdvxdt=qE0 m\frac{dv_x}{dt} = qE_0
mdvydt=qvzB0 m\frac{dv_y}{dt} = qv_z B_0
mdvzdt=qvyB0 m\frac{dv_z}{dt} = -qv_y B_0
(2)
vx(t)=qE0mt+v0 v_x(t) = \frac{qE_0}{m}t + v_0
vy(t)=v1sin(ωt) v_y(t) = v_1 \sin(\omega t)
vz(t)=v1cos(ωt) v_z(t) = v_1 \cos(\omega t)
ここで、ω=qB0m\omega = \frac{qB_0}{m} です。

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