問題5.3はキルヒホッフの法則に従うRL直列回路に関する問題です。 与えられた微分方程式 $L\frac{dI}{dt} + RI = E$ (ここで、$L, R, E$ は定数) を用いて、以下の問いに答えます。 (a) $I(t)$ を決定しなさい。初期条件は $t=0$ で $I=0$ です。 (b) 充分な時間が経った後の電流 $I_{\infty}$ を求めなさい。 (c) $L=2\mu H$, $R=2\Omega$ のとき、$I$ が $I_{\infty}$ の90%になる時刻を求めなさい。

応用数学微分方程式RL直列回路キルヒホッフの法則過渡現象回路解析
2025/7/25

1. 問題の内容

問題5.3はキルヒホッフの法則に従うRL直列回路に関する問題です。
与えられた微分方程式 LdIdt+RI=EL\frac{dI}{dt} + RI = E (ここで、L,R,EL, R, E は定数) を用いて、以下の問いに答えます。
(a) I(t)I(t) を決定しなさい。初期条件は t=0t=0I=0I=0 です。
(b) 充分な時間が経った後の電流 II_{\infty} を求めなさい。
(c) L=2μHL=2\mu H, R=2ΩR=2\Omega のとき、IIII_{\infty} の90%になる時刻を求めなさい。

2. 解き方の手順

(a) I(t)I(t) の決定
与えられた微分方程式は
LdIdt+RI=EL\frac{dI}{dt} + RI = E
これは1階線形常微分方程式なので、変数分離して解きます。
dIdt=ERIL\frac{dI}{dt} = \frac{E-RI}{L}
dIERI=dtL\int \frac{dI}{E-RI} = \int \frac{dt}{L}
1RlnERI=tL+C1-\frac{1}{R}\ln|E-RI| = \frac{t}{L} + C_1
lnERI=RtL+C2\ln|E-RI| = -\frac{Rt}{L} + C_2
ERI=AeRtLE-RI = Ae^{-\frac{Rt}{L}}
(A=eC2A = e^{C_2}とおいた)
RI=EAeRtLRI = E - Ae^{-\frac{Rt}{L}}
I(t)=ERAReRtLI(t) = \frac{E}{R} - \frac{A}{R}e^{-\frac{Rt}{L}}
初期条件 I(0)=0I(0) = 0 を用いると、
0=ERAR0 = \frac{E}{R} - \frac{A}{R}
A=EA = E
したがって、
I(t)=EREReRtL=ER(1eRtL)I(t) = \frac{E}{R} - \frac{E}{R}e^{-\frac{Rt}{L}} = \frac{E}{R}(1 - e^{-\frac{Rt}{L}})
(b) II_{\infty} の計算
充分な時間が経過した後(tt \to \infty)の電流 II_{\infty} を求めます。
I=limtI(t)=limtER(1eRtL)I_{\infty} = \lim_{t \to \infty} I(t) = \lim_{t \to \infty} \frac{E}{R}(1 - e^{-\frac{Rt}{L}})
tt \to \infty のとき eRtL0e^{-\frac{Rt}{L}} \to 0 なので
I=ERI_{\infty} = \frac{E}{R}
(c) IIII_{\infty} の90%になる時刻の計算
L=2×106HL = 2 \times 10^{-6} H, R=2ΩR = 2 \Omega のとき、IIII_{\infty} の90%になる時刻 t0t_0 を求めます。
I(t0)=0.9II(t_0) = 0.9I_{\infty}
ER(1eRt0L)=0.9ER\frac{E}{R}(1 - e^{-\frac{Rt_0}{L}}) = 0.9 \frac{E}{R}
1eRt0L=0.91 - e^{-\frac{Rt_0}{L}} = 0.9
eRt0L=0.1e^{-\frac{Rt_0}{L}} = 0.1
Rt0L=ln(0.1)-\frac{Rt_0}{L} = \ln(0.1)
t0=LRln(0.1)=2×1062ln(0.1)=106ln(0.1)2.303×106t_0 = -\frac{L}{R} \ln(0.1) = -\frac{2 \times 10^{-6}}{2} \ln(0.1) = -10^{-6} \ln(0.1) \approx 2.303 \times 10^{-6}
したがって、
t02.303μst_0 \approx 2.303 \mu s

3. 最終的な答え

(a) I(t)=ER(1eRtL)I(t) = \frac{E}{R}(1 - e^{-\frac{Rt}{L}})
(b) I=ERI_{\infty} = \frac{E}{R}
(c) t02.303μst_0 \approx 2.303 \mu s

「応用数学」の関連問題

長さ90mの動く歩道があり、犬がア地点からイ地点まで15秒、イ地点からア地点まで20秒で走り抜けた。動く歩道の速度を求める問題。

速度距離時間連立方程式
2025/7/25

実質金利 $r=0.25$ に直面する企業の利潤最大化を考える。企業の異時点間の生産関数が $Y_2=F(I_1)=1.5\ln(I_1+1)$ のとき、最適な設備投資 $I_1$ はいくらになるか。

最適化微分経済学
2025/7/25

この問題は、総需要(AD)曲線と総供給(AS)曲線が与えられた経済モデルにおいて、(1) 政府支出の増加と (2) 名目貨幣供給量の増加が、均衡物価水準にどのような影響を与えるかを求める問題です。AD...

経済モデル総需要曲線総供給曲線均衡物価水準代数
2025/7/25

表からカナダの電力エネルギー消費量と液体エネルギー消費量を読み取り、電力消費量が液体消費量の60%であることから、液体エネルギー消費量を求める問題です。最後に十万tの位を四捨五入します。

割合エネルギー消費量データ分析問題解決矛盾
2025/7/25

この問題は、総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)が与えられた経済モデルにおいて、以下の2つのケースにおける均衡物価水準 $P$ を求める問題です。 (1) 中央銀行の金融政策(名目貨幣供給量)は変わ...

経済学AD-ASモデル二次方程式均衡物価水準
2025/7/25

AD-AS分析において、与えられた総需要(AD)曲線と総供給(AS)曲線から、均衡物価水準 $P^* > 0$ を求める。AD曲線は $Y = 40 + \frac{300}{P}$ であり、AS曲線...

経済学AD-AS分析二次方程式解の公式均衡物価水準
2025/7/25

天体の表面から鉛直に打ち上げられるロケットについて、以下の問いに答えます。 (a) ロケットの質量 $m(t)$ を求めます。 (b) $m(t)$ を用い、ロケットの速度 $v$ についての運動方程...

微分方程式運動方程式積分力学ロケット
2025/7/25

与えられたマクロ経済モデルにおいて、総需要曲線(AD曲線)を導出し、物価水準 $P=3$ のときの実質GDP($Y$)を求める。 与えられた方程式は以下の通り: \begin{align*} Y &=...

マクロ経済学AD曲線GDP貨幣市場
2025/7/25

ロジスティック方程式 $\dot{N} = k_0 (1 - N/K) N$ の一般解を、変数変換 $u = N^{-1}$ を用いて求めよ。

微分方程式ロジスティック方程式変数変換一般解
2025/7/25

問題4.5は、放射性炭素($^{14}C$)の崩壊に関する問題です。 (a) 半減期が5730年であるとき、崩壊定数を求めます。 (b) 2000年経過後、$^{14}C$原子数が最初の何%になるかを...

放射性崩壊指数関数半減期対数
2025/7/25