磁束密度 $B$ の空間中を速度 $v$ で移動する荷電粒子の運動方程式が $m\frac{dv}{dt} = qv \times B$ で与えられている。ここで、$m$ は粒子の質量、$q$ は電荷で定数である。以下の3つの問いに答える。 (1) $B = B_0 k$ および $v = v_x i + v_y j + v_z k$ のとき、粒子に働く力 $F$ を求める($B_0$ は定数)。 (2) (1) の条件下で、$v_x, v_y, v_z$ についての微分方程式を求める。 (3) $t=0$ での初速度が $v(0) = v_0 i + v_1 k$ であるとき、$v_x, v_y, v_z$ を求める($v_0, v_1$ は定数)。

応用数学運動方程式ベクトル微分方程式電磁気学ローレンツ力
2025/7/25

1. 問題の内容

磁束密度 BB の空間中を速度 vv で移動する荷電粒子の運動方程式が mdvdt=qv×Bm\frac{dv}{dt} = qv \times B で与えられている。ここで、mm は粒子の質量、qq は電荷で定数である。以下の3つの問いに答える。
(1) B=B0kB = B_0 k および v=vxi+vyj+vzkv = v_x i + v_y j + v_z k のとき、粒子に働く力 FF を求める(B0B_0 は定数)。
(2) (1) の条件下で、vx,vy,vzv_x, v_y, v_z についての微分方程式を求める。
(3) t=0t=0 での初速度が v(0)=v0i+v1kv(0) = v_0 i + v_1 k であるとき、vx,vy,vzv_x, v_y, v_z を求める(v0,v1v_0, v_1 は定数)。

2. 解き方の手順

(1) 力 FFF=qv×BF = qv \times B で与えられる。v=vxi+vyj+vzkv = v_x i + v_y j + v_z k および B=B0kB = B_0 k を代入して計算する。
v×B=(vxi+vyj+vzk)×(B0k)=vxB0(i×k)+vyB0(j×k)+vzB0(k×k)=vxB0j+vyB0iv \times B = (v_x i + v_y j + v_z k) \times (B_0 k) = v_x B_0 (i \times k) + v_y B_0 (j \times k) + v_z B_0 (k \times k) = -v_x B_0 j + v_y B_0 i
したがって、F=q(vyB0ivxB0j)=qB0(vyivxj)F = q(v_y B_0 i - v_x B_0 j) = qB_0 (v_y i - v_x j).
(2) 運動方程式 mdvdt=qv×Bm\frac{dv}{dt} = qv \times B を成分ごとに書く。
v=vxi+vyj+vzkv = v_x i + v_y j + v_z k であるから、dvdt=dvxdti+dvydtj+dvzdtk\frac{dv}{dt} = \frac{dv_x}{dt}i + \frac{dv_y}{dt}j + \frac{dv_z}{dt}k.
したがって、m(dvxdti+dvydtj+dvzdtk)=qB0(vyivxj)m(\frac{dv_x}{dt}i + \frac{dv_y}{dt}j + \frac{dv_z}{dt}k) = qB_0(v_y i - v_x j).
成分ごとに比較すると、
mdvxdt=qB0vym\frac{dv_x}{dt} = qB_0 v_y
mdvydt=qB0vxm\frac{dv_y}{dt} = -qB_0 v_x
mdvzdt=0m\frac{dv_z}{dt} = 0
これより、
dvxdt=qB0mvy\frac{dv_x}{dt} = \frac{qB_0}{m} v_y
dvydt=qB0mvx\frac{dv_y}{dt} = -\frac{qB_0}{m} v_x
dvzdt=0\frac{dv_z}{dt} = 0
(3) (2) の微分方程式を解く。
dvzdt=0\frac{dv_z}{dt} = 0 より、vz(t)=Cv_z(t) = C (定数)。初期条件 v(0)=v0i+v1kv(0) = v_0 i + v_1 k より、vz(0)=v1v_z(0) = v_1 であるから、vz(t)=v1v_z(t) = v_1.
ω=qB0m\omega = \frac{qB_0}{m} とおくと、dvxdt=ωvy\frac{dv_x}{dt} = \omega v_y および dvydt=ωvx\frac{dv_y}{dt} = -\omega v_x.
d2vxdt2=ωdvydt=ω(ωvx)=ω2vx\frac{d^2 v_x}{dt^2} = \omega \frac{dv_y}{dt} = \omega (-\omega v_x) = -\omega^2 v_x.
したがって、d2vxdt2+ω2vx=0\frac{d^2 v_x}{dt^2} + \omega^2 v_x = 0. この微分方程式の解は vx(t)=Acos(ωt)+Bsin(ωt)v_x(t) = A \cos(\omega t) + B \sin(\omega t).
vx(0)=v0v_x(0) = v_0 より、vx(0)=A=v0v_x(0) = A = v_0.
vy(t)=1ωdvxdt=1ω(Aωsin(ωt)+Bωcos(ωt))=Asin(ωt)+Bcos(ωt)v_y(t) = \frac{1}{\omega} \frac{dv_x}{dt} = \frac{1}{\omega} (-A\omega \sin(\omega t) + B\omega \cos(\omega t)) = -A \sin(\omega t) + B \cos(\omega t).
初期条件より、vy(0)=0v_y(0) = 0 であるから、vy(0)=Asin(0)+Bcos(0)=B=0v_y(0) = -A \sin(0) + B \cos(0) = B = 0.
したがって、vx(t)=v0cos(ωt)v_x(t) = v_0 \cos(\omega t) および vy(t)=v0sin(ωt)v_y(t) = -v_0 \sin(\omega t).

3. 最終的な答え

(1) F=qB0(vyivxj)F = qB_0 (v_y i - v_x j)
(2) dvxdt=qB0mvy\frac{dv_x}{dt} = \frac{qB_0}{m} v_y, dvydt=qB0mvx\frac{dv_y}{dt} = -\frac{qB_0}{m} v_x, dvzdt=0\frac{dv_z}{dt} = 0
(3) vx(t)=v0cos(qB0mt)v_x(t) = v_0 \cos(\frac{qB_0}{m} t), vy(t)=v0sin(qB0mt)v_y(t) = -v_0 \sin(\frac{qB_0}{m} t), vz(t)=v1v_z(t) = v_1

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